ヨーロッパ企画、大阪で新作公演の記者会見。
オールジャンルの文房具を「観光」するコメディです(上田)
こちらでも既報だが(http://spice.eplus.jp/articles/3891)ヨーロッパ企画の新作『遊星ブンボーグの接近』が、9月から11月にかけて全国9ヶ所で上演される。それに先駆けて、ヨーロッパ企画全メンバー+ゲスト出演者によるマスコミ向けの会見が、大阪で行われた。
まず始めに、前作『ビルのゲーツ』以降の劇団の活動をVTRで振り返り、主宰で作・演出の上田誠が「映像の企画や外部の舞台など、この1年の活動で試してきたことが今回は活きるんじゃないか」とコメント。「それぞれのメンバーも、表方裏方関わらず動いてまして。でもスタッフワークも含めて、めいめいの得意分野を生かして総力戦でやれるのが、劇団公演の面白さだなあと。そういうことをやりたいなと、今改めて思ったという感じです」(上田)
そして今回の作品は「“やりたい”と5年ぐらい言い続けていて、オオカミ少年みたいになってました(笑)」(上田)という「文房具コメディ」。文房具はそのほとんどがハンドサイズだから、映像はともかく演劇には適さないのでは…? と思われたが、それを効果的に見せる方法をいろいろ発見できたので、ようやく実現に至ったという。
「文房具って箱庭の世界みたいなものだけど、それを拡大して…しかも大仰にSFチックに語るという。文房具というミクロな世界をつぶさに観光する“文房具を旅する”作品です。(扱う文房具は)できるだけオールジャンルで行きたいし“これが出るとは思わなかった!”という文具も出したいけど、普段使いしている物を中心に観光していきたい。前回(『ビルのゲーツ』)がシステムに立ち向かうハードな話になったので、今回は非常に悠長になるかなあと思ってます」
今回は全劇団員以外に、4人のゲストが登場。『ビルのゲーツ』に引き続いての出演となる岡嶋秀昭&吉川莉早に加え、関西で活躍するダンサー&振付家の中西ちさとと、劇団の代表作を映画化した『サマータイムマシン・ブルース(STMB)』の出演者・川岡大次郎が初参加を果たす。特に川岡は『STMB』以来10年ぶりのコラボとなることに、なみなみならぬ意欲を見せていた。
「前回の『ビルのゲーツ』では“突き抜けたなあ、この人たち”と思ったし、ようやく一緒に物づくりができるのが楽しみです。今回はみんなが日常で使う文房具がテーマですけど、そんなに好きじゃない人にとっても、何かしら面白い出来事が起こるだろうし。とにかく観ていただいたら、すごく幸せな気持ちになって劇場から帰れるんじゃないか、というイメージがあります」(川岡)
「川岡さんは完全にラテンの人で、絶大な熱をもたらしてくれるんじゃないかと期待してまして。中西さんは100人中1位が取れるぐらいの文具好きということが判明して、すでにいい偶然が起こってます。岡嶋さんと吉川さんは、前回も面白くできたので再びお呼びしました。岡嶋さんは文房具を持ち上げる絵が似合いそうだし、吉川さんはコメディをやる上での自意識のコントロールがすごく信頼できる。ただ筆ペン好きという、正統な文房具好きでないところは減点でした(笑)」(上田)
会見の途中には、本公演のキャッチコピーをメンバーたちが勝手に考えるお楽しみコーナーを盛り込むなど、記者会見と言えども“観る人”をキッチリ楽しませてくれたヨーロッパ企画。このサービス精神は、文房具をエンタメにする今回の舞台でも、しっかり反映されるはずだ。また8月20日(木)深夜には、本作と連動したドラマ『遊星ブンボーグの接近 エピソード0(ゼロ)』が毎日放送で放映される予定なので、放送エリアの人は要チェック!