平田広明・山路和弘にインタビュー「がっつり共演するのは初めてなんです!」 朗読劇『VOICARION~ヴォイサリオン~』
(左から)山路和弘、平田広明
8月27日(土)から9月5日(月)まで、日比谷・シアタークリエにて『クリエ プレミア音楽朗読劇 VOICARION~ヴォイサリオン~』が上演される。様々な朗読劇を手掛けてきた藤沢文翁が原作・脚本・演出を務めるこの舞台、9月2日(金)まで上演される「女王がいた客室」では、日替わりで人気声優たちが出演するとあって、上演前から熱い注目を集めている。
7月下旬、都内稽古場で行われた稽古のあと平田広明、山路和弘に話を聞いた。
★稽古場の模様はこちらの記事からどうぞ!
――最初に脚本を読んだときの印象は?
平田: えっと……カタカナ、大丈夫かなーって。
山路: ロシア語だもんなあ。
平田: 無理じゃないですか、絶対。
山路: 英語圏ならまだしもねえ。
平田: いや、僕やっぱりどっちでもカタカナはダメですけどね。
山路: でも平田くんはカッコよく言うんだろうなあ。(ブーブー)
平田: ちょっと! 何を大人げないこと言ってるんですか! 口とんがらせて(笑)。……で、脚本ですが、一気に読みましたね。普段、本を読むのが苦手で仕事に関わらない本は一切読まないタチなのですが、これがとても素敵なお話で。朗読劇なので「読む」ことにはなるのですが、これは「舞台」としても素敵な芝居になるんじゃないかと思いますよ。
――本作に出演する、ということを聞いたとき、どう思われたんですか? 藤沢さんとはそれぞれに親交があったそうですが。
山路: 僕は以前から藤沢さんを知っていたし、藤沢作品も何本か観ていたので、「ついに俺がやるのか」と思いましたね。
平田: さっき聞いてびっくりしたんだけど、僕、山路さんとがっつり共演したことなかったんですよ。ちょうど山路さんがこまつ座のお芝居に出ていた頃かな? 何かのきっかけで(藤沢)文翁さんと一緒に飲もうよ、って話になり。「山じぃ(=山路)とやりたい、山じぃとやりたい」ってずっとリクエストしていたんです。
山路: ……ということはこれはキミからいただいた仕事なのか!?
平田: まあ、半分は(笑)。「山じぃとやりたい、山じぃとやりたい」って念仏のように唱えていて、それからあまり時を経ずにこの仕事が決まって。そこからは早かったですねえ。
山路: 文翁さん、本を書くのがすごく早いからね。
平田: ……だから僕が出演のお話をいただいたときは素直に「わーい!」でしたね(笑)
山路: ありがとうございます。光栄でございます。
――洋画や海外ドラマ、アニメといった吹き替え現場でお会いしていそうに思っていましたので、意外ですね。
山路・平田: あまり会うことがないんだよねー。
平田: いわゆる単発の映画の吹き替えで会うこともなくはないんだけど、数年前にラジオドラマで共演しましたよね?
山路: ああ!そうだったね。本当にすれ違ったくらいだけど。
平田: 回想シーンで1シーンだけ。僕が山じぃのお兄ちゃん役で。「え?僕、山じぃの兄?」って。後で聞いたら早くに亡くなった兄貴の役で、回想シーンで会うという場面だった。山路さん、気を遣ってくださって、すこーし若い声でやってくださったんですよ。
山路: 「兄さーん!」 (※若い声風で再現)
平田: ほんと、山路さんに無理させちゃって(笑)
――山路さんは平田さんのことはどんな感じでご存知だったんですか?
山路: 周りから聞くしね。
平田: ……誰から聞いているんですか?
山路: ん? 春風(ひとみ)さんから。
平田: 春風さんからって、ずいぶん前の印象じゃないですか!?
山路: (春風さんの声真似で)「私は……平田が好きだ……」って。
平田: あの色っぽい声で!?
山路: それを聞いて「ふぅ~ん」とか言ったけど、俺、嫉妬したからね!
平田: 僕、『夢、ハムレットの』(木山事務所・1996年)に出演したとき、春風さんが妹役をやってくださったんです。オフィーリア役。僕がレアティーズ役で。春風さんはシェイクスピアをやる旅一座の娘役という設定だったんですが、春風ねえさんがセーラー服を着て「あんちゃん、あんちゃん! ほおーら!(スカートをめくって見せる真似)」って……そりゃあもうキツイですよ。「見せるなよー」って言ってた。
山路: ……俺たち、いない人の話好きだよね(笑)
――(笑)では、今ここにいる人の話を。今回ご自身が演じる役についてはどんな印象を持たれていますか?
山路: 僕は僕自身が自然体でできるからいいなあ、という役です。「通常の山路さんに近い」ってさっき言われたけど。「ええー? だって貴族の役だろ!?」って思ったけど、どうもそうじゃなくてもいいみたい。
平田: まあ、山路さんのアテ書きなんでイメージどおりですよ(笑)、あとはカタカナさえ読めれば!
山路: カタカナねえ……ホントだよ!
――平田さんはいかがですか?
平田: 僕個人の話をさせていただくと、だんだんジジィになってきてこういう叫ばない役を試させていただけるようになりました。ありがたいですね。青春まっさかりという役はそうそうないですが、中途半端におちゃらけた役どころが多くて。それはそれで楽しいんですけどね。カロリーを使った気になるので(笑)。今回は大人の役で、しかもどっぷり絡む相手が山路さんで。「山じぃ相手に大人を作らなくっちゃならないなんて……」といい緊張感があります。
山路: 別に作らなくっていいんだよ!
平田: ありのままのジジィで?……もうジジィになったんだからいいか、作らなくても(笑)。文翁さんとはこれが4本目。たった2日で4ステージという作品だったんですが、もうそれだけで声が出なくなるんです。もう叫ばす叫ばす(笑)。今回は控えめですよ。
山路: 大人たちの舞台だよね。
――「女王がいた客室」は、お二人がいるこの組み合わせが、いちばん物語の設定年齢に近いように思いますが。
平田: そうですね。確かに他の組だと背伸びしなくちゃならない人もいるのかな?
――アテ書きは置いといても、やりやすいんじゃないですか?
山路: 貴族……無理です。
平田: もう……何年もやってるじゃないですか! かたっぱしからいろんな役を。
山路: 貴族、やったことない(笑)。貴族のフリをしているがあとでバレる……とかはあったけれど「実は貴族だった!」って設定がツライのよ。無理難題な感じです。
平田: 大丈夫です。客席にロシアの貴族はいないと思いますから。
――さきほど読み合わせの様子を見学していましたが、朗読劇でも身体がガンガン動いていましたね。特に山路さん。
山路: ああなっちゃうんだよねー。吹き替えの仕事のときでもつい手が動いちゃうの。
平田: 僕は貴族なので頑張りました(笑)山路さん、カタカナのところはよく手を動かしてましたよね。
山路: 俺、カタカナはリズム取らないと言えないの!(笑)
平田: 「何をやっているんだろう、この貴族は……」って観てました(笑)
山路: 本番でもその動きが出ちゃうかもしれませんねー。
平田: 唇を無理やり噛んでいるのとかもね。「ヴ」の発音とか。でも興奮している場面だったらそういうのもありかも。
山路: お客さんにバレるかなぁ。しゃべりにくいって思っているのが。
平田: 僕は足でリズム取ってしまいそうです。
山路: そういえば貴族ってここらへん(おでこの少し上)からしゃべってる感じでしょ? あと姿勢も違うし。
平田: 衣裳もね。白いタイツにブルマを履いて……
山路: 「かっこわる!」って思いましたね。
――この物語の舞台となるホテルは「泊まると願いが叶うホテル」ということですが、平田さんと山路さんが叶えたい願い、と言われたら何を思い浮かべますか?
平田: しょせん2流のホテルですからね……。
山路: 2流な願いが叶う……訳じゃない!?
平田: とてもじゃないけど自分では払えないような豪華なスイートルームでルームサービスを高い順から……とか、まるっきり俗な夢はありますけどね。
山路: そのホテルにゆっくり逗留させてもらって、これからの人生をゆっくり考える……ホテル住まいとかしたことがないしね。普通は遊びに行くためにホテルに泊まって、夜、部屋で荷物をほどいて、朝またしまって、でしょ?
平田: ゆっくりのんびり、何もしないってのもそろそろ憧れるね。「何しに行くの?」「何もしないために行くの」ってね。3日も持たないかもしれないけど。
山路: そうそう、仕事しなきゃって思っちゃう。ダメだねー。
平田: 退屈になっちゃって隣の山路さんの部屋に遊びにいっちゃうの。
山路: やめろよー! 俺一人でいたいんだから!
平田: 山じぃ! ねえ、バーに行こうよ! バーに!!
山路: 俺、別のホテルに行こう……(笑)
※音楽監督小杉紗代インタビューもお楽しみに!
■日時:2016年8月27日(土)~9月5日(月)
■会場:日比谷・シアタークリエ
■原作・脚本・演出:藤沢文翁
■作曲・音楽監督:小杉紗代
■出演
☆8月27日(土)~9月2日(金) 『女王がいた客室』
鈴村健一、浪川大輔、沢城みゆき、中村悠一、山口勝平、石田彰、保志総一朗、三森すずこ、甲斐田ゆき、入野自由、平田広明、山路和弘、水夏希/竹下景子
☆9月3日(土)~9月5日(月)『Mr.Prisoner』
上川隆也、林原めぐみ、山寺宏一
■公式サイト:http://www.tohostage.com/voicarion/