ナショナル・シアター・ライブ『フランケンシュタイン』がアンコール上映
韓国で生まれたミュージカル『フランケンシュタイン』の日本版の製作発表で湧く演劇ファンに、ぜひ観ておいていただきたいのが、『フランケンシュタイン』を生んだ国イギリスで上演された演劇版『フランケンシュタイン』である。
その原作は、イギリスの小説家メアリー・シェリーが1818年に匿名で出版した小説『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス』である。スイスのレマン湖畔にあった詩人バイロン卿の別荘(ディオダティ荘)に滞在していた5人の男女が、バイロンの提案によりひとつずつ怪奇譚を書くことになった。ここでバイロンは『吸血鬼』、シェリーは『フランケンシュタイン』の原型をそれぞれ披露したという。
その小説をもとに、ニック・ディアーが脚本を書き、『トレインスポッティング』『スラムドッグ$ミリオネア』『スティーブ・ジョブズ』の監督として有名なダニー・ボイルが演出を手掛けたのが舞台版『フランケンシュタイン』だった。全演劇ファン必見の傑作である。これまで、映画館で舞台を観るナショナル・シアター・ライブ(NTL)で上映され、世界中が熱狂した。
というのも、作品の素晴らしさもさることながら、主演がベネディクト・カンバーバッチとジョニー・リー・ミラーという両スターが競演すること。しかも、それぞれが博士を演じるヴァージョンと怪物を演じるヴァージョンを、映画館で鑑賞できるからだ。ちなみに英国演劇界最高の栄誉たるローレンス・オリヴィエ賞ではカンバーバッチとミラーが本作で主演男優賞を同時受賞している。
日本では幾度も上映されてきた『フランケンシュタイン』だが、8月20日(土)より東京・渋谷のBunkamura ル・シネマにてアンコール上映される。
折しも世間ではリオ五輪が開催中(8月21日迄)だが、4年前のロンドン五輪の素晴らしい開会式を思い出していただきたい。サイモン・ラトルとミスター・ビーンを共演させたり、女王陛下とジェームズ・ボンドをヘリから降下させた(?)演出で全世界をアッと驚かせた鬼才ディレクターこそ、ほかでもないダニー・ボイルだった。『フランケンシュタイン』も目を見張らせる演出が目白押しだ。音楽にアンダーワールドを起用している点も注目だ。カッコいい。
そして、本作とミュージカル『フランケンシュタイン』を見比べるのも一興であろう。とくに、未見の方はこの機会を見逃してはならないだろう。
上映スケジュールは以下の通り。
8月20日(土)~8月26日(金) 連日19:00...『フランケンシュタイン』(怪物:ベネディクト×博士:ジョニー編)上映時間:2時間20分
8月27日(土)~9月2日(金) 連日19:00...『フランケンシュタイン』(怪物:ジョニー×博士:ベネディクト編)上映時間:2時間15分