MIYAVI 音楽家としてのさらなる衝撃的新境地へ

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インタビュー
2016.9.5
MIYAVI PHOTO BY MASAYOSHI SUKITA

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MIYAVIのニューアルバム『Fire Bird』は、未来のギターアルバムなのかもしれない。全曲ボーカルあり、にもかかわらず、今作を聴いて真っ先に衝撃を受けたのは、こんなオルタナティブかつエッジーなトラックでギターが歌うアルバムなんて聴いたことがない、ということ。スラップ奏法でセミアコースティックギターをパーカッシブに弾き、鋭利なビートを繰り出すギタリスト・MIYAVIも衝撃的だった。たが、前作『The Others』から本格的にアメリカへと拠点を移したMIYAVIは、今作で若きライター、クリエイターたちとタッグを組み、音楽家としてのさらなる衝撃的新境地へと歩を進めている。いったい何がMIYAVIを駆り立てるのか? 彼の創作と表現の源を探る。

――アルバムを聴かせていただいたんですが。今回は、ギターをめちゃくちゃ弾いてますね。

まぁ、いつも弾いてるけどね(笑)。ギターという観点でいうと“ギターで歌う”“ギターで叫ぶ”というのが今回のひとつのチャレンジでした。

――そうそう! それをいいたかったんです。

音楽的なアナロジーでいうと、僕はいま“カリフォルニアロール”を作ろうとしてるんです。

――カリフォルニアロールって、あのお寿司の?

うん。僕はすでにワザビも持ってるし、醤油もサーモンも持ってる。けど、アボカドがない。そのアボカドとは何かというと、グローバルな音楽の流れに対してのメロディーのアプローチであったり、グルーヴやリズムのポケット、言語的な響き、伝え方。アボカドが美味しいのはわかってるんですけど、作り方が分からない。だから、いまそれを学んでる最中です。アメリカのメジャーリーグに野茂(英雄)さんが渡って、イチローさんが渡ったように、僕が音楽のフィールドで日本とのブリッジとなるためにはそれが必要だと感じています。まぁ、僕自身カリフォルニアロールは食わないんですけど、あれがなかったらここまで寿司が日本のカルチャーとして普及することはなかった訳で。そこに対しての評価はすべきだと思いますし、僕は音楽家としてカリフォルニアロールを作ろうと思っています。

――その、アボカドとなるものをどうやったらうまく取り入れられるのか。それをいまはアルバムごとに探している感じですか?

試行錯誤してますね。前作(『The Others』)はナッシュビルで録ったんですけど、あのときは米がなかったからパンで巻いてみたり、ケチャップをつけてみたりもしてましたが、今作ではちゃんとお米も炊いて、ようやくカリフォルニアロールとしての形が整ってきたかなと。曲によって入ってるアボカドの分量は違うんですけど、ようやくあるべきシェイプ、音像は見えてきたかなと。その上でギタリストとして、今回、自分の大きなチャレンジが、さっき話した“ギターで叫ぶ”ということでした。

――そういう挑戦をしようと思ったきっかけは?

今回、すごく若いライター、クリエイターとセッションを重ねて作ったんです。

――確か前々作がジャム&ルイス、前作はドリュウ&シャノンでしたよね?

そう。前作、前々作(『MIYAVI』)はキャリアがある人。グラミーを獲ってるような人たちの胸を借りて学ばせてもらいました。そこから得たものは大きかったんですけど、今回、少しベクトルを変えてみようと。皆、ほとんど20代前半ぐらいなんです。彼らが感じているいまのグルーヴ感と音楽の波の深さ。僕にとっても、それはすごく刺激的だった。以前、テリー(・ルイス)がいってたんですけど、「Melody is the king!」、メロディーこそが一番強いんだと。ワサビやサーモン、それらをつなげていくのはメロディーなんですね。そこを、ギターで表現できるようになったのが今作の一番のチャレンジでした。

――アルバム全編通してここまでギターがメロディーを奏でている作品て、今までなかったですよね?

そうですね。トータルコンセプトとしては“心さえ折れなければ何度だって飛べる”。総体的にそういった精神性を描きました。

――そのメッセージは“不死鳥”を連想させる『Fire Bird』というタイトルやジャケットのアートワークからも感じました。

そうですね。解放、解き放つというのも大きなテーマで。シンガーとしては、歌でもしっかり表現したいんですが、だけど、コンポーザーとしては楽曲のメッセージ、色、匂い、感情を届けるための一番ベストな道をチョイスする。僕も歌いますけど、シンガーとしての表現力に関しては、いまはまだリミットがあるので、そこに制約されたくない。だから今回はフロントマンよりもコンポーザーとしての意識が大きかったと思います。

――そうなんですね。

ええ。そういった意味では今後、自分がギターを弾かないという選択も曲によっては出てくるかもしれない。とにかく今作は、自分自身のギタリストとしてのプレイアビリティーとポシビリティー、可能性を解き放つことができたのがデカイですね。そういう意味も込めての『Fire Bird』です。

――なるほど。本作でギタリストとして解き放ったメロディーを聴いていると、フレーズの奥にすごくブルースが流れているんだなというのを感じたんです。

ああ、そうですね。単純にそこは影響を受けた音楽、ギタリストがそうだからかな。三味線に影響を受け、チョッパーベーシストから色々学んでスラップ奏法を確立していった中で、ブルースギタリスト……ロバート・ジョンソンであったりB.B.キング。この間もN.Y.でバディ・ガイを観てきて。話逸れますけど、いまジェフ・ベックとバディはツアーを一緒に回ってるんだけど、今作の「Dim It」でfeaturingしたイギリスのBonesが、ジェフ・ベックをプロデュースしてるんですよ。

――お! そんなつながりがあったんですね。バディ・ガイをご覧になって、どうでした?

80歳過ぎてあれだけバリバリやってるのは単純にすげぇなと思いました。音の説得力が違う。そういうレジェンドたちからも僕は影響を受けてる中で、ギタリストとして僕はギターのドキドキ、ワクワク、衝動を現代のミュージックシーンに取り戻したいんですね。

――それは、どういう意味ですか?

“ギターミュージック”が聴こえてこないじゃないですか。素晴らしいバンドはいるんですけど。でも、ギターが聴こえてこない。アラバマ・シェイクスとかティームインパラとか本当に素晴らしいですけど、ギターミュージックか?っていうと僕は違うと思うんです。僕はギターから発せられる熱量とスパーク、エクスプロージョン(爆発)、創造性に心を奪われて、いまこの人生を歩んでいる。自分が思うギターミュージックは、そういう衝撃を与えるもの。僕たちには、それらを次の世代につなげる義務があると思ってるんです。

――ギターミュージックに衝撃を受けたからこそ。

この間もレバノンに行って、子供達の前でギターを弾いてきたんですけど、彼らの瞳ほど強くて尊いものはないと感じます。UNHCRという国連の中の一つのアソシエーションがあって、縁あって色々と勉強させてもらいながら、自分にもできることを模索しているんですが、その活動の一環で、難民キャンプに行ってきたんです。世界には紛争など様々な状況下で自分が住んでいたところを追われて、新しい場所に移住しなければならなくなった人たちが沢山いて。難民キャンプもレバノン、アフガニスタン、ヨルダン、マリ、タイ、いろんなところにある。レバノンなんかは国の人口の1/4がシリア難民なんです。去年もレバノンに行って、地元の皆とレバノン杉を一緒に植えたりして。先週も行ってきたんですけど(取材日は8月24日)そこで暮らしているキッズの前でギターを弾くと、彼らの目が輝くんですね。あれが全てなんですよね。全てはそこに帰結するというか。彼らが明日であり、未来を作る。その未来が俺たちの希望である。子育てこそ人類最大のクリエーションだと思うんですよ。僕がギターを弾くのは僕に与えられた人生の使命だと思ってるので、そういう意味でもギターのパッションとか衝動を取り戻したい。ギターで人の人生を変えられるぐらいの衝動を、僕は世界に与えたいなと思っています。

MIYAVI レバノンでの活動風景

MIYAVI レバノンでの活動風景

MIYAVI レバノンでの活動風景

MIYAVI レバノンでの活動風景

自分がやるべきことが一つひとつ明確になってきているから、どんなに怖くてもそこには引き返すという選択肢すらない。

――では、ここからはアルバム収録曲についてお伺いしていこうと思います。ブルージーなギターフレーズがしびれる「Steal The Sun」。これはどんなところから生まれた楽曲だったんでしょうか。

ツアー中にオーストリアのホテルで作りました。元々はジョン・ボーナムのドラムをサンプリングした上で、ギターは三味線を意識してプレイしました。それをモチーフにしてメロをつけていって。テーマは「誰も太陽は奪えない」太陽は一つで絶対的な存在なんだけど、見る角度によって違うものになる。ある者からすると希望で、ある者からしたら権力や欲望など恐れるもの象徴だったり。でも太陽は一つで、誰にも奪えない、というものです。最後のソロとかは太陽がずっとスローモーションで人間の欲も業も全てを焼き尽くして、ホワイトアウトしていくのをイメージしながら作りました。トップラインは、一緒にコラボレートしたライターのアイデアです。女性のコーラスも素晴らしいパフォーマンスをしてくれました。そういう意味では、僕一人では作れなかった。たくさんの素晴らしいクリエイターたち、みんなと作り上げた作品ですね。

――「Dim It feat.Bones」は?

楽天モバイルのCM用で作ったときは、自分で全部打ち込んで完結させてたんですよね。コンセプト自体はその時からずっとあって。“どうせくだらない余計なものばかりが溢れているなら全部消して真っ暗にしちゃって、俺たちだけの新世界を作ろう”というような。 Bonesは、この曲の新しいインダストリアルな世界観と彼女たちのスタンスがマッチしたんですよね。

――ある種レイドバックがありながらもエッジーで、新しさを感じるビートでありサウンドですよね。

リフ自体はいなたい感じなんですけど、音色とか、全体のビルドアップの仕方とか含めて総合的に、フューチャーリスティックなものに仕上げることができたと感じています​。

――そういう部分に、今作は若いクリエイターならではのユニークなアプローチがたくさん詰まっているんですよね。

そうですね。レコードを回したことがないDJがUSB一つで何千万と稼いでる時代でしょ? そんな中で、何が伝統で、何が守るべきもので、何を持って正解とするのか。伝統が必ずしも正しい訳ではないんです。僕もギタリスト・レジェンドをリスペクトはしてるけれども、そこを壊すことが礼儀だと思っているので、新しい世代の。ギターの弾き方にしても、音にしても。ぶっ壊すことこそが、リスペクトにつながる。逆に、それが新しい世代の責任でもある。これは僕の下の世代にもいえることで、僕が作ってきたものを真似してるだけならそれで終わり。だから、それをどう壊していくか、開拓していくか。それこそが、新しい世代の責任なんじゃないかな。僕はギターでいまもそれをやり続けてる。今作は特に若い世代のライター、クリエイターとやったことで、僕のなかで改めてそこが明確になりましたね。​

――MIYAVIさんの場合、トラディショナルな手法だけではなく、自らが確立してきたスタイルまでもぶっ壊して新しいものを探すじゃないですか? そういうのって、怖くないんですか?

怖いっすよ。ツライっすよ。ぶっちゃけ、苦しいし。怖いのは怖いんですよ。いっつも。もがいてるし。でもまあ、そういう人生なんだろうなって。

――これが自分の人生だと。

そう。じゃないとこんな辛いことやってないでしょう。あとは使命。使命感もあります。レバノンもそうだけど、自分がやるべきことが一つひとつ明確になってきているから、どんなに怖くてもそこには引き返すという選択肢すらない。辛いですし、立ち止まるときもあるんですけど、でもやるしかない。そして、それを成し遂げるために自分は生まれてきたということを認識したし、決めているので。

――それを認識したきっかけは?

徐々に、ですね。使命、ミッションを持って生きること。それはね、みんなあるはずなんですよ。それぞれに、それぞれのできることが。僕はその方向は見えている。道が見えないから怖いだけで、進むべき方向はわかってる。だから怖くても突き進めるんです。​

――では、このアルバムを引っさげて始まるツアーについても教えてください。ツアータイトルの『NEW BEAT,NEW FUTURE』にはどんな意味が込められてるんですか?

時代はビートとともに変わっていく。今作はギターミュージックでありながらも、新しいビートを取り入れています。トラップだったりドラムンも新しい形で入れたりしてて。そのビートが共にニューフューチャー、新しい景色まで連れてってくれる。そういうヴィジョンを聞いてくれる皆と共有したいなと思ってつけました。いままではBOBO君と2人でどこまで肉感的、フィジカルでやれるのかを挑戦してたんですけど。今回はアートワークを頼んだ(ファンタジスタ)歌磨呂君、ライター、クリエイターみんなで“MIYAVI”という世界観を構築したので、その新しい景色をみんなと共有できればなと思ってます。今回のツアーは日本だけなので、エクスクルーシブな新しいMIYAVIの世界観が見られると思います。​

――ツアーファイナルを行なう幕張メッセ。ここだけキャパも桁が違うので、ファンとしては何があるのか気になるところですが。

いや、普通にやるだけですよ。僕がやることは、100人だろうが10万人だろうが変わらない。1発1発、魂を込めて届ける、ということにちゃんと集中できるようにベストを尽くす。それだけですね。

――分かりました。ではツアーに向けて、ファンのみなさんに一言お願いします。

まず大前提として、汗かいて、歌って踊って楽しむのがあった上で、僕はその一瞬一瞬に全身全霊を込めて思いをぶつけるんで。お互い、会場を出てから「また明日から頑張ろう」って思えるような空間、未来につながるようなライブにしたいと思うので、ぜひぜひ遊びに来て欲しいと思います。

取材・文=東條祥恵

MIYAVI PHOTO BY MASAYOSHI SUKITA

MIYAVI PHOTO BY MASAYOSHI SUKITA


 
リリース情報
アルバム『Fire Bird』
2016年8月31日発売

●初回限定盤(CD+DVD+特典ブックレット)
MIYAVI『FIRE BIRD』初回盤

MIYAVI『FIRE BIRD』初回盤

価格:¥4,980(税別) ¥5,378(税込) 品番:TYCT-69105
<ファンタジスタ歌磨呂氏によるアートワークプロデュース>
初回限定盤特典
◆ Bonus Track「Cocoon」収録
◆特典ブックレット付(20P)
◆スリーブケース仕様
◆DVD収録内容(15〜20分予定)
・Introduction to “NEW BEAT, NEW FUTURE”
〜9月からスタートする全国ツアー「MIYAVI Japan Tour 2016 “NEW BEAT, NEW FUTURE”」のステージを
想起させるスタジオパフォーマンス映像を5曲収録予定!〜
「Cocoon」, 「Another World」,「Raise Me Up」,「Fire Bird」,「Steal The Sun」
・「Raise Me Up」Teaser Video
・「Afraid To Be Cool」Music Video (short version)
CD【全11曲収録】
1. Another World
2. Fire Bird
3. Dim It
4. Raise Me Up
5. You Know It's Love
6. Afraid To Be Cool
7. She Don’t Know How To Dance
8. Steal The Sun
9. Long Nights
10. Hallelujah
11. Cocoon (初回限定盤Bonus Track)

●通常盤(CD)
MIYAVI『FIRE BIRD』通常盤

MIYAVI『FIRE BIRD』通常盤

価格: ¥3,000(税別) ¥3,240 (税込) 品番: TYCT-60089
CD【全10曲収録】
1. Another World
2. Fire Bird
3. Dim It
4. Raise Me Up
5. You Know It's Love
6. Afraid To Be Cool
7. She Don’t Know How To Dance
8. Steal The Sun
9. Long Nights
10. Hallelujah 
初回盤または通常盤をご購入の方に先着で特典を差し上げます。
「鋤田正義撮影 MIYAVI B2ポスター」
※一部対象外の店舗、WEBがございます。
【アナログ盤】
詳細はコチラから
オンライン予約
http://www.hmv.co.jp/artist_MIYAVI_000000000210934/item_Fire-Bird_7155755
店舗予約
http://www.hmv.co.jp/productitemstock/stock/7155751

【デジタル配信】
<8月10日>
iTunes Pre-order+iGT先行トラック
▼先行トラックALL BP配信
http://po.st/it_miyavi_fb
<8月26日>
iTunes&Apple Music独占先行配信
<8月31日>
CD発売 ALL BP配信
<デジタル収録曲>
1. Another World
2. Fire Bird ※先行トラック予定
3. Dim It
4. Raise Me Up ※既発曲
5. You Know It's Love
6. Afraid To Be Cool ※既発曲
7. She Don’t Know How To Dance ※先行トラック
8. Steal The Sun
9. Long Nights
10. Hallelujah
+デジタルボーナストラック(ALL BP)
11. Epic Swing ※バンドルロック(予定)
【ダンスコンテスト開催中】
「She Don’t Know How To Dance」
Do You Know How To Dance?

特設ページURL:https://miyavi.mycontest.jp/detail

 

ライブ情報
<イベント>
10月20日(木) 名古屋BOTTOM LINE
※coldrain「原点回帰全国ツアー」名古屋公演ゲスト出演

MIYAVI Japan Tour 2016 “NEW BEAT, NEW FUTURE”
9月19日(月・祝) 札幌    PENNY LANE 24
9月21日(水)     仙台    Rensa
9月22日(木・祝) 金沢    EIGHT HALL
9月24日(土)      松山    W Studio RED
9月25日(日)      広島    CLUB QUATTRO
9月27日(火)      熊本    B.9 V1
9月29日(木)      福岡    DRUM LOGOS
10月1日(土)      大阪    なんばHatch    
10月2日(日)      名古屋    ダイアモンドホール    
10月10日(月・祝)東京    幕張メッセイベントホール

 

 

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