シャネル、ディオール、サンローラン モードの歴史を一望する『モードとインテリアの20世紀展』レポート
『モードとインテリアの20世紀展 ―ポワレからシャネル、サンローランまで―』会場の様子
めまぐるしく変化する20世紀のファッションを、各時代のインテリアとともに概観する『モードとインテリアの20世紀展 ―ポワレからシャネル、サンローランまで―』が、パナソニック 汐留ミュージアムで開催されている(2016年9月17日~11月23日まで)。9月16日に行われたプレス内覧会より、本展のみどころをご紹介しよう。
会場入り口もエレガントな雰囲気
時代をリードした華麗なる作品、約130点
本展の全作品を提供するのは、島根県立石見美術館。世界的ファッション・デザイナー 森英恵の故郷が誇る質の高いコレクションの中から、1900年~1960年のオートクチュールを中心とした衣装に加え、バッグや装身具、ファッション・プレート(流行のファッションを描いた版画やイラスト作品)、雑誌、写真などから、およそ130作品(衣装は36作品)が厳選された。
(中央)マリア・リカルツ《バッグ》1919年 島根県立石見美術館所蔵
(左手前)ジョルジュ・バルビエ《ダンス》『モード・エ・マニエール・ドージョルドゥイ』1914年 島根県立石見美術館所蔵 (右)シャルル・マルタン《ミュール》『モード・エ・マニエール・ドージョルドゥイ』1913年 P1.4. 島根県立石見美術館所蔵
各時代の注目ファッションをピックアップ!
本展の4つのセクションから、時代ごとの注目作品をピックアップしてみよう。
1900年代、それまでコルセットで締め付けられていた女性を解放するような、自然な体のラインを生かすスタイルが生まれた。ポール・ポワレ、マリア・フォルチュニイの緩やかなシルエットのドレスが象徴的だ。
(右手前)ポール・ポワレ《イブニング・ドレス》 1913年 島根県立石見美術館所蔵
(中央)マリアノ・フォルチュニイ プリーツ・ドレス《デルフォス》1910年代 島根県立石見美術館所蔵
"狂騒の時代"と言われた1920年代には、ガブリエル・シャネルの『リトル・ブラック・ドレス』と呼ばれる黒一色のシンプルなドレスが流行。続く1930年代には金糸やスパンコールの刺繍をふんだんに使ったドレス、毛皮やベルベットの重厚なコートが好まれた。
(右手前)ガブリエル・シャネル《イブニング・ドレス》 1927年頃 島根県立石見美術館所蔵
(右手前)マドレーヌ・ヴィオレ《イブニング・ドレス、ストール》 1938年 島根県立石見美術館所蔵
戦後の解放的なムードに包まれた1940年代。オートクチュールが復活し、細いウエストからたっぷりとしたスカートが広がるエレガントな『ニュー・ルック』が女性たちを魅了する。クリスチャン・ディオール、クリストバル・バレンシアガによるシルエットを追求したドレスが印象的だ。
(右手前)クリスチャン・ディオール《ボール・ガウン》1954年 島根県立石見美術館所蔵
1960年代に入ると、宇宙開発や近未来への憧れが募ると、アルミや紙などユニークな素材の衣装が登場し始める。個性派スタイルが注目される中、森英恵の東洋的な美を体現した作品は米国版『VOGUE』の誌面を飾った。また、フランスのファッションデザイナーであるアンドレ・クレージュが大衆文化だったミニスカートをハイファッションに取り入れ注目されるなど、新しい時代の幕開けを感じさせた。
森英恵 ホステス・ガウン《菊のパジャマ・ドレス》1966年 島根県立石見美術館所蔵
(右手前)アンドレ・クレージュ ドレス、ブーツ 1960年代後半~70年 島根県立石見美術館所蔵
各時代の"生活空間"と共に味わう
本展を楽しむコツは、衣装を引き立てる背景パネルにも注目することだ。そこには各時代のインテリアスタイルが描かれ、どんな生活空間の中でその衣装が着られていたかを立体的に理解できる。これまで建築、工芸、デザインなど『くらし』に関わる展示を手がけてきたパナソニック汐留ミュージアムらしい視点により、ハイファッションの世界もより温度を持って感じられるのだ。
背景パネルから当時の生活空間が想像できる
時代の変化と共に移ろうファッションが、時には新しくなろうとする女性たちに勇気を与えてきた。美しさも潔さも併せ持つモードの世界を、ぜひ堪能してほしい。
開館期間:2016年9月17日(土)~11月23日(水・祝)
開館時間:午前10時より午後6時まで(ご入館は午後5時30分まで)
休館日:毎週水曜日 (ただし11月23日は開館)
入館料:一般 1,000円 / 65歳以上 900円 / 大学生 700円 / 中・高校生 500円 / 小学生以下 無料 / 20名以上の団体 各100円割引 / 障がい者手帳をご提示の方、および付添者1名まで無料で入館可能
主催:パナソニック 汐留ミュージアム、毎日新聞社
特別協力:島根県立石見美術館
後援:フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本、港区教育委員
協力:TOKYO MX