スリップノット・クラウン、富士の樹海に降り立つ アートに対する姿勢など貴重な言葉を訊いた

インタビュー
音楽
2016.9.23
スリップノット・クラウン

スリップノット・クラウン

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貴重な体験をした。
11月5日・6日に幕張メッセで『KNOTFEST JAPAN 2016』を開催するスリップノット。その中心人物であるクラウンがプロモーションで来日したのだが、タイトなスケジュールの中、“完全プライベート”で富士青木ケ原樹海に向かうという。SPICEはこのトレッキングに参加を許可され、早朝から夕方までクラウンと共に行動した。雨が降りつづける環境の中での樹海散策はハードなものであったが、我々は樹海での撮影、その後の北口本宮富士浅間神社でのお祓いまで完全帯同、クラウンから貴重なインタビューを取ることに成功した。猟奇的なビジュアルの奥に見えるクラウンの哲学的アート論、そして何故樹海に向かったのか? 詳しく聞いてみた。

――今回はクラウンたっての希望ということで青木ヶ原樹海に潜入しました、如何でしたか?

良かったよ! 俺は自然が好きなんだけど、自然は人生と一緒だと思っているんだ。自然も人生も色んな顔があるだろ? 美しさもあれば厳しさもある。人間は本質として自然に帰るんだなと思えたよ。特に富士風穴は良かったね。温度差が凄くて寒さを感じたし、ガイドの先生が「この穴は東京までつながっている」って言ってたけど、俺達は二時間半かけてここまで来たんだぜ? どんだけ長いんだよ!(笑)

――この青木ヶ原樹海のことはいつ知ったんですか?

はじめは誰かが俺に写真を見せてくれたんだけど、ここが自殺の名所で、カルト的な要素がある場所だと知ったのは後からなんだ。俺はただ美しい森だと思ったからね。本当に美しいと思ったし、俺は来なきゃいけないと思ったんだよ。日本に来る時は東京、大阪と大都市から大都市への移動だけになって、こういうローカルな場所に来ることは少ないから、こうして来れて嬉しいよ。俺は釣りが好きだし、あそこでキャンプして、テントの中で雨の音を聞いて、ギターを弾きながらビールを飲むのさ、友達と一緒に過ごすのは最高だと思うぜ?

――確かに、日本での移動となると寄り道する余裕はなかなか無さそうですね。

今回のようなことはとてもありがたく思うよ。スリップノットが日本に来れるから俺もこういう体験をすることができるワケだし、それはラッキーだと思うな。バンドが連れて来てくれているという意識は強くあるよ。俺は物事を学ぶことがとても好きなんだけど、その学んだことを点(ドット)にして、それを集合体にして一つにした時にいいものが出来上がると思ってる。それが次のアルバムにもつながると思うね。俺の中ではアートを作る上でそういうプロセスが必要なんだよ。

悪天候の中であったが、喜々として樹海を進んだクラウン

悪天候の中であったが、喜々として樹海を進んだクラウン

――では、今回の旅はインスピレーションを刺激しましたか?

樹木があれだけ生えていて、石の上に木が根をはってグネグネと根が這いまわり、そしてそれが枯れていったり……あの景色も俺の中ではドットの一つだから、そういう体験ができたことはとても嬉しいね。長い時間いられたわけではなかったけど、また来たいと思うね……次は雨が降ってないといいな(笑)。もっと色々なものを見たいね。

――青木ヶ原樹海は日本では自殺の名所と言われていますし、心霊スポットとしても有名です。クラウンはそういう霊的なものは信じているんですか?

それを説明するのは難しいな、これは決して前向きな意見ではないが、俺は何も感じないけれども、感じる人は何故そうなるんだろうか?と考えることはある。そういうマインドは俺達にはないんだけど、そういう人たちはどういう思考回路でそう思うのか、何を感じているのかって思うことはあるな。俺達にはそういう能力はない、だから別に心霊的なものを求めてここに来たわけじゃないんだよ。

――青木ヶ原の樹海のほかに、日本ではパワースポットと言われる北口本宮富士浅間神社でお祓いを受けましたが、まるで雰囲気の違う2つのスポットに来た感想をいただければ。

樹海は俺からしたらネガティブな印象はまるでない、ただただ美しかった。人間の意志でそこにネガティブな印象を与えているだけなんじゃないか? そこに生える生物たちには何も罪はない。軽いことは言えないが、あそこで命を落とした人は苦しいから死を選んだんだろ? そういう気持ちになった時に行くのなら、あそこは世界で一番美しい場所なんじゃないか? 最後を選んだ人が行き着く美しい場所、そういう考え方もできると思う。

――僕ら日本人ではなかなか考えられない意見です。あそこは日本で一番恐ろしい場所という印象がありますからね。

俺は勉強し、体験するためにあそこに行ったんだ、ネガティブサイドを何も見ないし考えないから怖くないよ、体験したものが全てさ

――逆にクラウンが今恐怖を感じるものは何かあるんですか?

妻が使うクレジットカードの金額かな!(爆笑) 真面目に答えれば、子供に対して何もできなくなることは恐ろしい。子供が自分を必要としている時にそばに居てあげられないことが怖い。……後はでかい猫かな。猫を見ると、俺を殺すんじゃないかって思うんだよ。あれはちっちゃいライオンみたいなもんだぞ?

樹海に佇むクラウン

樹海に佇むクラウン

――(笑)。樹海では写真も撮りましたが、僕はまるでスリップノットのジャケット撮影をしているような気分にもなりました。

確かに。でもな、俺だけのエゴがスリップノットになってはいけないんだ。今日の旅はクラウンのやりたかったこと、俺の願望やクラウンの持っている要素なんだ。他のメンバーの活動ややっていることもそうで、これもドットだよ、スリップノットを形成する一つでしか無い、これが全部ではないんだ。

――なるほど。そしてバンドとしては来月『KNOTFEST JAPAN』であらためて来日します。今回の『KNOTFEST』はどういうものになりそうですか?

なにか変わったことをするのに時間はかけたくないな。ファンが何を望んでいるかだよ。世界中のファンがそれぞれ違うものを目にすることはあまり良くないじゃないか。今回の『KNOTFEST』は2日あるから、違うことはできるんだけど、今回の2日間はツアーの締めくくりだと思ってるよ。ここで一区切りしてまた次のアルバムの制作に入るんだ。日本の『KNOTFEST』が集大成ではあるから色々考えているよ。

――今回はラインナップもすごいと思いますが、他のバンドに期待することとかありますか?

皆に覚えておいてほしいことは、バンドってやつにはいろんなシチュエーションがある。一緒にここのタイミングで日本に来てライブをすることはとても難しいんだ。それに対しては「だったら来れる奴らで最高の奴らを集めればいいじゃないか!」と思ってる。そうすれば皆にチャンスがあるだろ? ということは、毎回同じことは出来ない、10回ノットフェスをやれば10回違うラインナップになる。それでもスリップノットとしてこのフェスを成功させる、それが俺たちの作るフェスだよ。

――『KNOTFEST』には毎回スリップノット以上にキャリアがあるバンドが必ず出演していると思うんです。今回で言えばアンスラックスなどがそうだと思いますが、彼らに対するリスペクトなどありますか?

んー、どうだろうな?(笑)。 俺は尊敬とかそういうことは言わない、彼らからいつも学ぶことがあるが、誰かに憧れるとかそういうのはないね。家族以外の誰かと一緒にいることもあまり多くない。長く付き合うことでそいつを落胆させたり、逆にそいつに落胆させられて自分が落ち込むくらいなら、俺は距離をとっていたいから。

――距離ですか。

俺達が提示するアートというものに対して、それぞれの捉え方があるのはわかってる。でもやっぱり俺達が意図するアートというものがあるんだよ、それを押し付けるわけではないけど、俺が死んだ時に間違って捉えられて「あれは良くなかったよね」とか言われたくはないな。スリップノットはこうだったよな!こういうものだったよな!という確固たるものを提示していきたい。人付き合いの延長線上で有耶無耶にしたくないんだ。みんなに間違われないためにも、俺はある程度の距離をとっていたいと思ってる。

――それにしても、クラウンと一緒に青木ヶ原の樹海に行ったのは一生の思い出です。

俺も同じように感じてるよ、人生にもしかしたら一度だけの体験を一緒にできて嬉しいよ。アリガト! 最後に、さっきのドットの話をいいかな。一番難しいことはドットを創ることだ。今回で言えば樹海というドットを必要としたら、そこに案内してくれる人間が必要だ。でもお前たちがさっき言ったように、あそこには日本人が感じるネガティブな印象がある。それだけで行くことが難しいんだよ。でも俺はスリップノットのクラウンとしてやりたいことをやるし、創りたいものを創るために必要だと思えばどこにだって行く。だからこうして今回来たんだ。それが俺のバンドに対する、アートに対するシリアスな向き合い方だよ。どんなショーも同じで、俺達のやりたいことをおもいっきりやる、それがスリップノットのショーだし、クラウンの人生さ。ひょっとしたら今回の記事を見たやつが「あそこに行って死ぬのを辞めよう」と思うかもしれないだろ? わかんねえけどな(笑)。スリップノットが人生を救ってくれたっていうキッズは世界中にいる、マゴッツはひとり残らず大切な存在なんだ。そういう奴らの人生を少しでも助けられたのならいいじゃないか。

――そうですね。記事を作り、伝える僕達にも責任を背負う必要はあると思いました。

今回、お前たちが来ることをOKしたのには理由があるんだ、アメリカだったら絶対にNOだ、なぜならヤツらはハリウッドのスタイルで自分たちのいいように、ヤツらに利益が出る形に内容を変えてしまう。俺は日本のメディアは経験上信じられるんだ。正しいメッセージを正しく伝えて欲しいと思ってるよ、信じてるぜ。


レポート・文=加東岳史 構成=風間大洋

イベント情報
『KNOTFEST JAPAN 2016』

2016年11月5日(土)・6日(日)
幕張メッセ 国際展示場 9~11ホール
OPEN 10:00 / START 12:00

■チケット一般発売
2016年8月27日(土)10:00~

■チケット料金
1日券:¥14,000 2日通し券:¥27,000
Tシャツ付1日券:¥17,000 Tシャツ付2日通し券:¥30,000
※オールスタンディング / 全て税込

 

 

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