Neverland、DOF、グリモアのスリーマンツアー、音楽で通じ合う3バンドの約束
グリモア / Develop One’s Faculties / Neverland
9月28日(水)、渋谷REXを舞台にNeverland / Develop One’s Faculties / グリモアの3バンドによるイベント『その認識間違ってますよ! Neverland DOF グリモア 東名阪スリーマンツアー 我々を観ろ』が行なわれた。最後には、3バンドによるセッションも繰り広げられた、この日の模様をここにお届けしよう。
グリモア
グリモア
幕が開くと同時に、そこには灯を携えた4人の姿が。その灯も、合図と共に一つ一つ消えてゆく。すべての光が途絶え会場中が闇に包まれたのを合図に、舞台上から流れだしたレトロなワルツの調べ。そのリズムに呼ばれヴォーカルのRyNKが舞台上に姿を現した。
演奏は一気に重い衝動を持って走りだした。『プラスティックシアター』が会場をダークで怪しい黒い宴へと塗り上げてゆく。間奏では優しいワルツの調べも奏でつつ、グリモアが示したのは闇の中、心も身体も捩じらせ踊り祭る狂乱の宴だった。
Melの躍動的なドラムビートに乗せ、猛り始めた演奏。グリモアは観客たちを煽っては、ノイジックな音の洪水の中へと巻き込みだした。煽りに続きRyNKがホイッスルを鳴らすや、演奏は次の演目『ブラッディマイパレード』へ。 このパレードは、とても毒々しい。荒れ狂う演奏へ身体は嬉しく呼応しながらも、脳髄を掻き乱すヒステリカルでメロディアスな歌は意識を笑顔でとろけさせていた。このひねくれた感覚が妙に心地好い。
激烈なパーティロックがファンキーに炸裂。ギターを中心とした演奏はヘヴィだが、楽曲自体が弾む躍動を意識下に与えてゆく。『タロットゲーム』が示した、ハード/メランコリックな音で身体を揺らす快楽。グリモアは闇の世界を舞台に、次々と頭を攪乱させる恍惚の音楽を注入していった。
グリモア
螺子を巻いた音が次の演目への合図。絶叫も交え、激しく煽るRyNK。痛い刺激を満載に、グリモアは黒い衝動を叩きつけていく。過激/メロウ/デスロマンティックと、一曲の中で次々と表情を変えてゆく『からくりパルム』に合わせ、客席前方ではファンたちが荒ぶり続けていた。
ダークでメランコリックなSEから、一変。観客たちを奈落へ次々と引きずり落とすように、グリモアは激烈な音を叩きつけた。一転、歌が始まるや、楽曲は黒い切なさを醸すバラードへ。『ネバーエンド』は、闇で蠢く人達へ捧げた病みの乞狂曲。朗々と歌いあげるRyNKの歌声が、聞き手を痛い世界へ誘い続けていた。
『「シン」せかい』は、観客たちをヘドバンや折りたたみの空間へと導く豪圧高揚曲。重く唸る音に身を委ねていたら、何時しか身体が大きく揺さぶられていた。激しく頭を振り乱して逝た。
高ぶった熱狂へ、さらに毒を持った熱を注入するように、グリモアは病みを抱えて疾走する『エデンのそこ』を突き付けた。その衝撃に触れたら跳ねずにはいれない。だから、後ろの人達も何時しか跳ねたり、手を揺らしていた。
最後の『ぼくとタルパ』でもグリモアは、荒ぶった衝動を激烈な演奏に変え、観客たちに突き付けていた。楽曲の中から垣間見えるメランコリックな香りが嬉しいスパイスとなり、激しさの中にも親しみを覚えさせていた。グリモアのライブ、闇に包まれた遊園地の中、楽しく病んで逝った気分だった。
尖ったギターの音が連なり、物語を紡ぎだした。いや、すぐに演奏は乾いた音を尖らせ走り出していた。Develop One’s Facultiesが示したのは、病んだ心の闇を叫ぶように歌う『ご想像にお任せします』。「嫌いだ嫌いだ、お前なんて死ねばいい」とヴォーカルのyuyaはがなり立ててゆく。何より、空間を活かしたギターロックな音がとても胸を熱く掻き立ててゆくスリリングな演奏なんだ。
Develop One’s Facultiesが示したロックスタイルの刺激はかなり強烈だ。なんてソリッドでスリリングだ、切れ味鋭い音をダイレクトに突き付けた『残念な唄』が示した衝撃には、初期衝動という言葉が相応しい。その痛い音は、魂をグッと握りしめてくれた。
ヒステリカルでフリーキーな演奏が爆発。イカれたソリッドなロックナンバー『隣町の人』が、意識をグチャクチャに掻き乱し恍惚に変えてゆく。サビや間奏ではタオルを振りまわし熱狂する人達も。熱を持って疾走し続ける音に身を預けていると、一緒にエクスタシーを感じてイケそうだ。マジに気持ちのいいパーティな空間じゃないか!!
飛び跳ねずにいれない、声を上げて騒ぎたくてしょうがない。Develop One’s Faculties流カラフルなパーティロックチューン『psychedelic modulation』が、どんどん恍惚の舞台へ連れてゆく。何時しか場内でも、無邪気に跳ねてゆく人たちが続出。ホント、お洒落な音楽を突き付けるとっぽい連中だぜ。
Develop One’s Faculties
「飛び跳ねれるかー!!」。身体をズクズクと揺らすヘヴィファンクなビートをブースト。ヒステリカルでサイコティック、思いきり変態ロックしているからか、その演奏はかなり刺激の強い毒を持っていた。プログレッシブでスタイリッシュな『この世界が嫌いな人へ』が、触れた人達の感覚さえも恍惚に捩じ曲げていた。上質かつ理論的なのに、ヤバいくらいにぶっ飛んだハイソな音楽だ!!
『正常とは』は、Develop One’s Facultiesの突き付ける演奏に身を預け、頭を空にして騒ぎ狂うこと。疾走する演奏が、身体中へアドレナリンを流入させてゆく。誰もが、頭上高く掲げた手を下げることなく熱狂に溺れていた。熱気を携えながら、いや、さらにパワーとスピードを倍増させ、Develop One’s Facultiesはソリッド&ハードに『斑』を突き付けた。研ぎ澄ました鋭利なギターの音に、どれくらい身体や感情をスパッと切り刻まれたことか。ヤバい、上がりたした熱が火照り続けている。
深いリバーブの効いたギターの調べを合図に、Develop One’s Facultiesはハイポテンシャルなダンスロック『結果論』を奏でだした。理屈じゃない、身体が勝手に反応しては跳ね続けていた。極上なダンスビートが、気分までもゴージャスに盛り立ててゆく。最後に叩きつけたヘヴィミクスチャーなビートナンバー『insert memor』まで、Develop One’s Facultiesは終始気分をアッパーに導く衝動と刺激的な衝撃を。何より、ロックで踊る興奮を教えてくれた。ビジュアルロックで踊る。その楽しさを、ぜひDevelop One’s Facultiesを通して味わい尽くしていただきたい。
眼前に現れたスクリーンに映し出されたのは…。Neverlandのステージは、最新ナンバー『SECRET WORLD』のMVの上映からスタート。その衝撃を引き継ぐよう、映像で流れた音を数倍激しさを増した形のもと、ライブは『SECRET WORLD』から幕を開けた。挑むように、観客たちへ喧嘩をふっかけるくらいの気迫を持って、涼太は歌い叫んでいた。演奏陣のプレイも、何時も以上にぶっ太い音の衝撃を突き付けていた。いや、ぶっ太い音のこん棒をブンブン振りまわしているような凄まじさだ。最後の涼太のスクリーモの存在感の、なんて壮絶だったことか。
勢いへさらに華激さを塗り重ねるように、Neverlandはヒステリカルでサイコティックな『666Hz』を突き付けた。舞台上もフロアーも、感情を剥き出しに騒ぎ立ててゆく。いや、そうすることが、この空間では最上級に愉快な快楽であり、恍惚なんだよ。
「踊れー!!」。『ハイカラ輪舞曲』が連れ出したのは、ゆらゆらと身体を揺らしながら快感に溺れてゆく心地好さ。Neverland流のダンスロックと言えば良いだろうか、歪んだ演奏なのに身体を弾ませてゆく感覚は、螺子の曲がった彼らだからこそ生み出せる味。ぶっちゃけ理屈なんかどーでもいい、たとえ歪んでいようと、その歌や演奏が気持ちいいから、みんな飛び跳ねているんだもの。
ソリッギなギタービートが炸裂、演奏は一気に駆けだした。Neverland流怪しく妖しいシャッフルナンバー『絶交×キャンディ』が、ヤバイ嗜好の世界へと導き出した。そこは、開けてはいけない禁断の社交場。極彩色な照明の下、怪しく入り乱れる人達の感覚を酔わせる音楽として『絶好×キャンディ』は最高に似合う表情だ。人なら誰もが持つ快楽のツボを、この歌が怪しく貫いていた。
その白昼夢が見せたのは、頭を空にして、流れる演奏に身を任せ身体を揺らしていくこと。哀切な歌が胸をギュッとつかみながら、躍動し続ける演奏はしっかりと身体を揺らしていた。ミッドメロウな『Daydream』が見せたのは、気持ちをグッとつかんで離さない魂震える喜びだった。最後に生まれた合唱が、一緒に分かち合いたい想いがそこには確かにあったことを証明していた。
「俺は一瞬一瞬を大切にして歌ってる。後悔ないくらいに楽しんでくれよ」。ヴォーカル涼太の言葉に続き、心をキュッと嬉しくときめかせる『ココロアンブレラ』が流れだした。その歌や演奏に触れている間中、ずっと顔が笑みを浮かべていた。何時しか大きく手を揺らし跳ね続けていた。心が一つに結ばれ合う瞬間、それを、このとき確かに感じていた。
「ブチあげようか!!殺っちまえー!!」、ダークにワイルドにブッ太い音を突き付けながら、Neverlandは闇の熱狂空間へ『アグリマン』を導いた。豪圧な演奏に挑むように激しく身体を折り畳んでゆく観客たち。哀愁抱いた歌なのに、身体を思いきり揺さぶらないことには気持ちが許さないんだ!!。
「俺とヤリたい?!、激しいのイコうぜ!!」。最後にNeverlandは『憂鬱チェリー』をブースト。爆裂した演奏に身も心も預けながらフロアー中の人達の身体が大きく波打ってゆく。誰もがありったけの気持ちを舞台上へぶつけていた。途中、グリモアやDevelop One’s Facultiesのメンバーも乱入。楽器を持ち替えたり、歌い手3人がマイクをまわしながら、場内へさらに爆裂した興奮の宴を作りあげていた。何度も何度も繰り返される煽りの風景。メンバーたちが入り乱れ観客たちを煽ってゆく際の表情が、なんてキラキラ輝いていたことか。それくらい一緒に入り乱れ騒ぐことが嬉しかったということだ。
SESSION
最後にNeverlandの涼太(Vo)/てら(B)、Develop One’s Facultiesのyuya(G)、グリモアのメル(Dr )という特別編成で、Neverlandの『Merry go land』をセッション。三拍子のロックナンバーが、熱狂に火照った観客たちの身体や意識を優しく抱きしめていた。「また一緒にこの3バンドで騒ごうぜ」と約束をするように、音楽を通して心と心で指切りを交わしていた。
3バンドともに、「ふたたびこのメンツで、しかも規模を拡大してやりたい」と語っていた。ということは、来年辺りまたもこのメンツで実現…することを、今は願おうか。この熱狂をもっともっと大きな形で各地へ届けるためにも…。
文=長澤智典