白石隼也インタビュー 『仮面ライダーウィザード』から『彼岸島 デラックス』まで 一流のアクションを経験してきた俳優がたぎらせる‟情熱”
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白石隼也 撮影=荒川 潤
10月15日から公開される映画『彼岸島 デラックス』は、ヤングマガジンにて連載14年目を迎えた松本光司原作のコミック『彼岸島』シリーズの実写化作品。タイトルでもある“彼岸島”を舞台に宮本明と篤の兄弟が、マスターヴァンパイア・雅(栗原類)率いる吸血鬼勢力と繰り広げる戦いを、独自の表現で描く作品だ。2013年のドラマ『彼岸島』(TBS・MBS系)から、約3か月の撮影期間と破格の予算をかけ、アクションと邪鬼(オニ)の描写を大幅にパワーアップさせての映画化となった。
物語の中心となる宮本明を演じるのは、『仮面ライダーウィザード』主演で脚光を浴び、NHK大河ドラマ『真田丸』にも出演する俳優・白石隼也。高いアクションスキルでも評価される白石は、どのような心構えで初のソードアクションに挑んだのか? W主演の鈴木亮平との壮絶な立ち回りや、一流アクション監督たちの現場で得たものまで、じっくりと語ってもらった。
漫画原作が多い現在は「想像力が試される時代」
白石隼也 撮影=荒川 潤
――前作(2013年のドラマ版)『彼岸島』から引き続いての宮本明役ですね。少し時間が空きましたが、戸惑いはありませんでしたか?
前作の1年後くらいから撮影が始まりました。ただ、脚本を読むと作品のテイストが前作と大きく変わっていたので、あまり続編と意識せずに現場に入りました。
――たしかに今回はホラー要素よりも、アクションと邪鬼(オニ)をはじめとするクリーチャーの魅力にフォーカスしていますね。
アクションに関しては、日本でもトップクラスの優秀な若いアクション部(編注:撮影時のアクション監督やスタントマンの総称)の方々が参加しています。邪鬼についても、撮影の段階でCGを使ったVコンテ(編注:撮影時に俳優や監督に状況を説明するためのテスト映像)が出来上がっていました。
――主演された『仮面ライダーウィザード』や、『GANTZ』シリーズでもCGを交えたアクションは経験してらっしゃいます。とはいえ、巨大なクリーチャーをイメージして演技するのは難しかったのでは?
100メートルとか200メートルの敵と戦っているんですが、実際にそんな相手に対峙したときに、どれだけのパワーで、どんな匂いがして、歩くとどれだけの揺れが起こるとか……そういうことはやっぱり想像しづらいし、難しいです。『GANTZ』でも大きな敵と戦いましたが、今は漫画原作の映画が非常に多いので、想像力が試される時代になったと思います。
白石隼也 撮影=荒川 潤
――刀を持ちながらのワイヤーアクションも多かったですね。
刀をちゃんと振ったのは初めてでした。一番最初に撮っているシーンと最後のシーンは、自分で観てもアクションの出来が違うのがわかります。撮影前にも練習はしたんですが、今回は現場でかなりしごかれて。本当に、アクション部の一番下の弟子として入門したような気分でした。
――初めてとは思えないほど堂に入った動きでしたが。撮影前にもかなり練習されたんですか?
作品に入る前は何回かしか練習できなかったんですが、知り合いのアクション部の方に刀の振り方からまず教えてもらいました。木刀を買って、レンタルスタジオを借りて練習しました。今回のアクションは『るろうに剣心』で谷垣健治さんがやられていたスタイルで、「ラバー刀」という特殊な刀を使っています。これまでは竹光を使った「抜く」アクションだったんですが、今回は実際に刀を体に当てていくスタイルです。もちろん、今でも竹光を使った現場もありますが、ラバー刀を使った新しいアクションで岐路ができた。ぼくも最初は当てていくのが怖かったんですが。
――すごくダイナミックで、叩き割るような動きでした。
そうですね。実際もそうだったんじゃないか、という考察のもとに「叩き斬って」いるんです。今までの竹光のアクションを否定しているわけではなく、「抜いただけで斬れるのか?」という考え方ですね。
――『るろうに剣心』は速い剣戟という印象なんですが、『彼岸島 デラックス』には重い剣戟という印象を受けました。1対多のアクションシーンもかなりあったので、体力的に大変だったのでは?
撮影が真夏で、ブーツを履いて革ジャンも着ていたので、とにかく体力的にキツかったです。革ジャンは衣装部に作ってもらったもので、(アクション用に)多少薄くしていただいていますが。
白石隼也 撮影=荒川 潤
――鈴木亮平さん演じる兄・篤との対決がメインになっていたので、お二人のアクションシーンも見どころかと思います。3つほど全くコンセプトが異なる戦い方をされてらっしゃいましたが、アクションコーディネーターの吉田浩之さんの演出もあったんでしょうか?
吉田さんは一つひとつのアクションに意味を持たせて演出してくださるので、本当に迷いなく動けました。兄貴(鈴木)との闘いは、最初は派手だったのが、地味になっていくので、普通のアクション映画の流れとは逆なんです。今回は最初にとんでもない化け物と戦って、最後は等身大の人間が相手という設定なので。そこに関してはアクション部も不安があったようなんですが、兄弟の感情のぶつかり合いを表現しようと思って、最後は思い切って殴り合いました。
――見せるアクションから感情のアクションに変化していくのがとてもよかったです。鈴木さんもアクションに関してとても真摯な方ですよね。ぶつかり合ってみて、いかがでした?
亮平さんは同じ事務所の少し先輩なんですが、お互いにあまり仕事がない頃から知っている仲で、気心が知れてるんです。亮平さんはアクションが上手だし、「ある程度いっても大丈夫だろう」と思っていたので、まったく遠慮することなくやらせてもらえました。亮平さんからも、あんまりぼくに対する遠慮は感じられなかったです。本当にキックが痛かったので(笑)。
――あれは痛そうでした(笑)。
でも、そこで「OK」になったら、こちらもいきやすいですし。亮平さんだからこそあそこまでやれた、というところは大いにあります。
――鈴木さんは身長も高くて筋肉量も半端じゃないので、迫力がすごいですよね。白石さんが8キロも増量されたのは、見劣りしないようにという意図もあったんでしょうか?
単純に脚本で「強くなった段階の明」という設定だったので、1年間島で修行をしたくらいには体重を増やさなきゃ、と思いました。ジムに行って、プロテインを飲んで、ひたすらに肉を食べて増量しました。
白石隼也 撮影=荒川 潤
――本作には「兄を越える」というテーマもあると思うんですが、意識して演じられたんでしょうか?
「物理的な力で兄を越える」のがテーマです(笑)。実際に撮影が始まった頃は亮平さんのほうがアクションが上手ですし、亮平さん自身もアクションに自信を持っていて、「そのへんの役者にはアクションで負けねえよ」とよくおっしゃっています。だから、ぼくは亮平さんのアクションに勝たなきゃいけないな、という思いがすごくありました。そこがある意味物語ととてもリンクしていました。
――最後の対決は本当に鬼気迫るものがありました。
亮平さんとのシーンは、あまり和気あいあいとは撮っていなかったと思います。淡々としていたというか。
――原作シリーズはちょっと面白さを狙ってるところはあると思うんですが、今回の『彼岸島 デラックス』はかなりシリアスですよね。
もうちょっと面白さを入れてもいいんじゃないかと、ぼくは思いましたけど(笑)。ザブングルの加藤さん(編注:吸血鬼たちと戦うレジスタンス役)が村人を助けようとして、助けられない場面があるんですが、ぼくはそこで「『くやしいです!』ってセリフを入れたらどうですか?」と監督に提案したんです。でも、監督は加藤さんのギャグを知らなくて(笑)。
――幻になっちゃったんですね(笑)。
一流アクション監督たちの現場で感じた情熱
白石隼也 撮影=荒川 潤
――『GANTZ』『ストレイヤーズ・クロニクル』では下村勇二さん、『仮面ライダーウィザード』シリーズでは坂本浩一さん、そして香港のアクションスタードニー・イェンの現場も経験した吉田さんと、そうそうたるアクション監督・コーディネーターの方々と仕事をしてらっしゃいます。白石さんは今のアクション映画の現場をどうご覧になられているんでしょう?
最近、すごくアクションをやる機会が多いです。先日もあるアクション作品に参加しましたし、今も『真田丸』で殺陣をやっています。いろんなアクション部の方々と一緒に仕事をさせてもらって、けっこう仲良くさせていただいています。漫画原作でアクションものが多いというのもあって、皆さんすごく忙しくて活き活きとしていて、やっぱり若いアクション部の方々のエネルギーをすごく感じるんです。本当にあの方たちはタフだし、希望を持って日本のアクションを盛り上げようとしているのをすごく感じていて。実は今、仲のいいアクション部の方たちと自主映画でアクションを撮ろうという話もしていて、ぼくが今脚本を書いています(笑)。
――素晴らしいですね! そこまでアクションに情熱を持ってらっしゃるとは思っていませんでした。
白石隼也 撮影=荒川 潤
いろんな現場でこの話をすると、みんな「やらせてほしい!」と言ってきてくれて。下村さんのチームの園村健介さん(編注:『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』などのアクション監督)も自主映画を撮られて、海外の映画祭のコンペに出されているみたいで。そんな流れもあって、こんなにアクションをやってる方たちが熱いなら、是非一緒にやりたいと思いました。だから、最近はいろんなアクション部の方たちと連絡をとりあっています。高岩成二さん(編注:2000年代の『仮面ライダー』シリーズで主役ライダーを演じてきたスーツアクター)も協力するとおっしゃってました(笑)。
――すごいことになってますね。完成したら是非拝見したいです! これだけアクションに深く関わってらっしゃるので、やはりこれだけはゆずれない、というこだわりもあるのでは?
やはり、アクションが“型”になるのは嫌ですね。「それはアクションじゃなくて、型じゃん」という。アクションシーンが始まると、それが“型”になってしまっている作品があるんですが、ああいうのはすごくしらける。それだけはやりたくないな、と思います。
――決められた動きをこなすだけになってしまっている、ということですね。先ほどの鈴木さんとの対決シーンの話を聞いていても、アクションで感情を見せるのを意識してらっしゃるんだろうと思いました。そういえば、アクションではない自主映画も撮ってらっしゃるとか?
これまでに2本撮っています。1本は『仮面ライダーウィザード』が終わった後、たまたま同級生で映画監督を目指しているヤツがいて、ぼくも役者になったので、「何か一緒にやろう」ということで撮ったんです。もう1本は、去年。仲のいい脚本家で、まだデビューしてない人ですが、すごく才能のある方がいて。その人と一緒にやりたいと思って、脚本を書いてもらいました。
――いつか世に出ればいいですね。
そうですね。ただ、これは世間の人たちに観て評価してほしいというよりは、単純に楽しいからやっているんですが。やってみたら、めちゃくちゃつらいこともあります(笑)。
白石隼也 撮影=荒川 潤
――いろんなことにチャレンジしてらっしゃいますが、俳優としての理想像みたいなものはあるんでしょうか?
どれだけ自分を追い込めるか、というところでしょうか。ぼくは自分にすごく甘いところがあるので、けっこうサボっちゃうことがあるんですよね(笑)。でも、サボるとそれはバレる。だから、死ぬまではいかなくても、徹底的に自分を追いつめたいです。普段演技をしていて、たまに高揚感みたいなものを感じたりするんですが……そういう領域にいつか行ってみたいです。もう少し歳を重ねて、いろんなものを感じて、場数を踏んで経験を積めば、たぶん全然違うところに行けるだろうと思いますし、違う感覚で芝居ができるんじゃないか、と思います。
――試行錯誤の最中ということですね。
「自分が今どういう役者で、どういう役がいい」なんて言える段階には、まだ到底立てていないと思うので。自分にはこういう個性がある、とわかるまで色んなものをがむしゃらにやるしかないです。
――最後に、これから『彼岸島 デラックス』をご覧になる方にメッセージをお願いします。
漫画の『彼岸島』はすごく人気の作品で、今回の映画はその良さが生きていると思います。先日、シッチェス・カタロニア国際映画祭での上映が決定した時に、渡辺監督は「B級映画」と豪語されてたんですが、『彼岸島 デラックス』はまさにお金をかけたB級映画です。こんなに振り切った作品もなかなかないんじゃないかなと思いますので、映画館に行ったときには是非『彼岸島 デラックス』を選んで欲しいです。
白石隼也 撮影=荒川 潤
取材・文=藤本洋輔 撮影=荒川 潤 ヘアメイク=鬼頭保(LUCK HAIR) スタイリスト=村瀬昌広
映画『彼岸島 デラックス』は10月15日(土)全国ロードショー。
撮影=荒川 潤
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映画『彼岸島 デラックス』
©2016「彼岸島」製作委員会
PG-12指定
出演:白石隼也 鈴木亮平/桜井美南 遠藤雄弥 森岡龍 栗原類 佐藤めぐみ 水崎綾女 藤重政孝 上間凜子 高野人母美 柳ゆり菜/石橋蓮司
原作:松本光司『彼岸島』(講談社「ヤングマガジン」連載)
監督:渡辺武
脚本:佐藤佐吉/伊藤秀裕
制作:エクセレントフィルムズ
特別協力:サンセイアールアンドディ
配給:松竹メディア事業部
公式サイト:higanjimadx.jp
©2016「彼岸島」製作委員会