宅間孝行が全身全霊で笑わせる、タクフェス 春のコメディ祭!『わらいのまち』に永井大、柄本時生が参戦!!
左から永井大、宅間孝行、柄本時生(撮影:早川 達也)
脚本家、演出家にして個性派俳優でもある宅間孝行が2013年に起ち上げた“タクフェス”。徹底したサービス精神で観客をもてなし、あたたかい笑いと切ない涙で感動させてきたこの“お祭り”が、2017年春、“タクフェス春のコメディ祭!”として笑いに特化した新シリーズを誕生させる。その第1作目が“暗転なし”“転換なし”“ノンストップ”の一幕モノで宅間作品の原点ともいえる『わらいのまち』だ。舞台は、とある田舎町のさびれた温泉旅館まつばら。この旅館の三兄弟と仲居たちを中心にさまざまなことが行き違い、いくつもの勘違いが生まれてとんでもない事態が巻き起こる爆笑コメディとなる。“疫病神”とあだ名される長男・富雄を宅間自身が演じるほか、旅館の主人で町おこしの実行委員長でもある次男の信雄には宅間作品に二度目の参加となる永井大、そして旅館の板前でもある三男の将雄には宅間作品に初出演の柄本時生が扮することになった。ちょうどこの日が初顔合わせでもあった三人に、今作への想いを聞いた。
――タクフェスの新シリーズの第1弾として『わらいのまち』を再びやろうと思われたきっかけは?
宅間 僕は最初、97年に劇団を旗揚げしたんですけど、それから20年間ずっとこうしてお芝居をやってこられたのはすべてお客様のおかげで。それで、もうちょっとお客さんにサービスしたいと思いまして、これまでは年に一度、秋にタクフェスをやっていたんですが、春にも新しいシリーズをやろうということにしたんです。秋は切ない作品が主だったから春はコメディでいこう、だったら『わらいのまち』は僕のシチュエーションコメディの原点なので、まずはそこから新シリーズをスタートさせようと思ったんです。
――永井さんと柄本さんという、このおふたりをキャスティングした狙いは。
宅間 僕ら三人と、(鈴木)杏樹さんと柴田(理恵)さんを含めたこのメインの五人のビジュアルがちょっと面白そうな感じになるなと思ったのと。(永井)大は既に一度、僕の作品には出てもらっていて(2008年『夕』)、それが初舞台だったんですよね。それ以降、舞台はやっていなかったけど、映像も含めてずっとつかず離れず一緒にいろいろやってきて。ここでまた舞台でもう一度がっつり組んで一緒にやりたかったし、この役だったら大にピッタンコなんじゃないの?と思ったんです。そして時生くんとは、まるっきり初めましてです。本当についさっき、初めて会ったところで。
(撮影:早川 達也)
――そうだったんですか。
宅間 この三男がすごく特徴のある役だったりするし、メンツとしての面白味も出せる人で誰かいないかなあとプロデューサーと話している時に「柄本時生さんはどうですか」というアイデアをいただいて。それで、やってもらえるならぜひ!ということになったんです。ちょうど僕、ドラマの現場でお父様(柄本明)とご一緒していて、たぶんその時に感じのいい対応を僕ができていたから、きっとそれが功を奏したんだと思いますよ。
一同 (笑)。
――おふたりは、この舞台に出ることが決まってどう思われたんですか。
永井 僕は初舞台が宅間さんの作品で、当時は30歳だったんですがあれから8年が経ち、40歳手前でまたやらせていただけることになりました。それ以降、宅間さんの舞台は全作観させていただいているんですが、またもう一回ご一緒したいという気持ちはずっと持ち続けていたので、このお話をいただいた時には本当にうれしかったです。実際、『わらいのまち』もシアタークリエで2011年に上演された時に観に行ってます。でも、舞台でコメディを演じるのは初めてで不安はあるんですが、その不安以上に期待度が高いです。これからどういう風に稽古をつけてくれて、どういう風なカンパニーを作り上げてくれるのか楽しみです。
(撮影:早川 達也)
柄本 僕はコメディを舞台ではあまりやったことがないので、それがすごく楽しみです。
宅間 あの父(柄本明)とあの母(角替和枝)の息子がコメディをやっていないというのも意外ですよね。むしろコメディじゃないところで何をやってきたんだ?って思っちゃう(笑)。時生くんは『わらいのまち』の2011年版は実際に観ていないんだっけ?
柄本 観ていないです……。
宅間 じゃ、俺の他の作品はいろいろ観ているんだよね?
柄本 観ていないんです……。
宅間 アレ?(笑) DVDになったものは観ているとか?
柄本 観ていない……。
宅間 アレ??(笑) この秋上演している、タクフェス『歌姫』には?
柄本 観に行けない……。
宅間 ちょっと待ってくれよぉ~(笑)。
一同 (笑)。
――この状況、宅間さんとしてはどうなんですか(笑)。
宅間 そりゃあ、稽古に入った瞬間からメッタ打ちですよ、根に持つタイプなんでね。今日さっき会ったばかりですけど「初対面の時、俺の作品をひとつも観ていなかったんだもんな~」って一生言い続けますよ!(笑)
――きっと、一生言われますね。
柄本 ハハハ、言われちゃいますね。
宅間 この前の取材の質問で発覚してたんですけどね。まったく、これだから二世タレントは(笑)。
柄本 いやあ~。
(撮影:早川 達也)
――何か、言い訳しておきます?(笑)
柄本 言い訳させてもらうと、僕は23歳くらいまで劇団というものを全然知らなかったんです。
宅間 世の中には、東京乾電池しかないと思ってたんだ。
柄本 うちでは家族行事として唐組は観に行っていたので、唐組と東京乾電池しかそれまで観たことがなくて。そういう意味では今、いろいろと初めて知ることが多いから、すごく楽しい時期なんですよね。
宅間 生まれたての子供か(笑)。
――今回の稽古はどんな感じになりそうでしょうか。
宅間 僕が演出する稽古は厳しいって、よく言われるんですけど。でも最近つくづく思うんですが、ちゃんとものを言える演出家が減ってきているんですよね。先輩とかでは厳しい方もまだいますけど。いろいろな人を集めたカンパニーだと商業演劇っぽくなってきて、特にこういうプロデューススタイルだと各所いろいろとあるのであまり何も言わなくなってしまうんですよ。でもまあ、僕も別に理不尽なことを要求しているつもりはなくて。ただ、お客さんにはそれなりの金額を払って観てもらうのに、そのゆるさはないんじゃないの?みたいなことはよく言わせてもらいますね。でも芝居のことももちろんですけど、どちらかというと精神論のほうが大きいかな。だってお客さんは代を払って、1日予定をさいて観に来てくれるんですから。それに対して僕らはどれだけ誠意をもってやれるのか、ということなんですよ。
永井 そう、宅間さんのところの舞台って、全員で1カ月なら1カ月みっちり稽古するんです。その日の稽古で自分の出番がなくても稽古場に来る空間を宅間さんは作ってくれているので、毎日必ず全員集合するんです。その同じ空間に一緒にいることでチームとして結束するんです。待っている間に読み合わせができたり、人の芝居も観られたりするし、ものすごく密な時間が過ごせるから、芝居のこまかいところまでしっかりディスカッションできるんです。それに「ちょっと今日、宅間さん機嫌悪そうだからちゃんとやろうぜ」みたいな情報交換もできますしね(笑)。
一同 (笑)。
(撮影:早川 達也)
永井 いい意味での緊張感と、それが終わったあとのデトックス感が味わえるというか(笑)。「今日も一日、無事に終わったねー」ってみんなで乾杯する時には、宅間さんも普通に役者としていてくれて、そのへんの目線の合わせ方がすごく器用な演出家の方だなとも思います。ある意味では体育会系でもありますけど、こういうチームづくりは僕、好きなんですよ。
――初参加の柄本さんとしてはいかがですか。
柄本 そうですねえ。僕は、意外とぬるま湯で育ったので(笑)。でも今日、こうしてお話を聞いていると、演出でもこうしてほしいんだよととても具体的におっしゃっていただけそうなので、それはうれしいなと思っているところです。あと、そういう精神的なことって言うのは、あまり言われたことがなかったりするので、なんだか今からちょっとドキドキします……。
一同 (笑)。
――今回、三兄弟を演じられるわけですが長男、次男、三男はどういうキャラクターで、それぞれにどう演じたい、どう演じてほしいというのはありますか。
宅間 僕としては、完璧に三人を色分けしたいと思っているんですよ。兄弟なので根っこにある部分は一緒なんだけど、それぞれに三者三様で。きちっとバチッとこの三人が、この今日の見た目そのままの、こういう感じになればいいなと思いますね。
永井 今はまだ手元に何もないんですが、ともかく前回とは演じる人たちも違いますから、それに合わせて改めて宅間さんの中で生まれるものもあるでしょうし。それをどういう風に肉付けして、僕らなりに色を付けていけるのかは、これから楽しみな作業のひとつです。
柄本 僕もまだ手元に何もないのでわかりませんが、ただひとつだけ考えていることがあって。手を洗って前掛けでさっと拭く、板前さんのこの動きができるようになりたいなと思っています。
一同 (笑)。
宅間 わっかんねーなあ!(笑)
永井 本物の板前さんのようにさりげなく、ってこと?
柄本 そうそう。なんか、いいじゃないですか。こうやって手を拭いながらセリフを言うのってカッコいいなあって、何かの映画を観ていた時に思ったんです。だからぜひ今回、ああやってセリフが言えたらなと。
(撮影:早川 達也)
――そういうシーン、ありそうですか?
宅間 もう、いくらでも作りますよ!
柄本 この衣裳を着た時から、ずっとそのことしか頭になかったんですよね(笑)。
――そのシーンが本番であるかどうか、注目してしまいそうです(笑)。
宅間 じゃ、時生くんが厨房から出てくる時は毎回ずーっとやらせようか(笑)。大が演じる次男はアツい男でまっすぐ突き進むタイプ、時生くんがやる三男はそのまったく真逆にしたいんです。ウジウジしていて、一生懸命ではあるんだけどそれがあまり表には出て来ないような。でもボケ役がずっとボケてるかっていうと、途中からは結構拾って、ツッコんでいったりもするんで。ま、そういう意味ではなんせ、あのお父さんとお母さんの息子ですから。
――サラブレッドですからね!(笑)
宅間 はい。そこらへんの笑いに関しても期待したいと思います。
柄本 ……なんだか、緊張します……(笑)。
――タクフェスということは、今回もやはり開演前にはいろいろなお楽しみがあったりするんですか?
宅間 これまでと基本のコンセプトは一緒ですから、お芝居が始まる前には日替わりで役者が何人か出てくる“ふれあいタイム”があったり、芝居の途中で“写真タイム”を作ったりする予定です。
――では、お客さんにはぜひ参加する気分で早めに劇場に来ていただきたいですね。
宅間 はい。今回も、僕らとこのお祭り騒ぎをたっぷり楽しんでほしいです。
(撮影:早川 達也)
■出演:宅間孝行、永井大、柄本時生
辻本祐樹、尾関伸嗣、佐藤祐基、松本若菜、橋本真実
岡本玲、土平ドンペイ、冨永竜、ブル、えまおゆう
柴田理恵、鈴木杏樹
■公演日程:2017年3月30日(木)~4月12日(水)
■会場:東京グローブ座 【 劇場ホームページはこちら 】
■主催:関西テレビ放送
■運営協力:サンライズプロモーション東京
■公演日程:2017年4月14日(金)~4月16日(日)
■会場:中日劇場 【 劇場ホームページはこちら 】
■主催:東海テレビ放送
■公演日程:2017年4月18日(火)~4月23日(日)
■会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
■主催:関西テレビ放送、兵庫県、兵庫県立芸術文化センター