パリの展示レポート:フランス人浮世絵アーティスト、ポール・ジャクレーの作品を『パリ日本文化会館』で味わう

2016.10.27
レポート
アート

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フランス・パリのエッフェルタワーのすぐ横に、日本にゆかりのある文化施設があるのをご存知でしょうか? この建物は『パリ日本文化会館』といって、日本関連の展示会や、コンサート、日本語教室や、図書館、茶室まで設備されています。またここは、日本とフランスの文化の発信、交流の場でもあります。

パリエッフェル塔横にあるパリ日本文化会館


今回このパリ日本文化会館で開催された、日本に関連する作品の展示会に足を運んでみたので紹介いたします。


その展示とは、1896年にパリで生まれたフランス人の浮世絵アーティスト「ポール・ジャクレー」の作品を一堂に集めたもの。彼は3歳の頃、両親と共に日本へ移住。日本の学校で教育を受け、10代の頃には日本の浮世絵と出会うことになります。

写真は仏メディア『PARIS MATCH』より

もともと水彩画を描いていたという彼の作品のテーマは、彼が住んだ日本、そして興味を持って旅した韓国、満州、ミクロネシア諸島などで見た一般の人々の姿です。彼は当時、日本大使館で通訳として仕事をしながらも、生涯にわたり浮世絵アーティストとして活動し、東京、大阪、神戸、そしてソウルなどで展示会を開催しました。第二次世界大戦中は、一旦全ての創作活動をやめてしまいましたが、戦後に日本を占領したアメリカ軍らに彼の作品が評価され、活動を再開。そして、アメリカやオーストラリアでも展示会を開催することになったとのこと。

彼の作品に描かれている人物、風景は、現代ではもう見ることのできなくなった当時の人々の暮らしが映し出されています。

フランス人として日本に住み、アジアを旅した彼のフィルターを通して表現された版画は、日本の伝統的なスタイルを保ちつつも、なぜか時代の経過を感じさせない新しさがあるように思います。筆者は最初、彼のことを何も知らずに作品だけを見て、「新しいイラストレーターかな?」と勘違いしてしまったほどです。

ポール・ジャクレーというフランス人のアーティストを通して見直すアジアの人物や風景は、とても新鮮でいながらもどこか懐かしさを感じさせます。不思議さと心地よさを感じさせてくれる鑑賞体験でした。

イベント情報
PAUL JACOULET

日時:9月9日~10月15日
会場:パリ日本文化会館
オフィシャルサイト:http://www.mcjp.fr/fr/agenda/expositions/paul-jacoulet-un-artiste-francais-au-japon-1896-1960
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