ダリ展の見どころを本人(?)に直撃!

インタビュー
2016.11.16
© X. Miserachs/Fundació Gala-Salvador Dalí, Figueres, 2016. Image Rights of Salvador Dalí reserved. Fundació Gala-Salvador Dalí, Figueres, 2016.

© X. Miserachs/Fundació Gala-Salvador Dalí, Figueres, 2016. Image Rights of Salvador Dalí reserved. Fundació Gala-Salvador Dalí, Figueres, 2016.

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六本木の国立新美術館にて過去最大規模の『ダリ展』が絶賛開催中だ。天才の名をほしいままにするスペインの画家サルバドール・ダリ(1904~1989)の作品が、スペイン、アメリカ、日本国内中から大集結。待ち時間も発生しているという今年の芸術の秋本命の展覧会の見どころを、ダリ氏本人に語ってもらった。

 

――それでは、本日はよろしくお願いいたします。

……。

―あれ? どうされましたか?

あ、いや、ちょっと髭を整えてて。髭がピンとしないと調子が出ないんで。あ、うん。これで大丈夫です。え~っと、天才ダリでーす! 今日はよろしく!

―なんか急にスイッチ入りましたね。

そんなことない! いっつもこんな感じ。

―さっきは、おとなしかったのになぁ。まぁ、それはさておき。今日も髭が決まってますね。何で固めてるんですか?

これか? 水あめだ。

―えっ?!

舐めると甘いぞ。舐めてみるか?

―いや、遠慮しておきます。今回日本では約10年ぶりとなるダリ展が開催されていますが、率直な感想をお聞かせください。

スゴかった! 感動した。よくこれだけ私の作品を各地から集めてこれたものだ。しかも、傑作ぞろい。まぁ、その傑作を生み出したのは、全部、私なんだけどね。君はどう思った?


サルバドール・ダリ 《子ども、女への壮大な記念碑》 1929年、140.0×81.0cm、カンヴァスに油彩、コラージュ、国立ソフィア王妃芸術センター蔵
Collection of the Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía, Madrid
© Salvador Dalí, Fundació Gala-Salvador Dalí, JASPAR, Japan, 2016.

 


サルバドール・ダリ 《ウラニウムと原子による憂鬱な牧歌》 1945年、66.5×86.5cm、カンヴァスに油彩、国立ソフィア王妃芸術センター蔵
Collection of the Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía, Madrid
© Salvador Dalí, Fundació Gala-Salvador Dalí, JASPAR, Japan, 2016.

 

 

―どの作品も発想力がぶっ飛んでて、僕みたいな普通の人間では思いつかない世界が広がっていました。

そうだろそうだろ。凡人には思いつかないだろ。アハハ。

―ミロのヴィーナスに引き出しがついている立体作品なんてのもありましたが、ああいうのは、どんな時に思いつくんですか? いきなり降ってくるものなのでしょうか。

女の人の心の中、無意識の世界を覗いてみたい。それをビジュアル化する方法を考えたら、あの形になったんだな。

―意外と論理的な考え方……。わりと真面目なんですね。

そういうこと言うなよ。私のイメージが壊れるだろ。

―今回は、残念ながら来日していませんでしたが、ダリさんの有名な《記憶の固執》の中に登場する溶ける時計。あれはどんな時に思いついたんですか?

あれか。あれは、奥さんが料理しているときに思いついたな。

―どういうことですか?

奥さんがカマンベールチーズを焼いてたんだ。で、チーズがトロ~ッと溶ける様子を見てた時に、"時計が溶けてたら、時間という概念が溶けてるようなビジュアルになるぞ!"とひらめいたってわけよ。

―うわー、やっぱり普通にちゃんと考えて描いているんですね。

だから、そういうこと言うなよ。

―"ダリの作品は、実はちゃんと考えて描かれていたんだ"って目線で見たら、これまでと違うように感じるかもしれませんね。ただ、《記憶の固執》の実物が来日してなくて残念です。

《記憶の固執》は無いけど、そんなに溶ける時計が見たいなら、《奇妙なものたち》とか、《炸裂する柔らかい時計》とか、絵じゃなくてジュエリーだけど、《記憶の固執(ピン)》とか、何点かあるから安心したまえ。

サルバドール・ダリ 《奇妙なものたち》 1935年頃、40.5×50.0 cm、板に油彩、コラージュ、ガラ=サルバドール・ダリ財団蔵
Collection of the Fundació Gala-Salvador Dalí, Figueres
© Salvador Dalí, Fundació Gala-Salvador Dalí, JASPAR, Japan, 2016.
 


サルバドール・ダリ 《炸裂する柔らかい時計》 1954年、12.7×17.1cm、紙にインク、鉛筆、サルバドール・ダリ美術館蔵
Collection of the Salvador Dalí Museum, St. Petersburg, Florida
Worldwide rights: © Salvador Dalí, Fundació Gala-Salvador Dalí, JASPAR, Japan, 2016.
In the USA: ©Salvador Dalí Museum Inc. St. Petersburg, Florida, 2016.
 


サルバドール・ダリ 《記憶の固執(ピン)》 1949年、7.0×6.0×1.5cm、金、ダイヤモンド、サルバドール・ダリ美術館蔵
Collection of the Salvador Dalí Museum, St. Petersburg, Florida
Worldwide rights: © Salvador Dalí, Fundació Gala-Salvador Dalí, JASPAR, Japan, 2016.
In the USA: ©Salvador Dalí Museum Inc. St. Petersburg, Florida, 2016.

 

 

―逆に、そんなにあるんですか?! 一回ウケたネタを何度も"コスる"(繰り返し披露する)タイプなんですね。

さっきから何なんだ君は?! 人を芸人みたいに言いやがって。

―はいはい、わかりました。そんな天才ダリさんにお尋ねします。美術界にはたくさんの巨匠がいますが、やはりその中でも一番天才なのはダリさんということでしょうか?

もちろん、そうだ!と言いたいところだけど、ラファエロやベラスケスには、さすがに少し負けちゃうな。それと、何と言ってもフェルメール。彼は、もう天才中の天才。憧れちゃうね。

―そうなんですか!

《謎めいた要素のある風景》って作品を、よく見てみたまえ。何かに気づかないか?


サルバドール・ダリ 《謎めいた要素のある風景》 1934年、72.8×59.5cm、板に油彩、ガラ=サルバドール・ダリ財団蔵
Collection of the Fundació Gala-Salvador Dalí, Figueres
© Salvador Dalí, Fundació Gala-Salvador Dalí, JASPAR, Japan, 2016.

 

 

―何でしょう?

画面下の中央に描かれている後姿の男性。あれは、フェルメールの傑作《絵画芸術(画家のアトリエ)》の登場人物がモチーフなんだ。

―本当だ! フェルメールを好き過ぎて、彼のネタをパクっ……

オマージュだ! だから私は芸人じゃないんだって!

 

※このインタビューは史実に基づいたフィクションです。

イベント情報
『ダリ展』
 


日時:2016年9月14日(水)~2016年12月12日(月)
会場:国立新美術館 企画展示室1E
時間:午前10時~午後6時 毎週金曜日は午後8時まで ※入館は閉館の30分前まで
休館日:火曜日
観覧料金:当日:一般1,600円、大学生1,200円、高校生800円 団体:一般1,400円、大学生1,000円、高校生600円
公式サイト:http://salvador-dali.jp
問い合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル)

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