『戦国時代展-A Century of Dreams-』が開幕 新たな時代イメージを知り、武将たちの息遣いを体感する
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『戦国時代展』入口風景
江戸東京博物館にて、11月23日(祝)より『戦国時代展‐A Century of Dreams‐』が開幕した。東京会場では38点の国宝を含む、190点の戦国時代にまつわる品々が展示される。戦国時代は、小説、映画、舞台、ドラマで、くりかえしテーマとなっている時代のひとつだが、本展ではこれまでにないまったく新しい戦国時代像をうつしだすことに挑戦しているという。公開に先立ち開催された報道内覧会より、本展の見所を紹介する。
新たな戦国時代像を提案
同館学芸員の齋藤慎一氏によると、戦国時代の区分には諸説あるが「本展覧会では、応仁の乱と少し前にあった享徳の乱もあわせた2つ乱をはじまりとし、足利義昭の京都の追放までの約1世紀を戦国時代と見定めた」という。本展では、そんな戦国時代の始まりから順を追って時代の変遷を知ることができる。
川中島合戦図屏風 米沢本 左隻(部分) 18世紀末-19世紀初 米沢市上杉博物館 蔵 ※前期(11月23日~12月25日)展示
また齋藤氏は「戦国時代というと、群雄割拠や下剋上など殺伐としたイメージを持たれる方も多い。しかし、独立国家が乱立したというよりは、中央にある幕府や朝廷の“権威”は変わらず全国を覆い、“権力”が地方に分散したのが戦国時代だったのではないか」と新たな捉え方を提唱した。
このような状況があったおかげで、有力大名たちは領国の経営に力を入れるようになり、結果的に経済や文化が多様化し発展したと考えられているのだという。今回展示される歴史資料や美術工芸品を通して、一種の"まとまり"のある新たな戦国時代のイメージに触れてみてほしい。
戦場にはためいた六文銭の軍旗
茜染の旗│16世紀 長野・真田宝物館蔵
戦国大名武田家の最盛期を支え、武田二十四将にも数えられる真田幸隆の所用と伝える旗。真田家の家紋である六文銭が鮮やかだ。同展では、当時の風にはためいたであろう軍旗を他にも数点みることができる。
織田信長の愛刀 『義元左文字』
刀 義元左文字 無銘│南北朝時代 京都・建勲神社蔵
重要文化財『義元左文字』(別名『宗三左文字』)は、もともと三好長政(出家後の名前は、宗三)が所有していた。それが武田信虎へ、そして今川義元に贈られ『義元左文字』と呼ばれるようになる。義元は桶狭間の合戦で討ち死にしたときにも、この刀を腰につけていたのだという。その後、合戦に勝利した織田信長の愛刀となり、さらには豊臣秀頼、徳川家康の手に渡った。以降徳川家で代々伝えられたことから、"天下人の刀"と呼ばれている。
本品は12月18日までの展示となり、その後の展示期間には『短刀 名 吉光 号 五虎退』が公開されるとのこと。なお、『義元左文字』『短刀 名 吉光 号 五虎退』は、近年人気のブラウザゲーム『刀剣乱舞』に登場するキャラクターのモチーフとなっていることでも知られている。
短刀 銘 吉光 号 五虎退|13世紀 個人蔵 ※後期(1月2日~1月29日)展示
筆跡や折り目から感じる、武将たちの息遣い
(展示風景)国宝 上杉家文書│山形・米沢市上杉博物館蔵
国宝「上杉家文書」は、2000点を超える鎌倉時代から明治時代までの古文書群だ。北条・上杉両氏の戦闘再開の知らせから、人質交換の時期や場所に関する要求、謙信の雪中の出陣への感謝や、信長から謙信への鷹のお礼などが記されている。内容については、わかりやすい解説パネルが添えられているので、古文書が読めなくてもおもしろく鑑賞することが可能だ。また展示ケースに飾られた文書の筆跡や折り目からは、武将たちが生きた証を感じられる。
戦国の世、庶民はなにを願ったか
(パネル)大原観音寺文書 阿弥陀坊了徳畠地寄進状 寛正6年4月14日│滋賀・観音寺蔵
最後の展示室では、ライティングによる演出で当時の庶民の願いに触れることができる。壁に投影されるのは、展示中の寄進状から抜粋された文言だ。報道内覧会時には「現世安穏」「後生善処」がピックアップされていた。この言葉には「世の中が平和でありますように。生まれ変わった時もいいところに生まれますように」という願いが込められている。戦国時代の人々の想いから、現代の我々が感じとれることも多いはずだ。
『戦国無双』のあの武将たちがナビゲート!
戦国無双×戦国時代展コラボレーション 音声ガイド
ゲームシリーズ『戦国無双』ファンには、音声ガイドの利用をおすすめする。ゲームに登場する4人の戦国武将(上杉謙信、武田信玄、毛利元就、織田信長)が、ユーモアを交えて展覧会の見どころを案内してくれるのだ。
なお本展は、会期の前半と後半で展示替えがあるので、お目当ての展示物がある方は事前にチェックしていこう。
『戦国時代展』展示風景
<東京会場>
会場:東京都江戸東京博物館
会期:2016年11月23日(水・祝)~2017年1月29日(日)
※会期中、展示替えあり
(土曜は午後7時30分まで ※入館は閉館の30分前まで)
年末年始(2016年12月26日(月)~2017年1月1日(日))
<京都会場>
会場:京都府京都文化博物館 4階・3階特別展示室
会期:2017年2月25日(土)~4月16日(日)
※会期中、展示替えあり
開館時間:午前10時~午後6時
(金曜日は午後7時30分まで ※入館は閉館の30分前まで)
休館日:毎週月曜日(3月20日は開館)、3月21日
★閉館後貸切 イープラス特別入場券
開催期間:2017年3月4日(土)、11日(土)
入館可能時間:18:00~20:00(最終入場19:30)
特典:
①非売品「戦国無双『真田丸』」コラボデザインクリアファイル付
②「戦国無双」シリーズに登場する4人の戦国武将がナビゲートする音声ガイド付
・上杉謙信役:中田譲治/武田信玄役:大友龍三郎/毛利元就役:石川英郎/織田信長役:小杉十郎太
<山形会場>
会場:米沢市上杉博物館
会期:2017年4月29日(土・祝)~6月18日(日)
※会期中、展示替えあり
開館時間:午前9時~午後5時
(※入館は閉館の30分前まで)
休館日:5月24日(水)