劇団プレステージ×ヨーロッパ企画プチミュージカル『突風!道玄坂歌合戦』インタビュー

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結成11年目を迎えた劇団プレステージと、1998年以来、京都を拠点にさまざまなジャンルで笑いを生み出してきた劇団ヨーロッパ企画がタッグを組んだ。それぞれの劇団から俳優が集い、作・演出をヨーロッパ企画の諏訪雅が務める。舞台は渋谷。道玄坂を挟んで、“ジェットピザ”と“シャークピザ”という2店のピザ屋が対立していた。その争いは激化し、ついには「歌合戦」へと発展していく……。ちょっと歌あり、ちょっと踊りあり、そしてたくさんの笑いがある“プチミュージカル”。今回は、ヨーロッパ企画の諏訪雅、本多力、そして劇団プレステージのリーダー、今井隆文にこの初コラボについて話を聞いた。

ミュージカルじゃない、“プチ”ミュージカル!

――なぜ、“ピザ屋のミュージカル”をやろうと?

本多:2年前の諏訪さんのミュージカル企画『夢!鴨川歌合戦』の打ち上げで、みんなでピザを食べに行ったんですよ。そこで「ピザミュージカルやりたいな」と盛り上がりましたよね。

諏訪:ピザを扱ったミュージカルってないなと思ってたんです。ピザって食べるのも作るのも楽しいし、特別な日に食べたりもする。それに、ピザの歌だったら結構作れそうな気がして、「なんでミュージカルになってないのかな?」と思ったくらいです。しかも12月にピザときたら、ただただ楽しいに決まってる!

本多:まさか本当に舞台になると思わなかったので、楽しみです!

――2年越しでの実現ですね!どんな舞台になるんでしょう?

諏訪:劇場がシブゲキなので、道玄坂を舞台にした“歌合戦もの”です。

今井:“歌合戦もの”……?

諏訪:歌バトルみたいな。ピザ屋が舞台になっていて、道玄坂を挟んで向かい合った『ピザジェット』と『シャークピザ』の2店が歌合戦するんですよ。そこに、警察官とかホームレスとか出てきたりね。でも、公演ちらしにはミュージカルって書いてあるけど、ちゃんとしたミュージカルだと思って観に来ない方がいいかな……。

本多:“プチ”ミュージカルって言ってますよね。めちゃくちゃ守りに入ってる(笑)。

今井:コメディにちょっと歌がある感じですかね。

諏訪:そう。コメディに歌があれば、もっと楽しくなるよね!と思ってプチミュージカルにしたの。

本多:歌って踊るし、バラエティ豊かな感じですねえ。みんなで歌いたいです。

諏訪:合唱ね! みんなで声を合わせて歌うと感動するもんね。最後は合唱で終わりたいな~。

今井:渋谷だから、ハチ公やモヤイが歌いだしたら面白いですよね!

諏訪:モヤイが歌ねえ……(無反応)。

今井:すみません、今のナシで。

本多:(失笑)。

(左から)本多力、諏訪雅

(左から)本多力諏訪雅

――今井さんと本多さんはどんな役なんですか?

諏訪:今井くんはね、主役になろうとするけど主役になれない人。

今井:え~?(笑)

諏訪:なんかね、今井くんに「どういうミュージカルがいいかな」って相談した時に「渋谷になりたい」と言ったんですよ。

――どういう意味でしょう……(笑)。

諏訪:ね、「え!?」ってなるでしょ? 意味分からんな~と思って「渋谷にはなれないよ」と2時間かけて説明しました。

本多:うわあ。

今井:生まれ変わったら! ですよ!

諏訪:生まれ変わって渋谷になるって意味分からん。

今井:だから、渋谷って、いろんな国のいろんな人がいるじゃないですか。その全員を包み込む渋谷という街の優しさに、すごく憧れたんです。つまり、大きな包容力を一番わかりやすく表現したのが「渋谷になりたい」という言葉だったんです。

本多:ちょっと分かんないっすわ~(笑)。

今井:じゃあ今度飲みながら!

諏訪:あんまりその話に時間割きたくないなぁ。

本多:(笑)。

今井隆文(劇団プレステージ)

今井隆文(劇団プレステージ)

――では、主役はどなたなんですか?

諏訪:主人公はとくにいないんです。キャラクターそれぞれにエピソードがある。でも本多君と今井君は親友役ですよ。

本多:えっ! 今井さんと親友役をやれるんですか!?

諏訪:うん。前に本多君が「今井さんと共演できるのが嬉しい」と言ってたので、親友役にしようかなと。

本多:うわー嬉しいです!

今井:でもいつも俺のことを小馬鹿にしてきますよね?

本多:してないですよ!

諏訪:本当に、すごく喜んでたよね。本多君は昔ピザ屋でバイトしてたことがあるから「ピザ屋について教えてよ」って相談したら、「今井君と共演できるの嬉しいです」って。ピザ関係ない答えが返ってきた。

本多:ピザの話もしましたよ~。

諏訪:あんまり聞いてなかったかも……。

本多:そんなあ(笑)。

本多力(ヨーロッパ企画)

本多力(ヨーロッパ企画)


 

プレステージの劇団員が戸惑いそう……。

――今井さんは、本多さんとの初共演についてどんな思いが?

今井:本多さんの舞台は何度か観たことがあるんですが、前回の『遊星ブンボーグの接近』でノリの中から飛び出してきた本多さんが忘れられない。

諏訪:あ~、文房具の舞台だったから、その糊(ノリ)ね。

本多:2時間の公演のうち、最後の8分くらいしか出てこない役でしたよ。

今井:なのに、その瞬発力たるや……。ものすごい勢いだったので、腹筋が壊れるかと思った。

諏訪:一気に感情を爆発させるよね。

今井:バァーっとね。まさにカロリーメイトを食べたみたいな感じでね。

諏訪:もしかして本多君、カロリーメイトのCMに出てるから意識してるの? 今日もカロリーメイトっぽい色の服着てるし。

本多:意識してないですよ。バカにして~。ただの私服です(笑)。

諏訪:私服は、今井君はオシャレですよね。スタイルもいいしね。

本多:あ~確かにオシャレですね。渋谷になりたいだけあって(笑)。

今井:いやいや、違うんです、僕、洋服にはトラウマがあるから、ちゃんとしておかないといけないんです。

諏訪:あ、そうなん?

今井:小学生の時に、着ている洋服が980円だっていうのをクラスの子にすごくイジられたのが恥ずかしくて、洋服はちゃんとしないといけないんだなと。

諏訪:今も980円着るよ!

今井:今はもういいんですけど、子供の頃にクラスのみんなの前で言われたのが恥ずかしかったので、「コノヤロー」と思ってるんですよ。

諏訪:自分でポップにアレンジできてるから、良いよね。

諏訪雅(ヨーロッパ企画)

諏訪雅(ヨーロッパ企画)

――役者としての今井さんは、諏訪さんから見ていかがですか?

諏訪:役者としては、上手いもんな。

今井:本当ですか!? 稽古場で先輩たちは「今井を甘やかしちゃダメだぞ」って感じで、僕がなにをやっても誰も笑ってくれないので、本番ではちゃんとウケるかすごく怖いんですよ。

諏訪:まぁ、ちょっとスベリ芸みたいな所もあるから(笑)。

本多:そうなんだ(爆笑)。でも稽古場でそのポジションになれるのは、センスがいる事だよ。

諏訪:そうそうそう! なかなかイジられるポジションにはなれない。

今井:でも、今回の舞台で不安なのは、自分が客演する時は先輩たちにイジってもらえる立場なんだけれど、プレステージではリーダーなのでしっかりしないといけなくて、稽古場でどうやってバランスをとればいいかわからないんです。もし僕が稽古場で、ヨーロッパ企画の先輩方にすごくイジられたら、それを見たプレステージの劇団員が「俺らどうしたらいいんだ?」みたいに迷いそうで心配なんです。

諏訪:僕たちそんなにイジらないよ(笑)。

本多:うん、イジらない。

今井:イジってくださいよ~!

諏訪:え、イジった方がいいんですか?

本多:めんどくさいな~(笑)。

諏訪:他にも イジられそうな人がいっぱいいるからなあ。誰が石田(剛太)の餌食になるか……。

今井:剛太さんなら原田新平と気が合いそう。原田はすごく恋愛を語る奴なんですよ。

諏訪:そうそう、オーディションでも語ってた。深く深く聞いていったら、結局何にもなかったけど。

今井:ほんとそうなんですよ!何にもないんですよ!

本多:いいっすねえ~、恋愛を語る人ってなかなかいないから。じゃあ原田さんは恋愛に絡む役ですか?

諏訪:いや、原田君はピザ愛が強すぎるという役。ピザ愛が強すぎて宅配バイクを改造するとか、ピザ愛が強すぎて優秀なピザ屋店員を殺そうとするとか。

今井:愛憎がすごい。

本多:全ての動機はピザ愛にある(笑)。

インタビュー宙の様子

インタビュー宙の様子

狙ってる子を誘ってデートに来られる舞台に!

――女性の藤谷理子さんも出演しますから、恋愛もありそうですね。

諏訪:ありますあります。付き合ったり恋したり。あと、石田剛太も女役にしようかなと思ってる。

今井:剛太さん、ヨーロッパ企画の公演でも女役多いですよね。

本多:普段も、スネ毛剃ったりしてるよね。

諏訪:「なんで剃ったん?」って聞いたら、「暑いから」って言う(笑)。

今井:プレステージも全員男だから、舞台では女装しますよ。だから、稽古場に女性がいるのも珍しいです。

本多:(藤谷)理子ちゃん以外はみんな男だけど、キャッキャした稽古場になるといいなあ。2年前の『夢!鴨川歌合戦』では、みんなでキャッキャして楽しかったんですよ。「楽しいねえ!」みたいな、稽古場終わっても帰るのも嫌やし「みんなで今日飲みに行くかー」って初めてダーツバーに行ったり。でも、結構みんな、ええ歳だから、キャッキャできるかなあ……。

今井:だいたい30代ですもんね。

本多:20代は城築(創)君かな、可愛らしいよねえ。

今井:めちゃくちゃ腹黒いですよ(笑)。

本多:腹黒いのは今井さんでしょ。

今井:僕は腹黒いですよ! それはもう!

本多諏訪:(笑)。

今井:でも、みんなクセがあるから、稽古が始まって性格が分かってくると、ヨーロッパ企画のみなさんがうちの劇団員に対して「こんな奴だったんだ……」とガッカリしないか怖いです。

諏訪:でも、全員、今井より素晴らしい人達でしょ?

今井:そうですよ!

諏訪:今井が最低なら大丈夫や(笑)。

――愛のある言葉ですね(笑)しかし初めましての人も多いと、どんな稽古場になるのか未知数ですね。

今井:そうですね、どうなるか分からないのですごく楽しみです。ヨーロッパ企画さんの稽古場はどんな感じなんですか?

諏訪:稽古でガッツリ本気を出してきたりはしないですね。本番で初めて「こんな芝居やったんや」って驚く時もありますよ。

今井:そんなことあるんですか!?

諏訪:稽古場では見た事ない感じになりますよ。まあ、プレビュー公演である程度調整はするんですが。

本多:お客さんが入るとテンションがまったく変わるんですよね。声も大きくなるし。

今井:プレステージではないですね……。急に変えるなんて、怖くてできないですよ(笑)。

(左から)本多力、今井隆文、諏訪雅

(左から)本多力、今井隆文、諏訪雅

――プレステージさんはふだん客演を呼ばないので、今回のコラボによって良い刺激があるでしょうね!

今井:今回はうちの劇団から7人出演しますが、この公演が終わったらプレステージにもなにかしら影響があるでしょうね。だから、出演しない劇団員は羨ましい気持ちや悔しい気持ちはあると思います。

本多:やっぱり出られないと悔しいよね……。

今井:でしょうね。劇団の公演でもよくオーディション形式にするんですけど、メンバー20人を集めて出演者を発表する時の空気は、もうヤバイです。落ち込む人も、泣く人もいる。

諏訪:そうだよねえ。

今井:今回は全員集めての発表じゃなく、個別に電話でオーディション結果が伝えられたので、みんながどんな反応だったのかはわからないですけどね。でも、出演に関わらず、メンバー全員に全力で手伝ってもらおうと思っています。たとえば小道具を作ったり、やらなきゃいけないことはいろいろあると思うので、東京にあるうちの劇団でできる事は全部やりますよ。

――ふたつの劇団が作るピザコメディ、楽しみです!

諏訪:ほんまに楽しくて面白い舞台になるのは確実なんで! クリスマスシーズンですからカップルにもぴったりです!

今井:いいですね~。二人で笑って楽しくなれる。

本多:狙ってる子を誘って道玄坂に来て、楽しくなった勢いで告白するといいですね~。

諏訪:ぜひぜひ、クリスマスにおすすめですよ!


インタビュー・文=河野桃子

公演情報
劇団プレステージ×ヨーロッパ企画 『突風!道玄坂歌合戦』

日程:2016年12月7日(水)~12月20日(火)
会場:CBGKシブゲキ!! (東京都)
 
脚本・演出:諏訪雅(ヨーロッパ企画)
<出演>
猪塚健太、今井隆文、加藤潤一、城築創、高橋秀行、長尾卓也、原田新平(劇団プレステージ)、 
石田剛太、角田貴志、諏訪雅、本多力(ヨーロッパ企画)、藤谷理子 

 

 

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