舞台『おとめ妖怪ざくろ』演出家・大和田悟史 × 主演・遊馬晃祐 対談が実現「喜怒哀楽を楽しんでいただければ」
(左から) 大和田悟史(演出家)、 遊馬晃祐(主演)
10月某日、都内のスタジオにて、舞台『おとめ妖怪ざくろ』の事前稽古が行われた。およそ5時間にも及ぶ白熱した稽古の末に、脚本・演出の大和田悟史、主演の遊馬晃祐の2人に対談をお願いすることができた。ファンに“ざくステ”と呼ばれ注目されている舞台『おとめ妖怪ざくろ』への意気込みや、熱い想いを存分に語っていただいた。
ざくろと総角の関係性がすごく重要(遊馬)
大和田:まず今日(の事前稽古)は、お疲れ様でしたということで……。
遊馬:お疲れ様でした!
大和田:今日は台本を実際に読んでもらったんだけど、台本に関しての感想はある?
遊馬:そうですね……。
大和田:初めて読んだのはいつだったの?
遊馬:第一稿をいただいたときです。最初はデータでいただいて、携帯で読んで……。
大和田:携帯でか(笑)。
遊馬:はい、携帯で(笑)。そのときにも一通り読ませていただいたんですけれど、しっかり読みこんだのは一週間くらい前に最新稿をいただいたときです。 読んだときに、原作漫画の面白いところを取り上げつつ、ちゃんとストーリーが作られていてすごいなって……。あらためて、ざくろと総角の関係性がすごく重要になってくるとわかって、自分が頑張らなきゃって思いました。
大和田:読むときは、自分のキャラクターの気持ちになって読んだ?
遊馬:最初は純粋に読者として読みました。2回目を読むときは自分のキャラクター中心で読んでみて、「アクションあるな」とか「セリフ多いな」とかいろいろ考えながら(笑)、自分が舞台に立ってる姿を想像しながら読みました。
(左から) 大和田悟史(演出家)、 遊馬晃祐(主演)
ざくろをしっかり守らないとね(大和田)
そうですね、安里勇哉さんを倒さないと(遊馬)
大和田:台本は、まだ進行中なんだけど「ここは観てほしい」っていう見どころみたいなのってどこだと思う?
遊馬:僕としては、『おとめ妖怪ざくろ』の世界観を皆様に見ていただきつつも、笑いのシーンで笑って、恋愛のシーンできゅんきゅんしていただきたいな、と。感動して泣けるシーンもありますし、喜怒哀楽を楽しんでいただければと思います。さっきも言いましたけど、ざくろとの関係性が台本上一番重要になってくる。ざくろと出会ってからお互いを好きになっていく過程といいますか、そこが一番面白いところだと思いますので注目していただきたいですね。
大和田:具体的に「このシーンは気になるぞ」っていうのはある?
遊馬:言っちゃっていいんですか?
大和田:大丈夫だよ。
遊馬:やっぱり、告白のシーンですかね。「好きだ」っていうのをしっかり言葉にするシーン。僕は恋愛の舞台をまだやったことがないんですけど、純粋に総角景さんになりきって、そういう気持ちが出るように稽古していきたいです。
大和田:ざくろをしっかり守らなきゃいけないからね。
遊馬:そうですね、ざくろを守れるように。アクションでも、安里勇哉さんを倒さないといけないので……。がんばらないとなって思います。
大和田:大丈夫? 倒せる?(笑)
遊馬:えっ! そこは、もう……がんばります(笑)。
きちんと正直にモノをお届けして、正直におもてなしができるということでは、すごくいいなと思うんです(大和田)
大和田悟史(演出家)
―――ここからはスタッフから質問させていただきます。俳優と演出家という異なる立場から、おふたりにとっての舞台の醍醐味を教えてください。
遊馬:僕は1年前にデビューさせていただいて、初めての作品が舞台だったんですが、それまで舞台というものをあまり知らなかったんです。実際に舞台が始まって、稽古場に入って、わからないことがたくさんありました。でも、一か月間稽古したものを見てもらったときに、お客さんの反応だったり、歓声だったり、涙だったり、いろんなものを舞台で感じたんです。初日を迎えて挨拶をした時に、いろいろなものが全部返ってきたように感じたんですよね。
それが自分が舞台にハマッた瞬間といいますか、「これからこの業界で生きていきたいな」と思った瞬間でした。それが今でもこうやって舞台をやっているきっかけになっています。
最近映像も経験させていただいたんですが、初めて会った人たちとすぐにお芝居をするのももちろん新鮮なんですけど、“お客さんの反応”っていうのは映像だとわかりにくいじゃないですか。だから、カンパニー同士で仲良くなったりっていう舞台ならではの楽しさっていいなって思います。
大和田:舞台ってやっぱりナマモノですから、映像と比較しても全く違うものなんです。 ナマで、生きてる俳優さんのいろんな息遣いなり、お芝居なり、生き方なりが出てくるんですよね。それを出すためには、用意スタートで何の準備もなくやって出るわけじゃない。僕ら(脚本家、演出家)や、いろんな人たちが俳優さんをバックアップしてそれを出せるようにするんです。
“力を結集して俳優さんを押し出す”というと言葉が変ですけど、生でお客さんをもてなすためにみんなで何かをするっていうのはすごく贅沢なものだと思うんですよ。映像とか他の形式ではそういうことはあんまりないですしね。
ナマの俳優さんのいろんなところが出てくるから、きちんと正直にモノをお届けして、正直におもてなしができるという意味では、すごくいいなと思うんです。舞台上に出るものだけで勝負して、お客さんはそれを味わって、って非常にわかりやすいでしょ。開演時間に始まって、終わったらおしまい。そういう意味ではわかりやすくて正直でいい。 あと、演出家としては、始まった時に僕はもういなくてもいいと言ったらいいんですよね。
遊馬:なるほど(笑) 。
大和田:プレッシャーにさらされずにすむっていう(笑)。だから自分には向いてると思うんですよ。やることやったら役者にお任せして、自分が時間かけて作ったものを自分がいないところでやってるっていうのが面白くて好きなんです。
少しだけでいいから、褒めてもらえるように(遊馬)
遊馬晃祐(主演)
――座長と演出という稽古場を引っ張るおふたりですが、『ざくろ』をどんな舞台にしたいですか?
遊馬:今はプレッシャーもすごく感じてるんです。今日、事前稽古もして、あらためてホントに自分が引っ張っていかなきゃいけないなっていう気持ちも出てきて……。すごくビビってるんですけど、それを覆せるように初日の稽古から自分ができることをしていきたいです。
自分の役割として、稽古場を明るくしたり、他のみんなの力になれることをしたり、できることはあると思うんです。座長としても未熟ですけど、未熟ながらにできることを頑張って千秋楽の時には、少しだけでも、少しだけでいいですから褒めてもらえるように頑張っていきたいですね(笑)。
大和田:(笑)。
遊馬:まあでも、やっぱり明るいカンパニーにしたいと思いますね。怪我もなく。
大和田:僕の方は、もちろん原作がありますからコミックや、それをもとにしたアニメーションもあるわけじゃないですか。そういうものを想像してくる人たちに「原作通りだったな」って思っていただくのもいいんですけど、それだけだとね。色鮮やかな原作の絵だとか、アニメーションだとかと比較して負けちゃいけないと思うんです。
もちろん生身の人間がやるわけですから、映像や漫画と違って場面場面の舞台背景の数は少ないし、出てくる人も原作と比べたら少ないと思います。でもその分、伝えたいことはしっかりと伝えて原作や、アニメーションなどに負けないようにしたいなと思ってます。それは僕だけの力では足りないから……。
遊馬:そうですね。僕らも、全力で。
大和田:びっくりさせたいよね。いろんな意味で。
遊馬くんは、とにかく正直で、いろんなことをさらけ出してくれる(大和田)
――実際に会ってみてのお互いの印象を教えてください。
遊馬:会ってみてですか? そうですね、すごく優しそうな方で……。
大和田:間違ってるな(笑)。
遊馬:間違ってるんですか!? こわいこわいこわい! 稽古場こわい!(笑)
大和田:(笑)。
遊馬:でも、ビジュアル撮影の時にもお会いしたんですけど、結構な長丁場を最後まで付き合っていただいたんです。そういったところでも優しい方だな、すごくお芝居に熱い方だな、と思いました。今日、実際に事前稽古をやらせていただいて、本当に「これから一緒に頑張っていきたい」と感じましたね。僕もわからないことがいっぱいありますから、いろいろと聞いていきたいですし、言ってもいただけるので、すごく幸せです。あらためてよろしくお願いします!って感じです。
大和田:初めて会ったのは、ある劇場の楽屋で、ある方を介して紹介していただいたんです。僕はその時にはもう一緒に『ざくろ』をやるってことを知っていました。会ったときの最初の印象は……すげえでかい人だなって(笑)。
遊馬:はい、でかいです(笑)。
大和田:本当、大きいなって。その印象が非常にあったんですよ。でも今日会ってみたらもう慣れたんでしょうね。大きい感じはもうしないんです。
遊馬:なんですかそれ(笑)。
大和田:大きいと冷蔵庫の上とか汚れてるの気になったりするんだろうなって(笑)。まあでも、何度かお会いしてるうちに、とにかく正直な人で、いろんなことをさらけ出してくれる人だってわかりました。それが自分としては一緒にやっていきやすいので、安心はしてるんです。だから今後も正直にね(笑)。
遊馬:わからないことはわからないって言います!(笑)
大和田:じゃああらためて、よろしくお願いしますということで。
遊馬:はい! よろしくお願いします!
結束の握手!
対談の最後に固い握手を交わした2人が引っ張っていく舞台『おとめ妖怪ざくろ』は、果たしてどんな舞台になっていくのか。その答えはぜひ劇場で確かめてほしい。
日程:2017年1月18日(水)~25日(水) ※全12回公演
会場:全労済ホール/スペース・ゼロ
原作:「おとめ妖怪ざくろ」 星野リリィ(「月刊バーズ 」連載中/幻冬舎コミックス)
<出演>
遊馬 晃祐/脇崎 智史/阿部 快征
野田 和佳子/高橋 優里花/ 富田 麻帆/椙山 さと美
亀井美緒/影山靖奈/千田 美智子/小林 健一
安里 勇哉 ほか
脚本・演出:大和田 悟史