三重・四日市で天野天街らが講師を務めるワークショップ発表会『雪をわたって~月のあかるさ~』開催

レポート
2016.12.21
 よんドラ2016 上演ワークショップ『雪をわたって〜月のあかるさ〜』チラシ

よんドラ2016 上演ワークショップ『雪をわたって〜月のあかるさ〜』チラシ


俳優・舞台美術・照明の総合演劇ワークショップ成果を、舞台上演の形で発表

「四日市市文化会館」が2015年に演劇シリーズとしてスタートした【YONBUN DRAMA COLLECTIONー四日市演劇化計画】(通称:よんドラ、創設の経緯はこちらの記事を参照)。その第2弾、“よんドラ2016”の後期プログラムが10月から始まっている。

内容は主に演劇公演とワークショップの2本柱で構成され、公演は10月に上演されたヨーロッパ企画の『来てけつかるべき新世界』を皮切りに、来年2月は劇団そとばこまちの『教師ノシカク』、3月にはMONOの『ハテノウタ』を予定。ワークショップは11月に行われたパントマイムユニット「シルヴプレ」に続き、来年1月に「坂田大地(そとばこまち)」と「土田英生(MONO)」が予定されている(ラインナップの詳細については公式サイトを参照)。

【YONBUN DRAMA COLLECTION 2016ー四日市演劇化計画】チラシ表

【YONBUN DRAMA COLLECTION 2016ー四日市演劇化計画】チラシ表

中でも今年の新たな取り組みとして注目なのが、現在進行中の『雪をわたって~月のあかるさ~』上演ワークショップだ。こちらは、俳優部門の講師を天野天街(劇団少年王者舘主宰・劇作家・演出家)、舞台美術部門の講師を天野作品には欠かせない舞台美術家の田岡一遠照明部門の講師をフリーの照明家として演劇をはじめオペラ、バレエなどの舞台を幅広く手がける花植厚美が務め、11月19日からそれぞれ数回に渡ってワークショップ(以下WS)を実施。その成果を12月23日(金・祝)に合同で発表するというものだ。

高校生以上を対象とした公募により集まった参加者は、俳優部門11名、舞台美術部門2名、照明部門4名の計17名。使用テキストは、劇作家の北村想が宮澤賢治の作品に想を得て執筆、当時北村が率いていたプロジェクト・ナビにより1989年に上演された『雪をわたって…第二稿・月のあかるさ』である。

まず俳優部門の〈天野天街WS〉では、台本を読み合わせる「本読み」から実際に演技する「立ち稽古」、ワンフレーズずつ各自が振り付けのアイデアを持ち寄って作り上げる「ダンス制作」を経て、身体の動きやセリフの言い回しなど細かな天野演出によって表現の仕方を学び、舞台に立つまでを6日間で行っていく。

俳優WS第1回目より本読みの様子。右端が講師の天野天街。 撮影:カシワナオミ

俳優WS第1回目より本読みの様子。右端が講師の天野天街。 撮影:カシワナオミ

2回目の俳優WSより、ダンス制作の様子。前回の宿題であった振付を全員が発表、それを繋げてひとつのダンスにまとめていく

2回目の俳優WSより、ダンス制作の様子。前回の宿題であった振付を全員が発表、それを繋げてひとつのダンスにまとめていく

俳優WS 3回目には実際の衣装を着けての稽古が始まった。画面手前は、舞台美術WSで制作された舞台セット模型

俳優WS 3回目には実際の衣装を着けての稽古が始まった。画面手前は、舞台美術WSで制作された舞台セット模型

俳優WSの稽古風景より。天野演出に応え、懸命に稽古を重ねていく参加者たち

俳優WSの稽古風景より。天野演出に応え、懸命に稽古を重ねていく参加者たち

一方、舞台美術部門の〈田岡一遠WS〉は、戯曲をもとに背景となるイメージを絵にし、それをどのように具現化していくかをレクチャー。参加者は8日間のWSで図面制作から模型作りを学び、実際の舞台セット制作までを行う。

舞台美術WSの第1回目は、セット造りの基礎を学ぶ講義から。奥が講師の田岡一遠。 撮影:カシワナオミ

舞台美術WSの第1回目は、セット造りの基礎を学ぶ講義から。奥が講師の田岡一遠。 撮影:カシワナオミ

2回目の舞台美術WSより、イメージを立体化する模型作りの様子。 撮影:カシワナオミ

2回目の舞台美術WSより、イメージを立体化する模型作りの様子。 撮影:カシワナオミ

4回目の舞台美術WSより。田岡同様、天野作品の美術制作に欠かせない小森祐美加も講師補佐として参加し、4人で実際の舞台セットを制作

4回目の舞台美術WSより。田岡同様、天野作品の美術制作に欠かせない小森祐美加も講師補佐として参加し、4人で実際の舞台セットを制作

【よんドラ】に於いては、俳優と舞台美術のWSは昨年も実施されているが、照明部門は今年が初開催となる。舞台製作の仕事の中でも、専門家以外には作業内容を把握しづらい「照明」。劇場によく足を運ぶ人でも、舞台照明がどのように作られていくのか知っている人は少ないのでは? そこで今回の〈花植厚美WS〉では、3部門の中でも最も時間をかけて(全9日間で1日の講義時間も長い)レクチャーを行っている。

「明かり作りには個人の趣味が反映するんですね。過去に見た夕日や朝焼けだったり、同じ朝焼けでもその時々や見た人によって印象が違います。なので、最初は参加者の皆さんのバックボーンを知りたくて、話し合う時間を設けました。それと、戯曲に書かれていることはもちろんですが、演出家の反応…戯曲をどう料理し、イメージを役者にどう伝えているか、を知ることが大切なので稽古を見学します。照明機材を扱うテクニカルの基本も大事ですが、想像力を膨らませて照明をプランニングする楽しさをまず知ってもらえれば」と、講師の花植。

2回目のWSでは、花植を含む参加者4人でひとりずつ、〈春と夏〉〈秋と冬〉〈朝と昼〉〈夕方と夜〉をイメージする明かりを作り、小屋入りから上演まで実際の公演のタイムスケジュール通りに進行。よんドラ企画担当者の田中峻氏を観客役として招き、一番良かった明かりを決めてもらうというユニークな講義も行った。

俳優WSを見学する、照明WS参加者の4人

俳優WSを見学する、照明WS参加者の4人

4回目の照明WSは、俳優WSの演出風景を全員で見学

4回目の照明WSは、俳優WSの演出風景を全員で見学

中央が講師の花植厚美。演出意図をもとに、シーンに合わせた明かりをどう作っていくかをレクチャー。参加者はカラーチップを手に、色やイメージを具現化していく

中央が講師の花植厚美。演出意図をもとに、シーンに合わせた明かりをどう作っていくかをレクチャー。参加者はカラーチップを手に、色やイメージを具現化していく

舞台製作未経験者を含む、初めて出会った参加者17名が、約1か月の短い期間で一丸となって上演を目指した『雪をわたって~月のあかるさ~』上演ワークショップ。講師陣の指導によりどんな作品に仕上がるのか、その成果を目にできるのは12月23日(金)15時上演の1回のみなので、ぜひお見逃しなく!

イベント情報
YONBUN DRAMA COLLECTION 2016
ワークショップ上演会
『雪をわたって〜月のあかるさ〜』

■作:北村想
■俳優指導・構成・演出:天野天街
■出演:青山真梨、井澤見枝子、えび(劇団鉛乃文檎)、大木あゆみ、大西陽子、近藤樺楊、中谷剛、ナカメキョウコ(エイチエムピー・シアターカンパニー)、堀越千晶、南あゆ美(殿様ランチ)、山中志歩/以上 俳優ワークショップ参加者、宮璃アリ(少年王者舘)

■舞台美術指導:田岡一遠
■舞台美術プラン:石川文香、山口匡史/以上 舞台美術ワークショップ参加者

■照明指導:花植厚美
■照明プラン:
岡田ゆう太(牛乳地獄)、久保田友弘、古田圭子、山中美乃梨/以上 照明ワークショップ参加者

■日時:2016年12月23日(金・祝)15:00
■会場:四日市市文化会館 第2ホール(三重県四日市市安島2-5-3)
■料金:無料(要整理券/四日市市文化会館にて配布)
■アクセス:近鉄「四日市」駅から西へ徒歩約10分
■問い合わせ:四日市市文化会館 059-354-4501
■公式サイト:よんドラ www.yonbun.com
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