舞台美術家・田岡一遠の作品展『天狗の棲』が三重・四日市で開催中

“アマノワールド”に必要不可欠の舞台美術家、そのアートワークが一堂に集結！

先日、当サイトで紹介した【YONBUN DRAMA COLLECTION 2016ー四日市演劇化計画】（通称：よんドラ2016）の上演ワークショップで〈舞台美術部門〉の講師を務めた田岡一遠の作品展『天狗の棲（すみか）』が、1月9日（月・祝）まで「四日市市文化会館」の展示棟で開催されている。

会場エントランス

展示風景より

田岡といえば、少年王者舘やKUDAN Projectほか外部作品に於いても、天野天街の劇作及び演出作品に欠かせない美術家として、1980年代から舞台美術やチラシデザインなどを担当。どこか懐かしい、昭和30～40年代を彷彿とさせるテイストを交えた作風を特徴とし、時に美術イメージを先行提示することで天野の創作意欲を刺激しながら、“何時でもなく何処でもないアマノワールド”をビジュアル化してきた。また、’90年代には少年王者舘と維新派、てんぷくプロの合同公演『高丘親王航海記』（1992年）や、上々颱風のコンサート「上々颱風祭り」（1993年～96年）など、野外での巨大セットも多数手がけている。

少年王者舘 第38回本公演『思い出し未来』(2016年）のセット模型

こちらのコーナーでは、セット模型とともに実際の舞台写真を展示

今回の作品展では、そんな田岡一遠のアートワークが一堂に集結。1980年代からのイラストレーションやコラージュチラシ、ポスター、舞台セット模型、舞台美術を記録した写真の数々、そして近年手がけているミニチュアのジオラマ作品を展観し、廃工場や廃駅を思わせるインスタレーションによって展示室自体も異空間に創り上げている。中でも注目なのが、今展のために製作された木製の実物大電車模型だ。レトロな配色の妙や、野ざらしにされた車体の経年劣化と鉄サビを表現した本物さながらの汚し塗装など、ぜひ間近で観察を。

コラージュチラシ作品。右側にはロゴデザインも展示されている

写植文字を切り貼りしていた時代の版下も

山間に立つ家々を模した近作。ジオラマ作品は今後も製作予定とか

KUDAN Project『百人芝居・真夜中の弥次さん喜多さん』（2005年）では、同型のものが“居酒屋電車”として舞台上に登場した

場内では、田岡が舞台美術を手がけた少年王者舘の舞台映像も随時上映されているので、実際の舞台でのシーンや照明によって、見え方が変わるセットの様子もお見逃しなく。尚、最終日の1月9日（月・祝）午後4時（※注意：5時からではなく4時からに繰り上がりました）より、田岡と親交の深いチェロ奏者・坂本弘道によるライブと、カシワナオミ（少年王者舘）の朗読によるクロージングイベントも予定。

朗読イベント、クリスマスバージョンより