新春から容赦なし! 熱狂と興奮で福を呼び込む、ヒステリックパニック流のライブ始め

レポート
音楽
2017.1.11
ヒステリックパニック

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あけまして おめDEAD! 今年も よろSICK! 2017
2017.1.4 Zepp Nagoya

ヒステリックパニック恒例の新春企画『あけまして おめDEAD! 今年も よろSICK! 2017』が今年も開催された。今回の会場は名古屋で最大のキャパシティーを誇るライブハウス・Zepp Nagoya。4回目にして辿り着いた晴れ舞台は、やる気に溢れたキッズのライブ始めにもぴったり。とっておきの晴れ着(=大好きなバンドのTシャツ)で身を包んだオーディエンスは、真っ赤なライトに照らされながら開演の時を今か今かと待ちわびていた。

 

THREE LIGHTS DOWN KINGS

オープニングゲストを務めたのは、昨年新たにメンバーを迎え、再始動したばかりのTHREE LIGHTS DOWN KINGS。ダイナミックなドラミングをみせるNORI(Dr)が開幕を告げ、緊張感がギリギリまで高まった所で拳を高く掲げたHiromu(Vo)。「ZEPP、行こうか!」と叫び声をあげると、閃光が瞬く中、怒濤の勢いで「BRAINWASH」へと雪崩れ込んだ。少しずつフロアを惹き込みながら、ボルテージを高めていく4人。「このメンバーで叶えたい夢がある」「沢山流してきた涙にも意味があったことを証明したい」と言葉にもしていたが、何よりもその音が彼らの想いを雄弁に語っているように思えた。前へと突き進む意思が眩しい「デイ・ドリーマー」、そして“栄光の日々が訪れるように”と願いを込めた「グロリアスデイズ」を届け、ステージを後にした彼ら。短い中にも鮮烈な印象を残すアクトだった。
 

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BACK LIFT

リハの段階から彼らに焦がれる声は多数上がっていたが、「あけおめー! ヒステリックパニック、呼んでくれてありがとー! ぶち上げていこう、宜しく!」とKICHIKU(Vo/Ba)が笑顔で告げ、「This is myself」を1コーラス口ずさむと、即座に湧き上がるフロア。YU-PON(Gt/Cho)が奏でる陽気なギターサウンドと超絶技巧の域に達しつつあるHEAVIN(Dr/Cho)のツービートが絡み合いながら走り出し、賑やかにフロアを揺らしていく。エネルギーの塊のような音に触れて誰もが良い表情を浮かべていた。

大きな会場でイベントを開催出来たことへの喜びに染まっているのかと思っていたが、「俺たちがこれだけ(オーディエンスを)呼べたなんて1mmも思っていない」というKICHIKU。ヒスパニもきっと想いは同じだと言葉を続け、彼は「もっともっと売れたい」「ここをパンパンに埋めたい」と野心を口にした。もうじきヒスパニとは同じレーベルの先輩・後輩という関係になる彼ら。レーベルごと盛り上げていきたいと話す姿はとても頼もしく、そんな姿に触発されたように沢山の歓声が贈られた。

「Tonight」のコーラスから再び圧倒的な陽性のパワーを秘めた音流が迸りだす。端々まで気合が漲った声に追随するようにリズムが弾け、連射される音に射抜かれたフロアは直ぐさま笑顔に溢れた熱狂空間へ。アンセム級・粒揃いの楽曲はZeppという大きいライブハウスに盛大なシンガロングを巻き起こす。時に自身の弱さを吐露するように、時に明日への希望や願いをどこまでも飛ばしてみせる彼らの音楽は、人間が生きる上で抱く感情そのものが高い純度で込められている。だからこそ、それが耳に飛び込んできた瞬間から、いつも以上に真っ直ぐ、湧き上がる想いと対峙できるようになるのだろう。音を介して深く繋がったオーディエンスは、どこまでも素直にその場を楽しんでいるように思えた。

BACK LIFTは今年で10周年。このタイミングでBLACK SHEEP RECORDSに所属出来たことを、とても嬉しく思っているとKICHIKUが話し、真摯な口調で「名古屋があったから胸を張ってやれてる。今日出てる3バンドはみんな、名古屋を背負う気持ちでやってると思う」と告げる。「一緒に歩んでいこう」と披露された「LOOK UP TOGETHER」でフロアと共に描き出したサウンドスケープに、今まで彼らが紡いできた地元のリスナーとの絆が垣間見えたような気がした。最後の最後に花火が弾けるようなショートチューンを放ち、「今年もいっぱい遊ぼう!」とステージを締めくくった彼ら。パンクバンドの在り方そのものを感じさせられるような、新年に相応しい、清々しいステージだった。

 

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暗転と同時に歓声が巻き起こり、CHAOS STEPの爆裂ビートにのせて$EIGO(Gt/Cho)、やっち(Dr)、おかっち(Ba)、Tack朗(Gt/Vo)の4人がクラップを始める。上昇し始めたボルテージに引き寄せられるように、ステージへと現れた とも(Vo)。最後のピースが埋まるように5人が揃い、いよいよ彼らのライブ初め。ともの指し示した先でTack朗持ち前のハイトーンが鼓膜を震わせ、とどめを刺すように「2017年1発目! 全力でかかって来い」とシャウトが響き渡れば、即座にフロアはここでしか味わえない狂騒の楽園へと早変わり。高速ヘドバンの嵐に、あちこちで出現するサークル。目の前の光景をみたTack朗も思わず堪え切れない笑みをもらす。数多のライブバンドと呼ばれるバンドの中でも、ヒステリックパニックが作り出す景色は間違いなく指折りの絶景。汗と熱気でぐちゃぐちゃになりながら、ステージの輝きにも負けないような笑顔があちこちで煌めいていた。

ヒステリックパニック

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「新年あけましておめでとうございます! 誰よりも早く君たちに会いたくて、1月4日からライブをしてしまいました。全力でライブ始めをしていきましょう!」と叫んだともがユーモア混じりの諸注意を話し、「お正月で食べ過ぎた分、身体も心も燃やしていこうぜ!」と「ファッキンホット」を投下。“さあ、暴れろ!”と言わんばかりのカオティックなグルーヴに、鈍っていた身体も完全覚醒。ライブハウスには珍しくサイリウムまで輝き出し、オーディエンスも興奮を身にまとったまま音の渦に飛び込んでいく。「足りねぇ! 正月だからって怠けてんじゃねぇのか!」とともが更に煽り、着火されたフロアからは雄叫びのような歓声が。「ライジングさん」では盛大なシンガロングが巻き起こり、大舞台の空気をヒスパニ色へと染め上げてみせた。

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目を輝かせてステージを見つめるフロアの様子を気遣いながら、「年々、年賀状が来なくなって、ついには接骨院からしか来なくなった。今年は友達を増やしたいです!」と年明けならではのMCで笑いを掻っ攫った とも。それぞれの年明けを面白おかしく話し、フロアも笑いながら体力を回復させている。ゆったりした空気を塗り替えるように「1月4日からこんな沢山の人が集まってくれて……。声、出せる? 何でもいいから叫べ名古屋!」と$EIGOが声をあげ、「萌え萌えきゅん!」の掛け声とともに後半戦へと突入。お互いの熱気が引き金になって、際限なしにテンションが高まっていくのだ。

ヒステリックパニック

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暗転したフロアからの歓声に笑いながら応え、この企画に込められた想いをともが話し出す。4年続けて辿り着いたZepp Nagoyaは、自分にとって初めて訪れたライブハウスだったのだという。10数年経って同じ舞台に立てたことを噛みしめるように喜び、「人を選ぶと言われてきたバンドがここまで来れたのは何かの証だと思う」「俺にとっての10年前みたいな、素敵な1日になればいいなと思っています」と真摯に言葉を届けた。「Holograph」「TeaR」とバラエティ豊かに絶唱を届け、「今日2017年ライブ始め、大晦日にも今日が1番楽しかったと言えるような1日にしたいです。ラストスパート! 君らの1番アホな顔がみたい!」と「うそつき。」へ。続々と現れるクラウドサーファー、そして、執念すら感じるデスシャウトと抜けるようなハイトーンが会場を彩り、フロアのストッパーがはるか彼方へと飛んでいく。

ヒステリックパニック

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そんなライブのラストを飾ったのは、「AM27:00」。曲中に感極まった表情のTack朗が「みんなにとっても俺らにとっても2017年が素晴らしい年になるようにさ。一緒に歌ってくれませんか?」と投げかけ、勢い付いたフロアが5人と共にメロディーを奏で出す。「新年1発目! 地元、名古屋の、名古屋の、名古屋の……ヒステリックパニックでした! 今年もよろしく!」と最後に叫んだともは、“やりきった!”という表情で笑っていた。

ヒステリックパニック

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アンコールでは初夏にミニアルバムをリリースすることも発表し、それと同時にオーディエンスにとって自慢に思ってもらえるような、名前を出しても恥ずかしくないバンドになる為に2017年も邁進すると誓った とも。一張羅のバンTで誓った想いは、確かに目の前のオーディエンスに届いていた。ライブハウスがここまでの熱狂に包まれながら、それでも不快感を抱く人が少ないバンドはそれほど多くはない。だからこそ、彼らの音楽がシーンに関わらず届くようになればいいと心から思う。2017年のヒスパニからも、目が離せなくなりそうだ。
 

取材・文=渡辺 真綾 撮影=橋本塁(SOUND SHOOTER)

あけまして おめDEAD! 今年も よろSICK! 2017

あけまして おめDEAD! 今年も よろSICK! 2017

 
セットリスト
あけまして おめDEAD! 今年も よろSICK! 2017
2017.1.4 Zepp Nagoya

■THREE LIGHTS DOWN KINGS
1.BRAINWASH
2.MONSTER DiSCO
3.デイ・ドリーマー
4.グロリアスデイズ

BACK LIFT
1.This is myself
2.morning
3.HUNGRY
4.IRIE PLACE
5.Show Me Your Roots
6.GO OVER
7.sign
8.with you all the time
9.Search
10.LOOK UP TOGETHER
11.NEVER SAY DIE
 
ヒステリックパニック
1.人生ゲーム
2.Brain Dead
3.しぐなる
4.ファッキンホット
5.なんてったってラウドル
6.ライジングさん
7.ねこ地獄
8.シンデレラ・シンドローム
9.Holograph
10.TeaR
11.うそつき。
12.AM27:00
[ENCORE]
13.でんでんひすぱっしょん
14.WiLL

 

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