『SINGIN' IN THE RAIN~雨に唄えば~』アダム・クーパー来日会見に天海祐希が参加で大盛り上がり
(左から)天海祐希、アダム・クーパー (撮影:中原義史)
ミュージカル映画史上に名を残す傑作の舞台版『SINGIN' IN THE RAIN~雨に唄えば~』は、日本でも宝塚歌劇団がたびたび上演するなど広く愛されている作品。なかでも2012年にロンドン・ウエストエンドで誕生したバージョンは、映画でジーン・ケリーが演じた主人公ドン・ロックウッド役に英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルとして活躍したアダム・クーパーを迎え、好評を博した。2014年秋の来日公演は5万人が観劇、東急シアターオーブでの海外招聘ミュージカルとして過去最高の動員記録を樹立している。その大人気公演が今年4月、待望の再来日を行なうこととなり、主演のアダム・クーパーの来日会見が、作品及びアダムの大ファンである天海祐希をゲストに開催された。
作品は世界ツアーを行なっているが、アダムが登場するのは日本公演のみ。「日本、そして東京は、僕にとって第二の故郷。再び来られて、そして再び『雨に唄えば』を上演することができて、本当にわくわくしている。17歳のときに最初に来日して以来、日本の観客、ファンは、世界の他の場所にはいない、特別な存在だと感じてきた。機会があれば必ず来たい、特別な場所」とアダム。天海が作品について、「観終わった後とても幸せな気持ちになれる作品。誰もが一度は聞いたことのある曲がたくさん流れ、自分も踊れるんじゃないかって、傘をもって雨の中踊り出したくなる」と語れば、「本当にハッピーになれる作品だよね。楽曲もすばらしいし、ラブストーリーでコメディで、しかも大量の水が降ってきて。全部僕の頭上に落ちてくるんだけど(笑)」と、楽しいやりとりが展開する。
アダムのダンスについて、「舞台姿が美しくて、体力の続く限り何時間でも踊っていてほしい、何時間でも観ていたい。映画版のジーン・ケリーの力強さに、洗練されたセンスが加わって、アダム・クーパーさん最強です。踊っていて、指先からレーザービームが光る感じ。手足がスリムでしゅっとしていらっしゃるけれども、舞台に立ったらさらに大きく見えて、ステージ上の空気を動かしている。そこに巻き込まれるような、指先が客席の自分のところにまで伸びてくるような、そんな魅力がある」と天海が言えば、アダムがレーザービームを放つかのように手を動かす一幕も。アダム自身は、「雨の中で踊ると非常に滑りやすいので、転ばないよう気を遣う。あの有名な場面で表現したいことは喜び。タップ、バレエ、ジャズと、僕が踊れるさまざまなジャンルのダンスを披露できる作品だけれども、感情を通じてストーリーを物語ることを心がけている」とのこと。あまりに有名な作品のため、「映画の、ジーン・ケリーの域にまで到達するのは難しい。最初に話を聞いたとき、出演を断ろうと思った」そうだが、「映画のことを忘れ、自分ならばどう演じ、どう踊れるのか、オリジナリティをもった役のアプローチを心がけた」と言う。
天海からは、長い公演期間中、どうやって体調管理をしているかという質問が。「踊ること自体が体調管理に役立つし、それ以外ではランニングやサイクリング、子供を抱き上げたりするのも身体にいいね(笑)。ただ、『雨に唄えば』についていえば、数週間前から特別スケジュールを組んでトレーニングをしてから公演に臨んでいる」とアダム。「パフォーマーとしては、同じ役を何度も演じたいとは思わなかったりする場合もあるけれども、マシュー・ボーンの『白鳥の湖』とこの『雨に唄えば』は、自分にとって、何度でも出演したい特別な作品。この二つは非常に異なる作品だけれども、どちらもパフォーマーとしてとてもわくわくする。『白鳥の湖』への観客の反応もすばらしかったし、『雨に唄えば』はといえば、最後には観客みんなが幸せになって立ち上がって叫んでいたりする。そういうことは劇場であまり起こらないことだから、そんな作品には何度でも出たいと思う」とのこと。
天海も、「私も前回公演を観たとき、日本の観客はおとなしく見ることが多いのに、この作品のカーテンコールでみんな立ち上がって一緒に歌いながら手拍子していて、なんてすてきな景色なんだろうと涙が出たし、観客にそれだけの思いをさせる舞台を私自身もいつかしてみたいと嫉妬した」と語る。「天海がすばらしいと言う意味がわからなかったら、だまされたと思って一度観てください。絶対損はさせません、アダム・クーパーさんが」と、笑いをまじえつつ作品の魅力を大アピール。この言葉にアダムも、「観客を常にわくわくさせたいと思って舞台に立っているから、本当にうれしい。ずっと変わらず支え続けてくれている、日本の最高の観客と一緒に、この幸せな作品を分かち合いたい。自分が舞台上で感じる幸せを、客席の皆さんも感じていただけたら」と、意気込みを新たにしていた。
撮影タイムでは、カメラマンから傘をもってのポーズをリクエストされたが、さっそうと傘を構えたその姿が実に決まるアダム。天海が加わってのショットでは「相合傘で」とのリクエストがあり、「え~」と言いつつ非常にうれしそうな天海。アダムと腕を組み、「一緒に撮った写真、後でいただけますか」と笑いを誘う。アダムと天海の軽快かつ楽しいトークで、公演への期待がふくらむ会見となった。
取材・文=藤本真由(舞台評論家) 写真撮影:中原義史
■会場:東急シアターオーブ (東京都)
■日程:2017/4/3(月)~2017/4/30(日)
■演出:ジョナサン・チャーチ
■振付:アンドリュー・ライト
■出演:アダム・クーパー、他
■公式サイト:http://theatre-orb.com/lineup/17_rain/