みうらじゅん&いとうせいこうが「タイ仏像大使」に 『タイ〜仏の国の輝き〜』展の記者発表をレポート

レポート
アート
2017.3.2

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日タイ修好130周年となる2017年。この節目を記念する事業の一環として、『日タイ修好130周年記念特別展 タイ〜仏の国の輝き〜』が、2017年7月4日(火)〜8月27日(日)まで、東京国立博物館で開催される。タイ王国大使館で行われた記者発表では、本展の見どころが紹介されたほか、「タイ仏像大使」に就任したみうらじゅん、いとうせいこうの2名も登場した。

タイ王国大使館 駐日タイ王国特命全権大使 バンサーン・ブンナーク閣下

タイ王国大使館 駐日タイ王国特命全権大使 バンサーン・ブンナーク閣下

最初にマイクを握ったのは、タイ王国大使館駐日タイ王国特命全権大使のバンサーン・ブンナーク閣下。「皆さんこんにちは」と笑顔で挨拶した。さらに、日タイ修好宣言からは130年となるが、アユタヤー時代から日本とタイの友好関係が600年続いていることに言及し、「タイの名宝を日本の皆さまにお披露目できることを光栄に思います」と語った。

東京国立博物館 銭谷眞美館長

東京国立博物館 銭谷眞美館長

タイでは、仏教は人々の暮らしに寄りそう大きな存在であり、長い歴史のなかで多様な仏教文化が花開いていったという。東京国立博物館長の銭谷眞美氏は、「多様な仏教文化によって形成された、タイの歴史と文化をご覧いただきたい」と展覧会のコンセプトを語り、ブンナーク大使閣下と熱い握手を交わした。

《仏陀坐像》スコータイ時代 15世紀 サワンカウォーラナーヨック国立博物館

《仏陀坐像》スコータイ時代 15世紀 サワンカウォーラナーヨック国立博物館

本展の総作品数は、約140点。「ナーガ上の仏陀坐像」や「仏陀遊行像」など、日本初公開の名品を筆頭に、国内の貴重な作品が出品される。また、「タイ族前史の古代国家」、「タイ黎明期のスコータイ朝」、「国際交易国家アユタヤー朝」、「日本とタイの交流史」、「現王朝のラタナコーシン朝」という5つの章で、タイ仏教美術の全貌をたどる内容になっている。

東京国立博物館でタイ展が開催されるのは、日タイ修好100周年記念特別展から実に30年ぶりとなる。これに際し、東京国立博物館の主任研究員・猪熊兼樹氏は「100周年の際には、陶磁器や漆器なども含めた総合的な展覧会だったが、今回は仏教について深く掘り下げた内容だ」と語った。

写真家・三好和義氏

写真家・三好和義氏

展覧会ポスターなどのビジュアル撮影を担当した写真家・三好和義は、「仏像を男前にカッコよく撮ろうと意識しました」とコメント。そしていよいよ、タイ仏像大使就任式にみうらじゅんといとうせいこうが登場した。

左から、いとうせいこうさん、みうらじゅんさん

左から、いとうせいこうさん、みうらじゅんさん

——タイ仏像大使に就任された感想と、今後どのようにタイの仏像の魅力を広めていこうと思っているか、教えてください。

みうらじゅん(以下、みうら):タイの仏像には「微笑みの仏像」という特徴がありますよね。

いとうせいこう(以下、いとう):スマイリングブッダね。

みうら:今は世の中にスマイルが足りてないですから。今回、タイのご協力でスマイルを増やしていければと思います。

いとう:タイでは、すべての仏像がにっこり笑ってると言ってもいいですよね。日本の仁王のようにおっかない顔をしているものが、タイにはほとんどないんです。

みうら:涅槃仏でさえ微笑んでいるし。

いとう:それに、今から亡くなろうとしている仏陀でさえ微笑んで見せている。「死を恐れないでいいんだよ」って、お釈迦様に言われているような気持ちになるという意味でも、すごく深い哲学があります。そういう、ピースフルな仏陀が多いので、そういうことを我々は全面に出していきたいと思います。

本展オリジナル「マイペンライカレー」

本展オリジナル「マイペンライカレー」

みうら:あと、さっき食べさせてもらったんですけど、カレー(本展オリジナルの「マイペンライカレー」)もうまかったです。海外だとだいたいどこに行っても現地の食事に飽きて中華ばっかり食べてたんですけど、やっぱりタイの食べものは好きですね。

いとう:タイのご飯も仏像も好きなので、このタイ仏像大使にはもってこい。しっかり務めていきたいと思います。

——おふたりは本展の音声ガイドも担当されているということで、今日はその収録をされたそうですね。出来栄えはいかがでしたか?

みうら:会場で音声ガイドを持って微笑んでらっしゃる方がいたら、うちらの音声を聞いてると思ってもらってよろしいでしょうね。

いとう:その微笑みを生むためにも、僕たちはあまり難しいものではなく、易しい言葉で説明したつもりです。なので、ガイドを聞いてにっこりしていただけると思います。

オリジナルグッズのTシャツを持つ3人

オリジナルグッズのTシャツを持つ3人

——おふたりがこの展覧会のために手がけたオリジナルグッズについて教えてください。

みうら:僕は主に「スーベニアン(※みうらが考えた造語で、“土産ものの収集や分析をする人”という意味)」っていう職業でやらせていただいているので、明るくポップにTシャツを表現したいと思ってイラストを描きました。

いとう:すごくかわいいですよね。これももちろんスマイルしておられるっていうことで。

みうら:つい微笑みが漏れてしまうようなグッズです。「スマイル大使」ですから。

いとう:スマイル大使でしたっけ? タイ仏像大使じゃなかったでしたっけ?(笑)

なお、2017年7月7日(金)には東京国立博物館大講堂にて、みうらじゅん&いとうせいこうによるトークショーも予定されているとのこと。さらにテレビ番組『新TV見仏記』(関西テレビ放送 カンテレ)のロケでも、タイへ行ったというふたり。タイ仏像大使として、これからどのような活躍を見せるのか、とても楽しみだ。

 

イベント情報
日タイ修好130周年記念特別展 タイ〜仏の国の輝き〜

会 場:九州国立博物館 3階特別展示室
会 期:2017年4月11日(火)~6月4日(日)
休館日:月曜日(ただし、5月1日(月)は開館)
開館時間:午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)

会期:2017年7月4日(火)〜8月27日(日)
会場:東京国立博物館 平成館
休館日:月曜日(ただし、7月17日(月・祝)、8月14日(月)は開館、7月18日(火)は閉館)
開館時間:9:30〜17:30
金曜日と土曜日は20:00まで 日曜日と7月17日(月・祝)は18:00まで
※入館は閉館の30分前まで
本展情報サイト:http://www.nikkei-events.jp/art/thailand/

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