【Yumi's Bar フォンデュ】vol.3~10cmの魅力を一晩中語っていいですか?

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「10CM X TOWER RECORDS SHIBUYA ~10CMリリース記念ライブ『10CMです。』」より 写真提供:KJ MUSIC

「10CM X TOWER RECORDS SHIBUYA ~10CMリリース記念ライブ『10CMです。』」より 写真提供:KJ MUSIC


いらっしゃいませ。ようこそ、Yumi’s Bar フォンデュへ。

今日のお店のBGM、いいでしょ? 私の大好きな韓国の2人組歌手、10cm(シプセンチ)の「さよなら(クリウォラ)」よ。

私が訳詞を担当したから特に愛着のある曲なの。今夜は彼らの魅力について夜通し語りたいと思います。

なぜ夜通しって? だって彼らの曲は素敵な夜をさらに素敵に彩ってくれるから。

私が10cmの音楽を初めて聞いたのは2013年のサマーソニック。 ステージにはメガネの可愛らしいお兄さんと人のよさそうな背の高いのお兄さんが。なんて親しみやすい雰囲気のお二人。

と何気なく見ていた私はびっくり。な、なに、この声…!

伸縮自在って感じのよく伸びる、そして弾ける、美しく心地よい声。肩の力が抜けまくってるのに、たまにせつないパンチを絶妙に効かせてくる。

メロディーはキャッチーだけど大衆に迎合したいわゆる歌謡曲感は全くなく、私の心のひだひだに寄り添って軽くダンスを踊ってくれてるような楽しさと暖かさ。とってもフリーダムでピースフル。

当時日本では10cmを知っている人はまだ少なかったようだけど、集まった韓国人の観客からは熱狂的な歓声や、一緒に歌ったり気持ちよさそうに体を揺らす人も。

手をつないでいたカップルは腕をからませ、しだいに密着度が高くなっていく。お互いに見つめ微笑み合ったりしちゃってる。くーっ、私もダーリンと来れば良かったわ…なんてね。

10cmはボーカル&ジャンベのクォン・ジョンヨル君とギター・コーラスのユン・チョルジョン君からなるアコースティックデュオ。

ソウルにある弘大(ホンデ)のストリートから生まれ、2011年のシングル「アメリカーノ」が大ヒット。そこからめきめきと頭角をあらわし2013年には韓国インディーズでは史上初となる、キャパ1万人の会場(オリンピック公園体操競技場)での単独ライブを成功させていたのです。だから韓国の若者たちはこんなに熱狂してたんだ、納得。

さて、そんなプチ衝撃を受けてからは彼らの曲を毎晩のように聴くようになったわけ。するとさらなる衝撃が。

この歌詞…。ゴクリ。こんな歌詞、見たことない。男女の営み、そこで生まれた様々な思いや感情がリアルに発せられている歌詞。

歌の中の男女の息づかいや、部屋の中の情景、匂いまでも伝わってきそう。特に男の本音やじゃっかんの変態具合やアブノーマルさも。

いや、実はアブノーマルではないのかも。歌詞にするとアブノーマルだけど、恋人同士なら誰もがやっている(いた)実にノーマルなこと。これをうまく歌詞にできて、しかもさらりと美しく聴かせてくれる歌手がこれまでにいたであろうか!!

失礼、思わず力が(笑)。

彼らの曲(歌詞)を「エロい」と表現する人もいます。エロいです。エロいですが、なにか?

でもそのエロいこと、みんな普段の営みでやってますよね?

彼らの曲にはラブソングが多いです。でも「好き」「愛してる」「君を永遠に守る」的な王子様的な、壮大な、大げさなラブソングではないんです。

例えば、さっき商店街ですれ違った買い物袋を下げて手をつないで歩いている同棲カップルの営み。一見幸せな生活のようでもそれぞれが心の中に持っている、相手には絶対言えないイケナイ浮気心だったり、性癖だったり。

大ヒット曲「アメリカーノ」にはそんなビハインドストーリーがあるんじゃないかって、私は勝手に理解してるのね。

あるいは「さよなら(クリウォラ)」。私が訳詞した曲。

さっき近所の公園にぼーっと立っていたお兄さん。実は約10年付き合って恋愛感情がとうに冷めた彼女がいた。相手の声も顔もだんだんウザくなってた。で、昨日ついに別れた。いつも二人で通っていた公園に、今日は一人来てみた。ウザいと思っていた彼女はもう隣にいない。家に帰ってもいない。昨日出て行ったから。胸の中でキュっと小さな音がなる。鼻の奥がツンとなる。ウザくて別れたのに、いつかまた会いたいと思っている愚かなお兄さん。別れた彼女はもう二度と戻ってこないのにね。

他人から見ると、ただ公園でボーッと突っ立ってるお兄さんにしか見えなくても、そのお兄さんの心の中には安堵と寂しさと未練と…色んな複雑な思いがあるの。

私はそんな見ず知らずのお兄さんと、別れたその彼女の約10年間のストーリーを頭の中に描いてみたのね。この曲を最初に韓国語で聞いた時、私の中にその二人の後ろ姿がありありと浮かんだから。

言葉数は決して多くはないこの歌だけど、こんなにリアルな状況を聴く人に描かせてくれるんです。10年の二人の月日、そして別れを後悔せず、少しずつでいいから一歩一歩人生を歩んでいってほしい。そしていつかそれぞれが自分にぴったりなパートナーを見つけてほしい。昔の恋人にしてしまった反省点を、どうか新しいパートナーには繰り返さず、幸せになってほしい。

さ、ここから一歩を踏み出すのよ…!!

二人の背中を押してあげる、そんな思いで私はこの曲を訳しました。できるだけ直訳に近付け、曲の世界観を損なわず且つ歌いやすく聴きやすい譜割りにすることは至難の技でしたが…。

10cmのライブのMCは韓国語で行われ、同時通訳の文字が画面に表示されます。彼らのこの方式はもはやひとつの名物になっていて、彼らの音楽とともにMCも実に楽しいの。

私はその初代通訳も担当しました。めちゃめちゃ大変だったからもう勘弁(笑)って感じよ。今はもっと上手い方がしてくれているので皆さんご安心を。

10cmのライブで初代同時通訳を務めました

10cmのライブで初代同時通訳を務めました

彼らのライブ「10CM Night~オヌルパメ vol.4」が来月4月22日に行われます。その日は私、Yumi’s Bar フォデュを閉めてもいいかしら?

皆さん、一緒に酔いしれに行きませんこと?

撮影協力=LIVING ROOM CAFE by eplus

撮影協力=LIVING ROOM CAFE by eplus

公演情報
「10CM Night~オヌルパメ Vol.4」

■日時:2017年4月22日(土) 18時開演(開場 17時)
■会場:彩の国さいたま劇場小ホール
JR埼京線与野本町駅(西口)下車 徒歩7分
新宿から快速で27分、渋谷から39分
■出演:10CM
■先着順先行予約:2016年12月29日(木)12:00~2017年1月9日(月)18:00
■一般発売:2017年1月28(土) 12:00~
■公式サイト:http://www.10cm-kjmusic.com/
■公演専用URL:http://eplus.jp/10cm/
 


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