Kバレエカンパニープリンシパル宮尾俊太郎が語る、驚異のスペクタクル・アドベンチャー「海賊」の魅力!

レポート
クラシック
舞台
2017.5.1
「海賊」の魅力を熱く語るKバレエカンパニー プリンシパル宮尾俊太郎 (C)Isojima

「海賊」の魅力を熱く語るKバレエカンパニー プリンシパル宮尾俊太郎 (C)Isojima


イオニア海上で民間商船を襲い、手にした財宝に囲まれて勝利の美酒に酔いしれている海賊たち。そこに嵐が起こり、必死の抵抗空しく海賊船は難破。瀕死の海賊たちを発見し、介抱する美人姉妹メドーラとグルナーラ。メドーラの美しさに一目で心を奪われやがて恋に落ちる海賊の首領コンラッド。そこにやって来たのは少女たちをさらって金持ちに売りつけ儲けている奴隷商人ランケデム一行。彼らはメドーラとグルナーラを捕らえて奴隷市場へ連行する。コンラッドら海賊は彼女たちを奪還すべく立ち上がる。そして……。

古典バレエの名作に数えられながら、全幕上演が極めて珍しいとされた「海賊」を、新たな独創性を加えることで、驚異のスペクタクル・アドベンチャーとして生まれ替えることに成功した熊川哲也。「海賊」は熊川が得意とし、特にこだわりの強い作品のひとつ。

そんな「海賊」、Kバレエカンパニーで7年ぶりの上演が決まった。大阪・フェスティバルホールの公演でコンラッドを踊るKバレエカンパニーのプリンシパル、宮尾俊太郎を囲んでの記者懇談会が先日行われた。

プリンシパル宮尾俊太郎、フォトセッションにて (C)Isojima

プリンシパル宮尾俊太郎、フォトセッションにて (C)Isojima

7年ぶりに上演する「海賊」は、バレエをあまり知らない人や、バレエと云えば「白鳥の湖」で王子さま、お姫様の世界を想像される人たちに、こんなに荒々しい、男らしいバレエもあるんだというところを見て欲しいですね。男性ダンサーの魅力でもある回転や跳躍が豊富に出てきますし、惜しげもなく肉体美を披露しています(笑)。

バレエダンサー特有の美しい姿勢と、質問者の方をじっと見つめてインタビューに答える涼しげな眼が印象的な宮尾俊太郎。6月の大阪公演が行われるフェスティバルホールは、宮尾自身も大好きだと話す。

「フェスティバルホールで踊るのはとても楽しみ!」と語る、宮尾俊太郎

「フェスティバルホールで踊るのはとても楽しみ!」と語る、宮尾俊太郎

フェスティバルホールは本当に素敵なホールです。何と言っても品格があります。ステージもバックヤードも広い。冒頭幕が開くと、大きな船が2隻出てくるのですが、フェスティバルホールだと余裕で見ていられます。

それと、大阪のお客さまは反応がはっきりしています。良いものは良い!ダメなものはダメ!と……。外国で演じているようです。

宮尾が演じるのは海賊の首領コンラッドだが、彼の右腕アリ役にローザンヌ国際バレエ・コンクール3位入賞し、Kバレエカンパニーの昨年秋の作品「ラ・バヤデール」ソロル役で全幕主演デビューを果たした期待の大型新鋭 山本雅也が挑むのも見どころのひとつだ。

「海賊」メインビジュアル 中央がコンラッド役の宮尾俊太郎、左端がアリ役の山本雅也 (c)Nobuo Yano

「海賊」メインビジュアル 中央がコンラッド役の宮尾俊太郎、左端がアリ役の山本雅也 (c)Nobuo Yano

彼は生まれ持った素質が素晴らしいです。踊りの面でもキレの良さを必要とするアリにはピッタリ。まだまだ若さはあるものの、本当に器用で何をやらせても上手い。この役は元々熊川哲也さんが得意とされてきた役です。熊川さんに憧れて入って来るダンサーが多いKバレエカンパニーでは、やはり特別な役。彼の踊りに刺激を受けながらも、プリンシパルとしての踊りをしっかりお見せしたいです。

宮尾俊太郎はバレエ以外でもドラマやミュージカル、CMでも活躍しているが、そういった活動はバレエを踊る上でやはり役にたっているのだろう。彼はこんな風に答えている。

映像の世界で学んだことをバレエに活かせるかですか?演技や技術などについては、全く別物だと考えています。ただ、共演者の仕事に対する姿勢や、役の掘り下げ方などは大変勉強になりますね。普段は自分のバレエと向き合い、休憩中など誰とも話しませんが、ドラマの現場ではいろんな人が声をかけてくれる事も有り、よくしゃべります。「海賊」は演劇性の高い作品なので、以前とは違った部分をお見せ出来るかもしれません。

Kバレエカンパニー3年ぶりの大阪公演となる「海賊」は、浅川紫織宮尾俊太郎のプリンシパルカップルを筆頭に、熊川哲也が絶大な信頼を寄せる豪華キャストが出演。最後に宮尾俊太郎からお客さまへメッセージを語ってもらった。

「今回の「海賊」も自信作。ぜひ観て欲しい!」と力を込める (C)Isojima

「今回の「海賊」も自信作。ぜひ観て欲しい!」と力を込める (C)Isojima

「海賊」は、熊川さんの思い入れの強い作品です。ストーリーもきちっと辻褄が合うように組み立て直し、音楽も大胆な再構築を施し、壮大なスペクタクル・アドベンチャーに生まれ変わりました。セットのデザインや豪華な衣裳は、装飾など細かなディテールまでこだわっています。衣裳を身に着けて踊れるだけで、ダンサーは気持ちが昂ぶります。剣や銃がといった小道具もたくさん使われていて、映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」を見るように、バレエ初心者の方も楽しめます。そして、どの古典バレエよりも男性ダンサーの魅力があふれる作品です。もちろん女性ダンサーの見せ場もたっぷり。大阪では7年ぶりの上演となりますし、毎公演本番ギリギリまでベストな形を追求していますので、自信を持っておすすめできる「海賊」、ぜひお越しください。

取材・文=磯島浩彰

公演情報
Kバレエカンパニー
Spring Tour 2017『海賊』

 
■芸術監督:熊川哲也 
■指揮:井田勝大
■管弦楽:シアターオーケストラトーキョー
 
<東京公演>
■会場:Bunkamura オーチャードホール (東京都)
■日程:2017/5/24(水)~2017/5/28(日)
■出演:
<24日(水)14:00>中村祥子/遅沢佑介/伊坂文月/小林美奈/堀内將平/杉野慧 ほかKバレエ カンパニー
<25日(木)14:00>中村祥子/遅沢佑介/伊坂文月/小林美奈/堀内將平/杉野慧 ほかKバレエ カンパニー
<26日(金)18:30>中村祥子/遅沢佑介/伊坂文月/小林美奈/堀内將平/西口直弥 ほかKバレエ カンパニー
<27日(土)12:30>矢内千夏/杉野慧/益子倭/浅野真由香/篠宮佑一/兼城将 ほかKバレエ カンパニー
<27日(土)16:30>浅川紫織/宮尾俊太郎/山本雅也/白石あゆ美/石橋奨也/西口直弥 ほかKバレエ カンパニー
<28日(日)13:00>浅川紫織/宮尾俊太郎/山本雅也/白石あゆ美/石橋奨也/西口直弥 ほかKバレエ カンパニー
■公式サイト:http://www.k-ballet.co.jp/
 
<大阪公演>
■会場:フェスティバルホール (大阪府)
■日程:2017/6/10(土)14:00開演
■出演:
浅川紫織(メドーラ)、宮尾俊太郎(コンラッド)、山本雅也(アリ)、白石あゆ美(グルナーラ)、石橋奨也(ランケデム) ほかKバレエ カンパニー
■予約・問合せ:フェスティバルホール 06-6231-2221
■公式サイト:http://www.k-ballet.co.jp/


Kバレエカンパニー
Spring Tour 2017『ジゼル』

 
<東京公演>
■芸術監督:熊川哲也 
■指揮:井田勝大
■管弦楽:シアターオーケストラトーキョー
■会場:東京文化会館大ホール (東京都)
■日程:2017/6/23(金)~2017/6/25(日)
<23日(金)14:00>中村祥子/遅沢佑介/山田蘭/杉野慧 
<24日(土)12:30>荒井祐子/山本雅也/小林美奈/堀内將平 
<24日(土)16:30>中村祥子/遅沢佑介/山田蘭/杉野慧 
<25日(日)13:00>浅川紫織/宮尾俊太郎/矢内千夏/石橋奨也 
※出演を予定しておりました白石あゆ美は、怪我の為ジゼル役を降板致します。 なお、本件による払戻し、変更はお受けできません。 何卒ご了承のほどお願い申し上げます。
■公式サイト:http://www.k-ballet.co.jp/

 
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