史上最大規模の“運慶”づくしに! 興福寺中金堂再建記念特別展『運慶』報道発表会レポート

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2017.4.26
興福寺中金堂再建記念特別展『運慶』報道発表会に、スペシャルゲストとして篠原ともえが登壇

興福寺中金堂再建記念特別展『運慶』報道発表会に、スペシャルゲストとして篠原ともえが登壇

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日本人なら誰もが知る仏師といっても過言ではない、運慶(生年不詳~1223年)。運慶とゆかりのある奈良県・興福寺の中金堂がおよそ三百年ぶりに再建されるのを記念して、この秋、東京・上野の東京国立博物館で興福寺中金堂再建記念特別展『運慶』が開催される。この度、本展を前に報道発表会が開かれ、その全貌が明らかとなった。

運慶作の仏像22体が集結

運慶は平安時代後期から鎌倉時代にかけて活躍した仏師の一人。その生涯を通して数多くの作品を造ったと推測されるものの、銘文から確実に運慶作だと判明しているものはわずか18体、作風から運慶作だと推定されるものを含めてもたったの31体とされている。それらの像は全国の寺院などに散在していることや門外不出のものもあるため、これまで大規模な運慶展は開催されることがなかった。しかし、本展ではなんと推定作品も含め運慶作の像22体が一堂に会する。まさに史上最大の運慶展だ。

さらに寺外初公開となる重文「聖観音菩薩立像」(愛知・瀧山寺蔵)や、38年ぶり(国内では42年ぶり)の公開となる国宝「毘沙門天立像」(静岡・願成就院蔵)、そして神奈川・浄楽寺蔵の重文「阿弥陀三尊像」と「不動明王立像」「毘沙門天立像」の5体が寺外で揃うのは42年ぶりと、貴重な仏像や光景を拝むことができる。

原点から次世代まで、運慶の系譜を展観

運慶の初期から晩年の作品とともに、師匠ともいえる父・康慶や奈良仏師らの像をはじめ、息子の湛慶や康弁ら、運慶の作風を継承した仏師たちの像も展示。運慶独自の造形の誕生から、それが次世代に受け継がれていくまでの一連の流れを全74体の仏像から捉えることができる。

運慶作品の最大の特徴は、その写実的でリアルな表現だ。当時、他の仏師らが肉付きが薄く、写実的とはいえないものを造る中、運慶は髪の毛のふくらみや筋肉の表現、生命力や精神性を感じさせる顔の表情などを表現し、斬新な造形を生み出した。

先行して「運慶学園」が“開校”!

これだけでも見どころが盛りだくさんの内容だが、より『運慶』展を楽しんでもらうために、展覧会に先駆けてファンクラブサイト「運慶学園」が4月20日に開設された。運慶仏の魅力を美術、歴史、宗教、体育などのさまざまな切り口から紹介する「授業」と、運慶をテーマに色々な遊びを展開する「部活」の2部構成のコンテンツで、運慶に関する知識を掘り下げて楽しめるようになっている。中でも注目したいのが、東京大学大学院の石井直方教授が受け持つ「体育」の授業。運慶仏の筋肉の構造を分析し、運慶仏のようなボディになるためのエクササイズが考案されるという。

報道発表会には、「運慶学園」を代表して「手芸部」部長を務めるタレントでアーティストの篠原ともえが登場。運慶仏の魅力は造形美だけでなく、装飾品にもあると語り、運慶仏からインスパイアされた数珠風ブレスレットを披露した。この数珠風ブレスレットをはじめ、イヤリング、かんざしなど運慶仏から着想を得たアクセサリーの作り方や髪型なども随時「運慶学園」のサイト上にアップされるというので、運慶ファッションに身を包んで展覧会に足を運ぶのも楽しそうだ。

『運慶』展は9月26日(火)~11月26日(日)に東京国立博物館で開催。史上最大スケール、新たな発見があるやもしれない本展、ぜひ足を運んでみては。

イベント情報
興福寺中金堂再建記念特別展「運慶」

会期:2017年9月26日(火)~11月26日(日)
会場:東京国立博物館 平成館(上野公園)
休館日:月曜日 ※ただし10月9日(月・祝)は開館
開館時間:午前9時30分~午後5時
※金曜・土曜および11月2日(木)は午後9時まで
※入館は閉館の30分前まで
観覧料:一般1600円(1400円/1300円)、大学生1200円(1000円/900円)、高校生900円(700円/600円)
※中学生以下無料
 障がい者とその介護者1名は無料(入館時に障がい者手帳などを提示)
※( )内は前売/20名以上の団体料金
※前売券は7月1日(土)~9月25日(月)販売
展覧会公式サイト:http://unkei2017.jp/
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