『情熱大陸』で話題の演出振付家・MIKIKOがNYで一番影響を受けた作品とは? 『フエルサ ブルータ』芸術監督ディキ・ジェイムズと対談
ディキ・ジェイムス×MIKIKO 撮影=GEKKO
世界30カ国・60都市以上で500万人以上の観客を魅了し、世界中を熱狂の渦に巻き込んでいる『フエルサ ブルータ』が2017年夏、“日本”にインスパイアを受けた芸術監督のディキ・ジェイムズによって、世界初となる最新バージョン「WA!」として上演される。構想に10年を費やしたこの壮大なプロジェクトの公演を前に、本作の演出家ディキ・ジェイムズと日本を代表する演出振付家MIKIKOの対談が実現した。
ニューヨークで初めて観た『フエルサ ブルータ』に感銘を受けたというMIKIKOは、現在Perfume の振付やライブ演出をはじめ、近年一世を風靡した「恋ダンス」の振付など、様々なPVやCM、舞台と活躍の場を広げ、飛ぶ鳥を落とす勢いで活動している。先日放送されたTV番組『情熱大陸』でも、その広い活動に大きな反響を呼んだ。
対談が行われたのは、2016年12月。ディキ・ジェイムズが本作のオーディションのために来日した際に実現した貴重な対談である。二人に共通する演出への情熱とは? さらに3日間に渡るオーディションで選ばれた日本人キャストについて語った。
MIKIKO:私は10年前、アミューズの会長から、演出の勉強をするならニューヨークに行った方がいいと言われ、ニュ
ーヨークに行きました。それまでブロードウェイに馴染みがなかったので、ミュージカルをみるのは新鮮な体験だったのですが、いいとは思うんだけどなんとなく自分のやりたい表現に、ピンと来ていないところがあって。そんな時に、
『フエルサ ブルータ』に出会い、すごく感激して、救われたんです。今回その『フエルサ ブルータ』の新作を日本で作るときいて、(ディキ・ジェイムスに)お会いできてすごく嬉しいです。
ディキ:そういっていただいて、本当に光栄です。我々も興奮しています。まだ制作途中で、この感覚、わかっていただけると思うのですが、「このショーは素晴らしいものになる」と思う日があれば、「ぜんぶ直さなければならない」と思う日もあったり。今回、はじめて自国以外の国で作るというチャンスがきて、緊張しています。すべてが違うし、
我々にとってもクレイジーな体験です。
ディキ・ジェイムス×MIKIKO 撮影=GEKKO
MIKIKO:あのような考えることをやめて、みんなが体験するショーを作っていることに、私はとても共感ができます。歌はありますが、非言語の表現で、多分お客さんに想像してもらうということを期待して作っていらっしゃるのかな?と聞いてみたかったのです。
ディキ:そうです。我々はインタラクティブな人間ではなくて、どちらかといえば反射神経で動いている。自分の創っていることの意味を考えながらやるのが嫌なんです。観客には、ショーを見ているときに感じて、同じ体験をしてほしいと思っています。考えながら見てもらいたくないんです。感情的な旅にでたり、経験的な旅に出てたりしてほしい。観客はショーが終わったあとに、なんだったんだろうねとか、これは世界の始まりだよとか、いろいろな考え、反応を持っていると思うんです。だから考えてやっているわけではないんですよ。
MIKIKO:私はどういう意図で作ったのかと質問されるのがいちばん苦手で、なので今の話をきいてすごく納得がいきました。私はリオの閉会式の日本パート(リオ2016 大会閉会式 東京2020 フラッグハンドオーバーセレモニー)を担当した際、「日本ってなんだろう」と考えることに長い時間をかけました。芸者とか忍者とか着物など、海外の人がイメージする日本をショーで発表するという考えもあったんですけど、やっぱり今の東京を、今の演出で見てもらうということになりました。でも、今回、日本人ではないディキが演出することに意味があるし、私たちが見たいものになるんじゃないかなと思います。
ディキ:ありがとうございます。あのセレモニーの映像を観たのですが、すごく良かった。ダンスや様々な要素を入れて、現在の日本を、現在の東京を見せるというのは、とてもいいアイデアだったと思います。我々はそれとは違ったものをやっています。芸者や侍のコンセプトや、伝統的な画家やお祭りなど、日本の伝統的な要素を紹介したいというのがスタートなんです。そしてそこからできる限り遠いところに離れていきたい。今は、私達がやっているのは日本からのインスピレーションを表現するショーになるとしかいえないのですが。最終的にはモダンなショーになると思います。なぜならテクノロジーとか機械とか、使う要素はすべて現代的だからです。ただ、スターティングポイントは伝統的なもので、そこから遠いところに行きたい、どこが終わりなのかまだ想像もつかないけれど、本当に楽しい経験になると思います。
ディキ・ジェイムス×MIKIKO 撮影=GEKKO
MIKIKO:ニューヨークで『フエルサ ブルータ』を観たときに、世界観すべてが印象的だったんですけれど、ダンサーの選び方が共感できるというか印象的で、ただスタイルがいいだけではなく、ちょっと硬派な人が多い印象があったので、どうやってダンサーを選んでいるかというのが聞いてみたいです。
ディキ:今回のオーディションには、ダンサー・アクターが中心で、アクロバットの要素を持っている人もいましたが、広がりを持っている人を探していました。このショーにはアクションが大きかったり、爆発したりとか、そういった振付を考えていたんです。でも静かなセクションがあってもいいと思ったので、両方の要素を持った人、できる人を探していました。また、舞台にいて普通みんな観客席にいるものではなく、お客さんにすごく近いところにいるので、
1,000人くらい周りにいるとパフォーマーとして強い人でないと負けてしまう。だからパフォーマーもものすごく強い精神というか、キャラクター性を持っていて、さらにカオスでばらばらになっているところをストップできるような要素をもっているキャストじゃないといけないと思っています。
MIKIKO:今回のオーディションで選ばれたキャストもそうですか?
ディキ:はい、すごく強いパフォーマーを探すことができました。最初はなにを創造すればいいのか怖くて、ちょっとナーバスになっていたんです。これまでオーディションを様々なところでやってきましたが、日本でオーディションをやるときになにを期待すればいいのかわかりませんでした。でも今はすごくいい経験だったと思っています。マーシャルアーツとか格闘技とかストリートダンサーとかクラシックダンサーとかバレエとか、いろいろなバックグラウンドを持つ、素晴らしくいいパフォーマーが見つかりました。みなさんすごく準備をしてきてくれた人たちだと思います。なので結果に関して、非常に満足しています。
MIKIKO:伝えたいことの情熱が感じられて、だからこそあの作品に何か共感することがあったんだなという答えが見つかった気がします。私がニューヨークに住んでいたときにいちばん感銘を受け、そして救われた作品が『フエルサ ブルータ』で、その日本版を日本人のキャストで、ディキに作ってもらえるのは日本人にとして誇りですし、彼が日本人を調理、というか演出するとどうなるのか、すごく未知数なので観たいです。実際に、空間自体が演出されているので、足を運んで体験しないとわからない情熱みたいなものがぜひ感じられると思うのでみんなにもぜひ観てほしいです。ありがとうございます。
撮影:GEKKO
「Panasonic presents WA!-Wonder Japan Experience 」
■会場:品川・ステラボール 〒108-8611 東京都港区高輪4-10-30
■料金:
前売り1Fスタンディング ¥7,600 / 当日1Fスタンディング ¥8,700(税込)
※2F指定席あり、詳細は後日発表 ※未就学児入場不可
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■一般発売:5月27日(土)AM10:00より
■主催:WA!日本公演製作委員会[アミューズ/キョードー東京/フジテレビジョン/イープラス/ぴあ/ローソン/パナソニック/TBSラジオ]
■特別協賛/テクニカルパートナー:パナソニック株式会社
■後援:アルゼンチン大使館
■企画制作:アミューズ
■招聘:キョードー東京
■問い合わせ:キョードー東京 0570-550-799(平日11:00~18:00、土日祝10:00~18:00)