圧倒的技術や経験を持つアーティストの背景に迫る【ザ・スキルズ】第一回 ゲビル:若≪和太鼓師 広純 - HIROZUMI≫
ゲビル:若≪和太鼓師 広純 - HIROZUMI≫
――今日インタビューをやらせていただいている「和楽器BAR 龍宮~Ryu Guw~」は、広純さんが経営しているライブスペースもあるバーですが、ここはどういう想いで作られたのですか?
元々40歳から店舗経営をやりたいというのが、いつも自分の頭の片隅にありました。2年前にちょうどそういうタイミングが来まして、これは40歳になる準備だなと。それでジャズバーとかロックバーはあるけど、和楽器バーって何でないんだろうと思って、じゃあ自分で創ってしまおう!と。和楽器人口、和楽器を使っているバンドはまだまだ少ないですが、自分らしい店を創って、ライブハウスとしても活用できるようにしたかった。世の中から見て和楽器奏者や和モノはその佇まい、姿勢がとても大事なイメージがあり、和楽器奏者がアルバイトをしていても活動として恥ずかしくない場所、凛として和楽器バーで働いている、ここに出演しているという貫禄が必要だと思っています。例え仕事がない時でも、この店で僕がイベントを組んで、凛とした佇まいで演奏できます。小規模というところが僕のテーマでした。100人のキャパを毎回押さえるよりも、この店は40人~50人キャパですが、でも40人を埋めることは、ものすごく大変な事なんです。それと、もしコケても、僕が持つよって言えるキャパシティも必要でした。100人のキャパは無理かもしれないけど、このキャパだったらギリギリ何とかできるよねと。最終的に僕は寂しがり屋で、常に誰かと関わっていたいので、バンドは今やっていないし、やっていなかったので、アーティストを斡旋していきたいなって。
――さっきおっしゃっていた、和楽器をやる人は凛としていなければいけないというのは、本当にそうだなと思いますが、改めて和楽器、和太鼓の魅力を教えて下さい。
僕は生れながら和太鼓の音が生活に響いていて、そこから逃げたいと思った時期もありました。そんな中でロックは自由だと思った時、色々なジャンルやしがらみで、逆に不自由なってしまって。それで自分だけのジャンルを創ろうと、再び和太鼓を音楽に組み込み始めました。それは先人たちが築き上げてきた和太鼓の魅力、それは全身運動で魂を込めて叩く事であり、祭りを想像させてくれるもの、僕はその魅力を再認識し、それまで以上に愛せるようになりました。自分の原点に引き寄せられたというのが正直な気持ちです。やっぱり全身運動というのは魅力だと思うし、なにより嘘のない楽器です。ドンっと一音出せば、そこに人間力が出る楽器です。一打で人間力が表れる。
――一打で人間力がわかるというのは、音に魂が乗り移る楽器という事ですよね。だから太鼓の音って胸にも腹にも響いてきます。広純さんは絵師でもあり、アイテムも自分でデザインして、マルチクリエイターでもありますが、それは表現したい事がたくさんあって、その“場”を求めているということですか?
球技以外なら努力を惜しまずやるというのが人生のテーマなんです(笑)。球技をやると一気にダサくなります(笑)。僕と同じ年くらいの人が、フットサルを始めたりしますけど、一切賛同しないです(笑)。
――会社名に込められた思いもそうですが、人を育てるというか、常に色々な人と一緒にいたい、関わっていたいという気持ちが強いから、広純さんのところに人が集まってくるんでしょうね。
この5年間、ずっとバンドやっているやつが羨ましかったです。活動休止から解散してしまうバンドもたくさんいます。僕は今ではゲビルのメンバー同士が、ほとんどの事が許せるし、今が一番楽しくスタジオ入れていますね。売れることも考えないし、まずこいつらと演っているという事が大切で。昔は追い詰められた感に必死で、でも今はメンバーが5年のブランクを背負っているだけで平等なんです。それぞれがそれぞれの仕事をちゃんと持って、向き合っているので。当時はCDが何枚売れるか、ライブに何人入るか、グッズがどれだけ売れるが生活に直結していましたが、今は何も気にしないで、ただゲビルの存在を楽しんでいる感じです。今、CDが売れないとか色々言われていますが、CDを売らない時代になってくると思います。CD売ってあげないよ、ライブじゃないと聴けないよ、アナログじゃないと聴けないよという時代に…。これからライブの価値が更に上がるめちゃくちゃアナログな時代が来ますよ。
人類が真の人間に興味を持つ時代が…
ゲビル:若≪和太鼓師 広純 - HIROZUMI≫
編集・企画=秤谷建一郎 取材・文=田中久勝 撮影=三輪斉史
~結成20執念~
6月30日(金)
高円寺HIGH
解禁18:30
前売3,500縁+1ドリンク
予約サイト
https://www.quartet-online.net/ticket/geviljp