大人も子どもも楽しめるムーミンの人形劇が東京に パペット・ファンタジー『ムーミン谷の夏まつり』
(C) Moomin Characters (TM)/人形製作:人形劇団ひとみ座
2017年7月29日(土)、7月30日(日)にパペット・ファンタジー『ムーミン谷の夏まつり』が東京・日生劇場にて上演される。これは、人形劇専門劇団として活動している「人形劇団ひとみ座」による公演で、1993年に日生劇場開場30周年を記念してスタートした、親子で本格的な舞台芸術に触れられる『日生劇場ファミリーフェスティヴァル』の中の催しの1つである。
『ムーミン谷の夏まつり』では、全長約1mのムーミンたちの大きな人形を、人形遣いが後ろから抱え、頭部の中に仕込まれた“胴串(どぐし)”と呼ばれる木軸を握って操作する。人形遣いの姿が客席から見えるこの操演方法は、“出遣い”と呼ばれ、伝統芸能の文楽において典型的な技法となっている。
人形を製作・操演するのは、『ひょっこりひょうたん島』等で有名な「人形劇団ひとみ座」。人形は、劇団内にある工房(アトリエ)で、劇団員の手によって元型から作り上げられる。まるで小説から飛び出してきたような、ムーミンたちの活き活きとした姿は必見だ。
「人形劇団ひとみ座」では、伝統と現代とが融和して生み出される幻想的な空間を目指して、この人形劇のスタイルを「パペット・ファンタジー」と名付けている。デジタル・アニメーションや高度にCG処理された映像が当たり前の時代だからこそ、伝統の技術と手仕事によって作られた人形劇の世界を観ることは、普段は見失っている大切なことへの気づきにつながるかもしれない。
人形劇の原作小説『ムーミン谷の夏まつり』では、災厄に見舞われながらも、それに負けずに生きるムーミンたちの姿が描かれている。昼寝用のハンモックやマーマレードの小瓶など、生活の中の小さなことを大切にするムーミンたちの朗らかさは、何気ない日常の大切さを教えてくれる。
本作には、ミーサやフィリフヨンカなど、内向きで、自虐的で、悲観的なキャラクターたちが登場。よくある子ども向けの道徳的な物語であれば、彼らの性格は明るく前向きな方へと矯正されがちだが『ムーミン』の世界では、彼らのネガティブな性格は、そのまま認められている。ムーミンの世界は、言わば“ありのまま”の自分を認め合う世界でもあるのだ。
『ムーミン』の物語は、児童文学でありながら、むしろ大人にとって共感できる魅力にあふれた作品だ。今回の人形劇では、大人も子どもも楽しむことができるように、トーベ・ヤンソンによって描かれたこのオリジナルの世界観を忠実に再現することに力を注いでいる。『ムーミン』の舞台作品が制作・上演されるのは、今回の日生劇場公演が日本史上初の機会となる。
日時:2017年7月29日(土)・7月30日(日)11:00/14:30開演(全4回)
1948年発足。翌年より、人形劇専門劇団として活動。子どもを対象にした作品をはじめ、シェイクスピア作品、安部公房や泉鏡花の戯曲、伝統人形の研究と継承をも活動の柱としている。代表作に、「ひょっこりひょうたん島」「リア王」「ゲゲゲの鬼太郎」「ズッコケ三人組シリーズ」など多数。(公式ホームページ:http://hitomiza.com/)
公演詳細ページ:http://famifes.nissaytheatre.or.jp/info/2017_info/moomin/index.html