夜の本気ダンス 大ブレイクへ向け高まる期待を煽るシングルと、夏フェスシーズン真っ最中の心境を語る
夜の本気ダンス 撮影=上山陽介
夜ダンの曲がプライムタイムのテレビからガンガン流れるという、まさかの事態に興奮している。夜の本気ダンスのニューシングルは、フジテレビ系全国ネット木曜劇場『セシルのもくろみ』主題歌。しかし真に興奮すべきはその楽曲で、とことんエッジの尖ったサウンドに疾走するビート、感情を焚きつけるリリック、中毒性の極めて高いフックを持つ、一切の妥協なき強力なダンスロックチューン。大ブレイクへ向け、高まり続ける周囲の期待をさらに煽るシングルと、夏フェスシーズン真っ最中の心境を、4人が語ってくれた。
「TAKE MY HAND」は夜の本気ダンスの骨の部分。シンプルだけどすごいノれる、それをさらにソリッドに磨き上げた曲で勝負できるのはうれしい。
――まずは、先月までやっていたツアーの話から入っていいですか。初日の大阪とファイナルの東京がワンマンで、それ以外は強力な対バンたちと回ったツアー。どうですか、ツワモノたちと戦い終えた感想は。
鈴鹿秋斗(Dr):0.8秒と衝撃は、インディーズのactwiseというレーベルで、もともと僕らも同じ場所にいて、僕らをマネージャーに紹介してくれはったのが0.8秒のメンバーだったりして、縁がすごいあったんで。対バンの始まりがそこからで、気持ち的にぐっと引き締まった部分もあります。
――解散しちゃうんですよね、0.8秒は。そういう意味でも思い出深い。
鈴鹿:そうですね。ライブを見させてもらってても、あの切れ味はすごい刺激になりました。そこから対バンが続いて、中でもPOLYSICSはマイケルがバンドを始めるきっかけになったぐらい、すごく影響を受けたバンドで。
マイケル(B):この日は僕が徹夜でPOLYSICSのバイザーを作って、それをアンコールでみんながつけて、ツナギを用意して出たんですけど。最高でしたね。
鈴鹿:ヤバかったな。
マイケル:自分が一番影響を受けたバンドの方と一緒にできて、しかもF.A.D YOKOHAMAというハコがソールド(アウト)で。忘れられない1日になりましたね。
――西田さんは、ツアーの想い出というと。
西田一紀(G):僕はあんまりバンド界隈に友達がいないんですけど、バニラズ(go! go! vanillas)とやった時に、バニラズの曲に僕とちょねくん(米田貴紀)が入れてもらったり、僕らのアンコールの時に牧くんに出てきてもらったり、お互いのバンド同士ががっちりと一緒にできたなというのが、すごく印象に残ってます。
米田貴紀(Vo&G):高松で一緒にやった雨のパレードは、『列伝ツアー』で全国を一緒に回って戦ってきたバンドなので。高松MONSTERという場所も『列伝ツアー』で使った場所なので、ソデから雨のパレードを見てる時も、あの時のことを思い出して感情が昂るというか。このタイミングで一緒にツーマンができて良かったなと思いますね。
鈴鹿:あと、ねごとさんとは初めて対バンしたんですけど、“男顔負けの”とか言うとベタなセリフになりますけど、音もすごいかっこよかったし、打ち上げも楽しかった。お互い顔に落書きしあうという意味不明なことがあったり、このツアーの打ち上げで一番体を張りましたね(笑)。
――個人的には、Creepy Nutsがちょっと意外だったというか。どんな感じだったんですか。
鈴鹿:もともとクラブの畑でやってはって、僕らのお客さんも、初めて見る方が多かったと思うんですけど。ヒップホップのノリというか、お客さんをノらせるのもめっちゃうまかった。
米田:ヒップホップのノリをそのまま出すというよりかは、ロックシーンのお客さんに伝わるように、ちゃんと作り上げてから(曲を)持って来てはるんで。根本的なスキルとかそういう部分で、絶対に負けへんというものがあるから、捨てられるところは捨てられる。それが強みだなって、見てて思いました。
――そういうのを見てると、逆に“夜ダンの一番の武器とは?”とか、あらためて考えたんじゃないですか?
米田:そうですね。曲をDJのように1曲につなげて、その間ずっと踊らせるということができるのが僕らの強みかなというのは、このツアーを通して感じるところではありました。その場でギターをバッと鳴らしたらバッと出てくるその感じ、音が体から出てくることを感じられるのがロックバンドやと思うんですけど、それを持ちつつも、DJのように曲をつなげてやれるのが、いいところだと思うんですね。
――では、ニューシングルの話に入りましょう。3枚目のシングルは「TAKE MY HAND」。ドラマ『セシルのもくろみ』主題歌という大舞台ですけど、これは、依頼があっての書き下ろしですか。
米田:書き下ろしですね。でも本当に自由にやらせてもらって。
鈴鹿:ドラマのプロデューサーさんが夜の本気ダンスのことが好きで、オファーをしてくれはって。もともとその前から、夏ぐらいにこういう曲を出したいねということで、作ってた段階でオファーをもらって。“ちょうどいい曲があるんで”って、聴いてもらって、そのまま主題歌に選んでもらったので。僕らのやりたいことを、ストレスなく出せた曲ですね。
――正直、攻めすぎちゃう?というぐらい、トンガッたダンスロック・チューンだったんで、びっくりしたんですよ。これがテレビから流れる? それはすごい!って。
マイケル:これをOKと言ってくれはった、プロデューサーさんがすごいなと思いましたね。逆に僕らが“大丈夫か?”と思ったぐらいで(笑)。
鈴鹿:半分諦めてたもんな。
――ドラマうんぬんを置いておいても、夜ダンとしても超攻撃的な曲でしょう。
マイケル:「Without You/LIBERTY」を出して、「SHINY E.P」を出した流れで、今回はバンドのエッジの部分を出したいとなった時に、こういうアプローチをしたいなと思っていたところへいただいた話だったので。“こういう感じの曲で行きたいんですけど、どうですか?”ってプロデューサーさんに聞いた時に、“これで行こう”と言ってくれたので、タイミングがすごい良かったですね。この曲に対しては、我々としては夜の本気ダンスの骨の部分だと考えていて、昔からあったようなリフとリズムで楽しませる曲というか、シンプルではあるけどすごいノれるというもので。それをさらにソリッドに磨き上げた曲で勝負できるのは、自分たちにとってもうれしいことですし、それがこういう大きな、いろんな方の耳に届く形になるのはすごくうれしいですね。
西田:「SHINY E.P」がちょっとポップな方向に行って、その逆方向に振り切ったものを作ろうという前提があって着手した楽曲なので。曲の大枠もそうですし、ギターのサウンドもアプローチの仕方も、ドラマのお話は一旦度外視して“これぐらい行ってもええんちゃうか?”というぐらいの意識で取り組みました。ベースとドラムとギターが絡むことによって、全体のアンサンブルでノせていく感じの曲で、言ったら、昔からあったこのバンドのエッセンスを、またここに来てドン!とフォーカスして出せたのかなと。
マイケル:この曲は、自分が好きな06年や07年頃に出て来た、ニューウェーブリバイバルのバンドのイメージでベースラインを作っていて、本当に僕の趣味が出てるんですけど。ずっと同じパターンで回ってるんですけど、そのリズムの使い方がちょっと気持ち悪いんですよ。休符の置き方とか。
――その、ニューウェーヴリバイバルのバンドって、たとえばどんな?
マイケル:フューチャー・ヘッズ、ブロック・パーティー、デパーチャーズ、フォールズとか、あのへんですね。ああいう、かっこいいけど、ちょっと気持ち悪くて頭いかれてるんじゃないか?という雰囲気を出せへんかな?と思って、やりましたね。
鈴鹿:ドラムは、音色で言うと、Aメロとかリフの部分はパーカッシブな音で作っていて、ビートの面でいうと、ハネる感じをめっちゃ意識して叩きました。ちょっとアホっぽい感じというか、自由に踊れる感じがほしくて、フィルもめっちゃアホっぽいものを入れようと。アホっていう言葉は、うまいこと書いてほしいんですけど(笑)。
――同じアホなら踊らにゃ損損ってことで。いいんじゃないですか。
鈴鹿:何も考えんと叩いてる感じが出せればなと思って、何も考えんと出たのがそれだったし。ドラムに関してはとにかく自由に、ひたすらハネさせる意識で叩いたって感じです。昔はハネ方とかタイム感とか、ようわかんなかったんですけど、昔よりは意識して出せるようになってきたかなと。
――確かに。それはメジャーデビュー以降のシングルで、一つずつ試してきたことの成果じゃないですか。
鈴鹿:そうですね。「SHINY」とか、普通のエイトビートじゃなくてちょっとハネさせてるというか。「TAKE MY HAND」も四つ打ちやけど、たぶん高校生とかがコピーしたら“何かちゃうよな”と思うだろうし、そうなってほしいと思いながらハネました。
――プレイヤーの方はぜひ、細かいところまでチェックしてもらえれば。米田さんは、この曲の演奏で気に入ってるところというと。
米田:僕は今回ボーカルだけに専念して、ギターは弾いてないんですけど。曲を作っていく中で、さっきマイケルが言ったようなニューウェーヴリバイバルだったり、ニューレイヴと言われたものだったり、そういったアーティストへの僕の愛が、この曲には注がれてると思いますね。夜の本気ダンスが技術的にも成長した中で、あらためて自分のルーツを作品にしたことで、過去の作品と比べても全然違うし、成長度合いが確実にわかるようになってるし。今回そういった曲を作れて、夜の本気ダンスの本質となる部分をアップデートできたかなと思います。
――ああ、アップデートという表現はぴったり来ますね。幅を広げるというよりも。
米田:前回、前々回のシングル作品で幅を広げつつも、一番の核となる部分を更新できたと思います。
――ライブでも、すごいキラーチューンになると思いますよ。間違いなく。
米田:音源はもちろんですけど、ライブで聴いてもらうほうが、反応が早いと思いますね。曲ができた時から、僕たちもそこを楽しみにしてます。
――リリックについても、ひとこと。これも、ドラマの世界観とはそんなに関係ないというか、今の夜ダンらしいメッセージだと思うんですよね。ひたすら激しく鋭く、感情を焚きつける言葉をぶちまけていて。
米田:オケに対して合うような歌詞にしましたし、リズムとの整合性が取れるように、仮歌からちゃんとした歌詞になる段階に、あまり差が出ないようにしましたね。
――<コンフュージョン!>っていう歌詞が、すごくかっこよく響いたんですよ。混乱、乱雑というのはすごいパワーを生み出すものだし、夜ダンがやってるロックにぴったりだと思うので。
米田:ニューウェーヴとかそういったものって、そういうコンフュージョン感とか、痙攣してたりとかしますよね。たとえばジョイ・ディヴィジョンとかのあの感じ、ノイズ感とか、あのアートワークの感じとか、そういったものはこの曲のテーマでもあったので。それは歌詞でもうまく表せてるかなと思います。
――さっきマイケルさんが言った気持ち悪さちというのも、共通すると思うんですよね。単純に踊れるだけじゃない、心に刺さる棘が、曲にもリリックにある。
米田:一見、単純にワーッとなる曲なんですけど、よく聴くと“あれっ?”という。夏フェスで演奏した時も、ロックキッズたちが踊りますけど、よくよく聴いてみると“ほかの人らとはちゃうぞ”というか、踊り方も違ってくるという、そういった部分は狙いでもあります。
――そこはみなさんぜひ、ライブで実際味わっていただければ。で、カップリングの話に行きますけど、2曲目に「This is pop」のニューミックスが入っていて。これは、インディーズでリリースした楽曲のリテイクですね。
米田:アレンジも一緒やし、やってることも一緒なんですけど、全然違うなと、聴き比べて感じましたね。ミックスしてる時に感じたんですけど、昔の音源って全部の楽器を真ん中に寄せていて、でも今回はある程度広めに入っていて。そういった音に対する僕たちの感覚が、たぶんこの年月で変わってきた部分なので、それが本当に出てるかなと思います。
――西田さん。自分の入ったバージョンの「This is pop」ができて、うれしいんじゃないですか?
西田:ですね。僕もこの曲は昔から知ってて、好きな曲やったんで、自分が弾いたものをみんなに聴いてもらえるのはうれしいですし。アレンジは基本的に元のまんまでやってるんですけど、昔出したものと聴き比べてもらって、今のバンドの状態を感じてもらえればいいなと思います。
――そして3曲目、前回のツアーからのライブテイクで「HONKI DANCE TIME」。一回プレーボタンを押すと20分以上止まらないという、すごいことになってます。
米田:3曲目に関しては、空気感を楽しんでほしいかなと。前回のライブに来た人は、そのライブを思い出すだろうし、来てない人は音源を聴くことで、僕たちのライブに対するワクワクというか、期待値を上げる音源になってると思うので。そういった部分を楽しんでほしいです。
夜の本気ダンス 撮影=上山陽介
――さあ、そして、今は夏フェスシーズン。めちゃめちゃ多いじゃないですか。
鈴鹿:多いですね。
マイケル:ここ2~3年は、呼んでいただける機会も多くなってきて。何回も出てるとステージの大きさも上がってくるんで、規模感がすごい広がってるということは自分たちでも感じてます。
――夜ダンにとって、フェスって、お祭りですか。それとも、戦いに挑むような気持ちで?
マイケル:何ですかね? 始まってしまえば、やるしかないんで。でもそこで、見てる人の記憶に残るライブをしないと、次がない可能性だってありますし。そこに来ている人たちに向けて、という意味合いもありますし、やっぱりバンドとしては、自分たちのライブに来てくれることが一番うれしかったりするので、そこにつながるライブをしないといけないという自覚はすごいありますね。
西田:僕は夏フェス言うたら、行くのもやるのも初めてなんですけども。人が多いところが苦手なんで(笑)。でも、そうですね、僕はそんなに気負う感じでもないし、どこで誰の前でやっても、やることは一緒やと思うんで。一本一本大事にやっていきたいなという気持ちです。
鈴鹿:お客さんが見たことないようなライブをすることがいいのかなと。この新曲も演奏していくと思うんで、今まで夜の本気ダンスのステージになかった部分を、補ってくれるような曲になってるんで、そこで初めて見た人に“何このバンド、ヤバい”と思わせて、それきっかけで僕らのライブに来てくれれば。みんなが見たことない景色を見せられるように、頑張ろうと思います。
米田:「TAKE MY HAND」というシングルが出るので、これを夜の本気ダンスの新たな武器にして、夏フェスの現場に乗り込むというか。去年とはまた違った僕たちの良さを、夜の本気ダンスは常に更新されていくんだというところを、お客さんに感じてもらえるような、そういった夏にしたいかなと思います。
取材・文=宮本英夫 撮影=上山陽介
夜の本気ダンス「TAKE MY HAND」
VICL-37301 / CD ¥1,200+税
<収録内容>
1, TAKE MY HAND *フジテレビ系全国ネット木曜劇場「セシルのもくろみ」主題歌
2, This is pop (new mix)
3, HONKI DANCE TIME (Japanese Style ~ fuckin' so tired ~ Only Nineteen ~ B!tch ~ You gotta move ~ Logical heart)
※全国ツアー最速先行予約シリアルナンバー封入
iTunes Store: https://itunes.apple.com/jp/album/id1258133904?app=itunes&ls=1
レコチョク: http://recochoku.jp/song/S1005344098/
Mora: http://mora.jp/package/43000005/VE3WA-17938/
【主要定額制聞き放題サービスでも「TAKE MY HAND」先行配信スタート】
Apple Music: https://itunes.apple.com/jp/album/id1258133904?app=apple&ls=1
LINE MUSIC:https://music.line.me/launch?target=album&item=mb000000000145cda1&cc=JP
Google Play Music: https://play.google.com/music/m/B7wknda3ouwtgeauespghshezqu