猪子寿之代表がギャラリートークに登場 閉幕まであとわずか『チームラボジャングルと学ぶ!未来の遊園地』を見逃すな!
東京・渋谷の渋谷ヒカリエでは9月10日(日)まで『バイトル presents チームラボジャングルと学ぶ!未来の遊園地』が開催中だ。世界各地で「学ぶ!未来の遊園地」を開催し、累計500万人もの動員を集めているウルトラテクノロジスト集団・チームラボが仕掛けるこのイベント。今回も「光のアートに体ごと没入し、光にふれて音楽を奏でる、参加没入型のミュージックフェスティバル」をテーマに、テクノロジーやサイエンスと融合した最新鋭アートが展開されている。閉幕まで3週間を切った8月22日にはチームラボの猪子寿之代表がギャラリートークに登場。ここでは22日に行われた一回目のトークの模様を交えながら、既に開幕1ヶ月で6万人以上を集めている本イベントの魅力を改めてお伝えしよう。
「日本から新しい音楽体験を生み出したかった」
ギャラリートークが行われたのは、イベント開催中に会場内に常設されている「RAIZINBAR」。動物たちが投影されたファンタジックな光の森でエナジードリンク・RAIZINを使ったオリジナルカクテルが楽しめる。
夜8時に始まったギャラリートークは猪子氏の独り語りで進行。まずは「チームラボジャングル」を企画したきっかけについて語ってくれた。
ギャラリートークに登場したチームラボの猪子寿之代表
「『チームラボジャングル』はもともと、日本で新しい音楽体験を作りたいと思ったのがはじまりなんです。ヨーロッパやアメリカで生まれ育った新しい音楽体験が日本に入ってくることは、それはそれでいいことだと思うし、僕自身もそういうのを好きで楽しんでいるうちの一人。でも、そういう新しいものがいつも欧米ばかりからやってくるのは寂しいなと。だから、日本でもそういう音楽体験を作れないかと思ったんです」
白い閃光が縦横に張り巡らされる
「一人一人が奏でた音が積み重なって、音楽ができていく」
ミュージックフェスティバルがテーマだけに、「チームラボジャングル」では大空間が無数の閃光と音で包まれる約1時間のショーが展開される。
「普通に作るだけでは欧米発信のものと違いがないので、本当に新しいものを作ろうと考えました。そこで従来のようにスーパースターが出てくる音楽フェスではなく、みんなが参加しながら一人一人の奏でた音が積み重なって音楽ができていくというアイデアが浮かんだんです」
そう語る猪子氏。確かにショーの中には「みんなが奏でた音で音楽を作る」という観客参加型の仕組みが幾つも散りばめられている。さらに、猪子氏は「あまりネタバレみたいなこといいたくないんですけど……」と半分本音を交えながら、一部のシーンについても解説をしてくれた。
「例えば光の線が弦のように出てくるシーンは、その線に触れると音が鳴るという仕組み。みんなが触るといろんな音が重なって音楽になるんです。そのほかに、上から降ってくるドクロを触ると声のような音が鳴るところもある。このシーンはバリ島で有名なケチャダンスのもとになった『チャ』という土着の呪術的儀式からのアイデアで、こちらも誰も触らなければ一切音が出ないんですが、みんなが触ることによって合唱に聞こえるんです」
ドクロと同じく、触れると音がなる花びら
猪子氏は「チャ」について、さらに掘り下げて説明する。
「この『チャ』は、実は音の数が多過ぎると雑音のように聞こえてしまうんですが、三層のスピーカーによって音楽が成り立つようにしています。上の層には4つのメインスピーカー、中間層にも10台のスピーカーを設置。そして下の層にも30台ほどの小さなスピーカーを置いていて、自分が鳴らした音は近くにあるこのスピーカーからしか聴こえないようになっています。つまり自分の奏でた音は遠くの人には聞こえないので、たくさんの人が一斉に音を鳴らしても全体がグチャっとならないように工夫しているんです」
丸い球体から放射されるまばゆい光
光輝くタンバリンはもちろん叩くと音が出る
「アートの世界に体が没入していくような体験を作り出したい」
猪子氏はこのイベントを「音楽フェスティバルだけでなく新しいアート体験の場にもしたかった」とも語る。
「特に夜の部の『アートナイト』では、光の線の集合が生み出す空間や立体物など、僕たちのアート作品がたくさん出てきます。それらは触れると音が鳴るので、光が本当の物質のように感じられるはず。そして、そうした光の立体物や空間に体が溶け込んでいくことで、身体とアートとの間に境界がないかのような、もしくはアートの世界に没入していくような体験を作り出したかったんです」
光を掴もうと、思わず手を差し出してしまう
「ずっと前からアートを身体で知覚して欲しいと思い続けてきた」と言う猪子氏。インタラクティブに体感できるアートとは、日本ではもはやチームラボの代名詞的な取り組みといえるが、「チームラボジャングル」のように長く、多くの作品を詰め込んだプログラムは初の試みで、その中には過去の展覧会での経験も活かされている。
「2年前にお台場の日本科学未来館で『踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地』というのを行ったんですけど、その時は『アートも踊るから、みんなも踊りながらアートを見て!』という狙いで『踊るアート展』というタイトルにしたんです。でも、“アート展”とついていたからか、みんなじっと見てしまって踊りながら見てはもらえませんでした(笑)。そこで去年の『DMM. プラネッツ』では、普通じゃ歩いて入れないような入り口をわざと作って強制的に身体を使う状態にして、それからアートを見てもらうということをやってみたんです。そして今回は音楽フェスティバルということで、音楽の力を使って皆さんが自発的に踊れるような空気を作り出していて、『踊る』というすごく活発な状態でアートを知覚できるようなプログラムにしています。真夜中のジャングルを舞台に、月が降りてきたり、星が降ってきたりといろいろなことが起こる中で、体全体でアートの世界に入り込んでみてください」
幾つものカラフルな球体が場内を回遊し、場内の空気は最高潮に!
“アートに没入するとは何か”を身をもって知る
現代を代表するインフルエンサーの一人である猪子氏の登場とあって、「RAIZINBAR」は立ち見の人々が絶えないほどの盛況に。そして、ユーモアと本音を交えた語りによって約20分のギャラリートークはあっという間に終了。その後は、実際に『アートナイト』を体験した。
「チームラボジャングル」で体を動かした後は、「RAIZINBAR」のカクテルでクールダウンしてみては
プログラムの詳細については当サイトでも既に紹介しているので省略するが、音と光が混沌と入り混じる1時間のプログラムはワクワクの連続で、見る・聞く・触るの感覚が大いに刺激される。無数の閃光がレーザービームのように体を突き抜けていくかと思えば、ある時は神々しい白い光が上から降り注ぐ。さらには突如舞い込んでくる巨大な球体を追いかけながら宇宙の一部になったかのような錯覚を覚え、やがてスペーシーなお祭りで盛り上がるフィナーレへと導かれていく。それが実体のない光だと解っていても掴もうとして手を出した時、自分が見事に“没入”してしまったことに気付かされる。ある人はその体験に宇宙空間を連想するかもしれないし、またある人はアニメーションの世界を連想するかもしれない。感じ方は人によって無限だからこそ、ぜひ自分自身の感覚で感じてみて欲しいと思う。
なお、猪子氏のギャラリートークは8月27日にも開催予定なので、ぜひ出かけてみてはいかがだろう。
会場:渋谷ヒカリエ9F ヒカリエホール
休演日:8/7(月)、8/21(月)、9/4(月)、Kids Noon(昼公演) 7/28(金)、9/5(火)〜8(金)、Art Night(夜公演)8/10(木)、8/4(金)20:30のみ
開催時間:9:30〜22:00(※定員制)
入場時間: 9:30、最終入場は16:40(土・日・祝は 15:20)
[Art Night(夜公演): 約60分] +学ぶ!未来の遊園地
入場時間: 18:00(土・日・祝は 17:00)、最終入場は20:30(平日・土・日・祝)
https://www.teamlab.art/jungletokyo/