第二十一沼(だいにじゅういっしょう) 『アップル沼!』
沼。
皆さんはこの言葉にどのようなイメージをお持ちだろうか?
私の中の沼といえば、足を取られたら、底なしの泥の深みへゆっくりとゆっくりと引きずり込まれ、抵抗すればするほど強く深くなすすべもなく、息をしたまま意識を抹消されるという恐怖のイメージだ。
一方、ある物事に心奪われ、取り憑かれたようにはまり込み、その世界にどっぷりと溺れることを
「沼」
という言葉で比喩される。
底なしの「収集」が愛と快感というある種の麻痺を伴い増幅する。
これは病か苦行か、あるいは究極の癒しなのか。
毒のスパイスをたっぷり含んだあらゆる世界の「沼」をご紹介しよう。
第二十一沼(だいにじゅういっしょう) 『アップル沼!』
Appleというとてつもないブランド感
「アッポー」(Apple)というとどんなイメージが沸くだろうか?私はやはり、Apple社、スティーブ・ジョブズという印象が強い。そして、今でこそ世間ではiPhoneが主流のようなイメージがあるが、もともとはやはりマッキントッシュの存在は衝撃的だった。
このコラムを書くにあたって家でマッキントッシュの話をしていたら、妻が
よく食べてたわ、マッキントッシュ
と言ったので耳を疑った。NYに長年いた彼女はマッキントッシュをよく食べていたらしい。
・・・どういうこと!?
聞けば「マッキントッシュ」はりんごの種類名で「フジ」や「つがる」みたいなものらしいのだ。一応りんごのマッキントッシュには日本名があり、その名は「旭」だという。
し・・・知らなかった。
妻もファースト・コンピューターは紛れもなく「マッキントッシュ」だったらしいのだが、彼女の場合はマッキントッシュというと食べるりんご、マックというとパソコンというイメージらしい。
さて・・話がそれてしまったが、
パソコン界のポルシェ
と言われていたマッキントッシュ。
その偉大なる歴史はここでは割愛させていただくが、Appleというブランド力に一体どれだけの人がこのアップル沼にハマってしまったか。
私の周りでも数年前までiPhoneが新しくなる度に買い換えている人たちがいた。
今でこそ少しその波は落ち着いたかのように見えるが、やはりパソコンにしても、スマホにしても、そのデザインは比較にならないほど斬新的でかっこよかった。
お付き合い30年弱、パソコンも店員も!
私が最初のマッキントッシュを買ったのは1990年だった。ちょうど「マッキントッシュ クラシック」が出た時だった。
私はもともと人から譲り受けたATARIを持っていたのだが、当時のATARIはDAWソフトが「Logic」にしか対応しておらず、譜面が読めない私には使いづらそうな印象だった。
一方マックを使うことで、「vision 」というDAWが使えるというので、迷いながら当時、秋葉原のソ◯マップへ向かった。
当時そこで店員をしていた2人の内、1人は20年後に一緒にパリへツアーへ行き、1人は27年後に秋葉原のライブハウスで客として来てくれるということなど誰が想像できようか??
その店員たちは恥ずかしながら私のバンドのことを知ってくれており、19時閉店であるところ、22時まであれこれと相談に乗ってくれ、2日かけてメモリやハードディスクの増量、ボードの増設、そしてなんと、ソフトのインストールまでをしてくれたのだ。
この親切が私の甘えとなり、未だに自分でソフトをインストールすることができない・・・。親切さはたまに罪・・・。しかしながら、この店員2人には非常に感謝している。
そうして私ようにカスタマイズされた
「マッキントッシュ クラシック」
が出来上がった。
当時で多分、100万は払った覚えがある・・・。
今の私はその金額をパソコンではなく、No PC!と言ってユーロラックモジュラーに投入したのだが・・・
時代とは恐ろしいものだ。
iPhoneで更に沼に引き摺り込まれた
そして使っている人も多いであろうiPhone。これがまたApple熱の再燃に繋がった事はご存知の通りだろう。そして、最近はiPhoneによってその存在も薄くなったiPodだが、そのiPodこそが実は私が沼に引き摺り込まれるきっかけになったのだ。
10年ほど前、当時70の母に第2世代iPod Touchを自慢された。私自身、初代のiPodは持っていたのだが、後にiPhoneにつながるこのiPod Touchのはかなり斬新だった。
そして、私はiPhone 3GSに手を出す事になるのだ。当時、キャリアまでをわざわざ変えて手に入れたiPhone。メールが来ても通知音もしないし、コピペもできないし、不便な事も多かったが、それでも、ガラケーより優れている!と信じていたw。
今だから告白できるが、途中iOSでは機能が追いつかないためJailBreak、いわゆる脱獄をしていた時期もあった。(この脱獄行為は違法行為とは認められなかったため、アップルは独自対処として、脱獄したiPhoneをサポート対象外とした)
その後、iOSは脱獄のみでできた機能アイデアを次々と取り入れてアップデートし、ぐんぐんiPhoneは使いやすくなった。
しかし、Appleの営業でもない私は、何人の人にiPhoneを勧めて変えさせた事だろう。全くAppleからのマージンはもらえない訳だが。
今やiPhoneの機能についていけず、誤ってホームボタンを押しながら喋ってると、質問と捉えて答えてくれるほどに成長している。
もう、コンピューターというか、ロボットみたいな感じだ。
iOS、iCloud、電話を無くしてもデータはセーブされ、データ移管も驚くほど便利になった。そして、ますます沼から出られなくなってしまった・・・・。
Appleというと、音楽配信の先駆けでもあったため、ミュージシャンを窮地に追いやった、という見方をする人も多い。もちろんそれもある。
私自身、たまに窮地に追いやられた気分にもなるが、時代は絶えず変化する。何かにすがって時代の変化を呪うなら、いっそ全部辞めた方が良い。
私には愛するバイナルがある。
そことは別にして、Appleという沼はやはり魅惑的で、いつの間にかハマってしまっている自分がそこにいる。
だから敢えて言っておこう。
一緒に沼の住人になろう・・・。
ZUSHI ART FESTIVAL ~蟲聴きの会 2017~電子音の森~
日時:10月07日(金) 16:00~19:30
会場:逗子文化プラザホール
出演者:いろのみ/hakobune/齋藤久師 (Hisashi Saito)/Tyme./Tatsuya Yamada/Shotaro Hirata (moph records)/
日時:11月18日(土) 17:00~21:00
会場:Contact
出演者:SARAH DAVACHI/MARCUS FISCHER & TAYLOR DEUPREE/HATAKEN feat. SUGIZO/RODENT/HISASHI SAITO (Live Set)/CUCKOO/ONUR ZLOBNICKI/DAS GEZICHT/ZV_K / TIPTOP AUDIO