【“SAI”クイックレポ】BRAHMAN 共鳴し合う“仲間”に、熱狂という名の祝福を
BRAHMAN
ACIDMAN presents 「SAITAMA ROCK FESTIVAL “SAI”」 BRAHMAN
あまりにも痛快すぎるライブだった。
「ACIDMAN20周年? (それを)全力でお祝いするのが俺達BRAHMAN。始めます!」
KOHKI(G)が奏でるエスニックなフレーズからなだれこんだ1曲目の「THE ONLY WAY」からいきなりモッシュ状態になった客席にTOSHI-LOW(Vo)が言い放ち、ステージの4人は、ほとんど曲間を空けずにハードコア・ナンバーの数々をたたみかけていった。
BRAHMAN
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KOHKIとMAKOTO(B)が掛け合いのシャウトを加えた「SEE OFF」、RONZI(Dr)の打ち鳴らすドラムに演奏の熱がぐんと上がった「BEYOND THE MOUNTAIN」、BRAHMANが持つメロディアスな魅力とアンセミックな魅力が1曲の中でダイナミックに交差する「ANSWER FOR…」。曲を重ねるたび、どんどん激化していったモッシュの中にTOSHI-LOWが飛び込み、リフが極悪な「警醒」と反原発のメッセージを込めた映像を流した「鼎の問」の2曲は、観客の上に屹立したまま、押し寄せるファンを払いのけながら歌った。なるほど、いつも通り、いや、いつも以上に彼ららしいライブを繰り広げ、観客を熱狂させることが、彼らなりの祝福だったわけだ。その点、TOSHI-LOWが言った“全力”に、嘘はこれっぽっちもなかった。
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「最高の1日にするために大事なことを言っておく」とTOSHI-LOWが神妙な面持ちで語りだす。何を言い出すんだろうと、やはり神妙な面持ちで次の言葉を待っている観客に彼が言ったのは、「華々しいメンツのタイムテーブルの中で唯一、ここがオシッコタイムです”。2万人がガクガクっとなる中、TOSHI-LOWは、ACIDMANのメンバー3人を散々いじって観客を笑わせると、最後に付け加えた。
「2011年3月11日を境に多くのミュージシャンが口を閉ざした中、(ACIDMANの)大木だけは原発のこと、戦争のことを語った。そして、それ以来、毎年3月11日に彼らは福島でライブをやっている。(その彼らから今日)仲間として呼んでもらったことに感謝しています」
BRAHMAN
その言葉に2万人が心を震わせたにちがいない。ラストは大木のリクエストだったという「今夜」。「これを選ぶなんて仲間想いだと思う」と言ったTOSHI-LOWは、友情を歌ったと思しきこのバラードを、細美武士をゲストに迎え、情感たっぷりに歌い上げた。そして、歌い終わった2人はがしっと握手を交わす。ACIDMANの20周年に、そんな心憎いやり方で花を添えたとも言えるその光景は、今日この日のハイライトの一つとして記憶されるはずだ。
取材・文=山口智男 撮影=三吉ツカサ
1. THE ONLY WAY
2. 賽の河原
3. BASIS
4. SEE OFF
5. BEYOND THE MOUNTAIN
6. 不倶戴天
7. ANSWER FOR…
8. 警醒
9. 鼎の問
10. 今夜