【“SAI”クイックレポ】ストレイテナー トリ前のステージを彩った至高の音とメロディ
ストレイテナー
ACIDMAN presents 「SAITAMA ROCK FESTIVAL “SAI”」 ストレイテナー
「なんで、俺達が(ヘッドライナーの)ACIDMANの前なのか考えたんだけど」
あと2曲を残したところで不意に語り始めたナカヤマシンペイ(Dr)は、「(出演バンドが)みんな濃すぎるんで、俺達がフィルターになって、ACIDMANの空気を作るために任せられたと思ってます」と続けたが、いやいやいや、それはどう考えたって謙遜しすぎだろう。
ストレイテナー
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もちろん、本心から出た言葉だったには違いない。しかし、ホリエアツシ(Vo, G, Key)の歌声とともにどこまでも伸びていくようなメロディーに、いきなり心が躍った1曲目の「ROCK STEADY」からストレイテナーは、屈指のメロディーメイカーであるホリエが紡ぎだす美しいメロディーと、それに寄り添いながらバンドとしてもしっかりと存在感をアピールする腕っこき達の切れ味鋭いプレイを、アリーナを埋めた観客の脳裏にしっかりと焼き付けた。
ストレイテナー
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アップテンポの2曲を立て続けに演奏して観客の気持ちをガチっとつかんだところで、「俺達も来年、結成20周年を迎えるけど、俺達はフェスの代わりにトリビュート・アルバムを出しました」と語ったホリエは、そこに参加しているバンドがこの日、何組も出演していることに触れ、「俺達のフェスなの? 俺達のフェスです(笑)」とジョークを飛ばしてから、そのトリビュート・アルバム『PAUSE~STRAIGHTENER Tribute Album~』でACIDMANがカヴァーしたメランコリックな「SIX DAY WONDER」、続けてTHE BACK HORNがカヴァーしたバラードの「シンクロ」を、ピアノを弾きながら歌った。
ストレイテナー
序盤の2曲では掲げた手を振っていた観客達もその2曲は微動だにせず、ホリエの歌とテンポをおさえた演奏に熱を加えるバンドの演奏に聴きいった。そしてそこから一転、最後の2曲ではシーケンスでバキバキと鳴らしたシンセを交えながら、ラストスパートをかけるように一気に盛り上げる。エネルギッシュなナカヤマのドラムに応えるように日向秀和(B)がベースを唸らせ、大山純(G)が轟音のギター・ソロを加える。ラストの「冬の太陽」では、眩いライトがぐるぐると回る中、バンドの演奏はさらに加速。熱度を上げ、ホリエの歌はどこまでも、どこまでも伸びていった。
他のバンドが濃すぎるなんてとんでもない。全6曲35分という短い時間だったが、ストレイテナーが残した印象もまた、あまりにも濃いものだったのだ。
取材・文=山口智男 撮影=AZUSA TAKADA、ヤオタケシ
ストレイテナー
1. ROCKSTEADY
2. シーグラス
3. SIX DAY WONDER
4. シンクロ
5. DAY TO DAY
6. 冬の太陽