群馬とバンドとファンを愛するフェス"I ROCKS"をあなたは知っているか?
様々なフェスが乱立する時代にあって、一つの様々な愛に溢れるフェスが存在する。主催するバンドである「LACCO TOWERの、ROCKや地元群馬に対する愛によって行われ、またそのフェスが多くの仲間の”愛”も呼び込み、思いの強さと温かさで唯一無二の素敵なフェス「I ROCKS」。今回は、またその愛に呼び込まれた、ブロガーによるコラムを転載して、皆様にお届けしたいと思います。
I ROCKSとは
LACCO TOWER
「I ROCKS」とは群馬を代表するバンド・LACCO TOWERが主催するフェスで、毎年ゴールデンウイーク近辺に群馬を会場にして2日間ほど開催されています。2014年に第1回I ROCKSが開催され、今年で5年目になります。毎年4000人前後を集める、名物フェスとして育ってきました。ちなみにLACCO TOWERが所属する事務所は「株式会社アイロックス」と言います。彼ら自身の手によって運営されているこの会社ですが、その成り立ち自体が面白い。群馬の地で自らの主催フェスを開催するため、つまり「I ROCKS」というフェスのために立ち上げた会社なのです。
会社まで興してフェスを主催しようって、とんでもないバンド…!社長でもある塩崎啓示さん(ba)を筆頭に、メンバーやスタッフ一丸となってLACCO TOWERや仲間、そして群馬を盛り上げるべく日々奮闘されています。
さて、そんな「I ROCKS」というフェスですが、2018年開催の第1弾アーティストが発表されました。もうご存知の方もたくさんいらっしゃると思いますが、一応ここでも記載しておきます。
IROCKS
【第一弾アーティスト】
■ircle
■アルカラ
■UNCHAIN
■Age Factory
■GOOD ON THE REEL
■SIX LOUNGE
■cinema staff
■四星球
■NUBO
■秀吉
■FOMARE
■Rhythmic Toy World
【第二弾出演アーティスト】
■Ivy to Fraudulent Game
■a flood of circle
■嘘とカメレオン
■海北大輔(LOST IN TIME)
■KAKASHI
■SAKANAMON
■SUPER BEAVER
■Sourire
■Halo at 四畳半
■ラックライフ
歴代の出演者の中にはback numberやTHE BACK HORN、SUPER BEAVER、MY FIRST STORY、グッドモーニングアメリカ、そして来年ではありますが、My Hair is Bad等、武道館ライブを行うようなバンドも多数含まれています。すでにビッグな存在としてI ROCKSに出演したバンドもいれば、I ROCKS出演時にはまだ大きなハコでライブできるほどの動員がなかったバンドもいます。ただ、どのバンドも知名度の有無に関係なく、LACCO TOWERとの絆を深めていた人たちばかり。
キャリアや動員力、話題性も大事ですが、ブッキングにおいて何より優先されるのは「一緒にやりたい」というLACCO TOWERの気持ち。毎年のラインナップを見れば、それが充分伝わってくるんじゃないでしょうか。
かつては故郷である群馬のバンドで固めた日も設けていました。群馬を愛し、群馬の後輩たちをフックアップしたいという先輩・LACCO TOWERとしての心意気。今は、地元の後輩限定という枠を取っ払っているようですが、それはきっと、そんな枠など設けなくても呼びたくなるほど、群馬の音楽シーンがグングン成長しているからなのかもしれません。
群馬という存在
ここでは群馬とLACCO TOWERの関係について触れておきたいと思います。メンバーの多くが群馬出身で、真一ジェットさん(LACCO TOWER:Key)の実家は伊勢崎市で和菓子屋さんを営んでおり、ファンの間ではかなり有名です。
群馬をホームグラウンドとし、株式会社アイロックス自体も前橋市に構えています。自分たちは群馬から発信していくんだという気概を感じますね。地域のお店をメンバー自らまわって、I ROCKSのイベントポスターを掲示してもらうという地道なプロモーション活動もしています。プロモーションを通じてまたひとつ、地域の人々との絆を深めている、そんな活動のようにも感じますね。
2017年には地元のJリーグチーム・ザスパクサツ群馬の公式応援ソングにLACCO TOWERの『火花』が起用されました。一朝一夕で成立することではないように思います。「群馬にメジャーで活躍するロックバンドがいるから、応援ソングとして採用しよう」なんて簡単な話じゃなくて。群馬を拠点に地道に活動を重ね、群馬に愛を注いできて、それに群馬の人たちが応えてくれた結果のひとつが、ザスパクサツ群馬の例なんじゃないかと思います。
地域に密着したイベントを主催するアーティストも増えてきました。代表的なところではやはり10-FEETの京都大作戦。そして木更津で開催される、氣志團の氣志團万博。名古屋が舞台の04 Limited Sazabys主催フェス、YON FES。グッドモーニングアメリカの八王子天狗祭。愛媛ではBUZZ THE BEARSが愛媛無双というイベントをやっていますし、あの西川貴教氏は滋賀県でイナズマロックフェスを開催。そうそう、忘れてはならないのが同じ群馬を代表するG-FREAK FACTORY。GUNMA ROCK FESTIVAL、今は名前を変えて山人音楽祭というフェスを群馬で行っています。
それぞれ規模も歴史も異なりますが、地元を愛する心は一緒。地域の人たちと一緒になって盛り上げていくという熱や心意気、そこから生まれる一体感といったものは、こういう地域密着フェスの魅力のひとつだと思います。
Jリーグは創設時から地域密着を訴えてきました。読売と日産が強く、人気のあった時代。あれから25年近く経ち、今は浦和、鹿島、柏、川崎、大阪…と各地域に熱狂的サポーターを持つ強豪クラブがしっかりと地域に根差して活動しています。プロ野球もそう。巨人の人気にあやかる時代は終わりを告げ、福岡、北海道、広島、横浜、そしてもちろん大阪と、各地方に地元に愛される人気球団が存在するまでになりました。音楽やバンドだって、そういう面があってもおかしくないでしょう。
たとえ活動拠点が東京だとしても。ストレイテナーは長崎、WANIMAは熊本、チャットモンチーは徳島。都内だって細分化すればマキシマム ザ ホルモンは八王子、KEYTALKは下北沢…といった具合に、それぞれに愛を注ぐ土地・街がある。そしてそういう存在を持つバンドは強いと思います。拠って立つ場所、原点を大事にすることで得られる強み。
LACCO TOWERにとって群馬というのは、かけがえのない街なんです。
I ROCKS会場っていったいどんな感じ?
過去2回、I ROCKSに参加して感じたこのフェスの印象、会場の雰囲気等についてちょっと書いてみます。
会場は群馬音楽センターという場所で、高崎駅から歩いて10分くらいでしょうか。普段なかなか来る機会のない高崎という街を散策するような感覚で、会場までの道もなんだか楽しいんです。初めて来たときは新鮮さに溢れていて、2回目に来たときにはどこか懐かしい気持ちにもなる。途中にはオシャレなお店がいくつもあるんですが、音楽好きなら群馬を代表するライブハウスのひとつ、高崎clubFLEEZも要チェックです。
群馬音楽センターの入り口には、当日出演するバンドののぼりが立ち並んでいて壮観です。ここで記念撮影するファンも多数いますね。かくいう自分もその一人。目当てのバンドののぼりをカメラに収めて、いざ会場へ。
I ROCKSでは2つのステージが用意されています。一つはメイン会場と言ってもいい、ホール。約2000席が用意されたステージで椅子に座ってゆったりライブを楽しむことができます。でも多くの人が立ち上がってめちゃくちゃ盛り上がりますけどね。疲れた人は椅子でひと眠り、なんてこともあるでしょう。
そしてもうひとつは2Fロビーに設置された特設ステージです。キャパが少ないけれど、その分距離が近くてライブハウスのような熱気が生まれることもしばしば。2016年のI ROCKSでは、このロビーのステージのトリをMy Hair is Badが務めたんですが、その熱量たるやとんでもなくて。この日出演していたすべてのバンドの中で、いちばんライブハウスを意識したパフォーマンスをしていた印象がありました。あの時の光景は今でも焼き付いています。
ホールとライブハウス、両方の魅力を味わえる会場設定と言ってもいいかもしれませんね。ちなみにこのロビーでのライブにはLACCO TOWERのメンバーや当日の出演者たちも観客としてふらりと訪れることがしょっちゅうあります。ライブを観ていて、ふと気づいたら隣に重田さん(LACCO TOWER:Drums)がいた、なんてこともあるので気をつけてください(何を)。
I ROCKSはステージだけが会場ではありません。1Fには地元のパン屋さんや、先述した真一ジェットさんのご実家である和菓子屋さんも出店。そのほか、過去のI ROCKSの瞬間を切り取った写真展示なんかもあり、ライブ以外にも楽しめる要素があります。もちろんオフィシャル、そしてアーティストグッズの販売ブースも設置。ライブハウスでの物販と同じくらいの距離感なので、買いたいグッズがあれば気軽に物販スタッフに質問してみると良いでしょう。
「フェス」と一括りに呼んでも大小様々あります。I ROCKSは規模も雰囲気もアットホーム。ステージ間の距離が短いので移動に疲弊することもありません。パン屋さんやグッズの物販スタッフとのちょっとした会話が大切な思い出になる、そんなフェスです。
音楽以外も表現されるステージ
先ほど、マイヘアの激熱なライブについて触れましたが、そもそもI ROCKSでは一体どんなライブが展開されているのでしょうか。
ステージ上では出演アーティストが渾身のパフォーマンスで観客を燃えさえてくれます。呼んでくれたLACCO TOWERに対しての精いっぱいの感謝を込めて。あるいは成長した自分たちの姿をしっかり観て欲しくて。
本来ならライブというのはアーティストと観客の勝負の場であると思うんですが、I ROCKSに関してはそこにLACCO TOWERの存在の大きく関わってくる。各バンドたちがMCで口々に言う、LACCO TOWERへの愛。具体的なエピソードを交えて話す人もいれば、照れくさいのか言葉少なにぽつりぽつりと呟く人もいる。LACCO TOWER自身がそうであるように、出演するアーティストたちもやっぱり人間味に溢れていて、泥臭さもあって。順風満帆ではなかった音楽活動の中で育んできた絆。最近はすっかり安っぽくなってしまった言葉かもしれませんが、この絆がくっきりと見えるのが、I ROCKSのステージなんです。LACCO TOWERがどれだけ、他のバンドのことを気にかけているのか。後輩バンドたちが、LACCO TOWERにどれだけ救われてきたのか。そういう部分までもが言葉で表わされ、あるいは音楽に込められて表現されている。そんな気がしてくるんですよね。
LACCO TOWERのステージに至っては、もうとんでもない感情が入り混じっていて大変です。感極まるのはお客さんだけじゃない。メンバーもそう。袖に控えるスタッフたちもそう。そしてここまでバトンを繋いできた他の出演者もそう。
I ROCKSのプロモーションのため、LACCO TOWERのメンバーは出演してくれるバンドのライブ会場に足を運んでを手売りするんです。I ROCKSを知ってもらうため。今日あなたが観る、大好きなバンドが出演するI ROCKSに来てもらうため。
これは奇跡なんかじゃない。ひとつひとつの小さな積み重ねの集大成。
I ROCKSという場所
I ROCKSのトリはいつもLACCO TOWERの役目です。その日最後のステージでケイスケ(LACCO TOWER:Vo)さんは言います。
「おかえりなさい」と。
I ROCKSというのは、みんなにとって帰ってこれる家でありたい。それがLACCO TOWERが描く理想、そして願いなんだと思います。
1年間、学校や仕事、育児や介護…様々な状況の中で一生懸命頑張ってきた結果、積み重なった心の疲れを癒し、背負った荷物を下ろせる場所。疲弊していても「ただいま」と発することで心がホッとできる、そんな場所。それがI ROCKSなのかなと思います。2年通ってみて感じた、率直な印象です。
もちろん、この1年間めっちゃ充実してたわ!楽しいことだらけだったわ!っていう人もいますし、そういう人が放つ「ただいま」は、LACCO TOWERのメンバーをはじめとする、I ROCKSに携わってきた人たち自体にパワーを与えてくれるんだと思います。
寄り添うように告げる「おかえり」もあれば、元気のお返しとばかりに伝える「おかえり」もある。I ROCKSを訪れる人と同じ数の、それぞれの「ただいま」「おかえり」があるに違いない。
あなたの「ただいま」に対しても、必ずふさわしい「おかえり」が返ってくる。それがI ROCKSという場所なんじゃないかな。
I ROCKSは、あなたの背負った荷物を消し去ってくれるわけではありません。でも、もう一度背負うための気力を生んでくれます。I ROCKSという家に帰り、荷物を下ろしてゆっくり心を休めたあとは、再び荷物を背負い、それぞれの場所へと旅立っていく。そう考えると、この場に集っている観客たちがみんな、自分と同じ仲間のような気になってくる。名前も住んでいるところも知らないけれど、また来年ここで集まれたらいいな、なんて思ったりもします。
そしてみんなでLACCO TOWERに「ただいま」と告げることができたら。ケイスケさんに「おかえり!」と言ってもらえたら。最高じゃないですか。
終わりに
フェスを主催するなんて、想像を絶する苦労の連続だと思います。しかも曲を作り、レコーディングし、ツアーやイベントも行う中での主催ですからね。さらに言えばLACCO TOWERは他のバンドがあまりやらないようなユニークな企画を平気でやりますから。毎年7月に開催する周年企画だったり、年末に行う楽曲総選挙イベントだったり。
2017年のI ROCKSはメンバー自らが開催を実現させるまでに極限まで追い込まれた、というようなことを語っていました。もうダメかもしれない、と思うなかでなんとか開催までこぎつけたというフェス終了当日には、翌年の開催を発表するというタフさ。さらに今回なんと3日間開催というチャレンジに挑むLACCO TOWERとI ROCKS。
2018年の開催は3/30~4/1の3日間。初日はケイスケさんと真一さんによるアコースティックセットとのことで、今までにないI ROCKSになりそうです。これから続々と出演アーティストが発表されるでしょうから、LACCO TOWERからの情報を随時チェックしていただければと思います!
文=ほしのん(ブログ:音漏れ人生。より転載)
日 程 : 2018年3月30日(金)・3月31日(土) ・4月1日(日)
会 場 : 群馬音楽センター 〒370-0829 群馬県高崎市高松町28番地2
開場・開演 :
・3月30日(金) 開場:17:00・開演:17:30
・3月31日(土) 開場:11:00・開演:12:00
・4月1日 (日) 開場:11:00・開演:12:00
出演:
【2018年3月30日(金)】 松川ケイスケと真一ジェット/UNCHAIN/海北大輔(LOST IN TIME)/and more
【2018年3月31日(土)】 LACCO TOWER/a flood of circle/嘘とカメレオン/KAKASHI/GOOD ON THE REEL/cinema staff/SUPER BEAVER/Sourire/NUBO/Halo at 四畳半/秀吉/ラックライフ/and more
【2018年4月1日(日)】 LACCO TOWER/ircle/Ivy to Fraudulent Game/アルカラ/Age Factory/SAKANAMON/SIX LOUNGE/四星球/FOMARE/Rhythmic Toy World/and more
料 金 :
・各日券:¥5,800(税込・ドリンク代¥500別途要)
・3日間通し券:¥13,000(税込・ドリンク代各日¥500別途要)
・2日間通し券(3/31,4/1):¥10,000(税込・ドリンク代各日¥500別途要)
・中高生(各日のみ):¥3,000(税込・ドリンク代¥500別途要)
・小学生(各日のみ):¥1,000(税込・ドリンク代不要)
・I ROCKS プレミアム(3日通し):¥16,900(I ROCKS価格)(税込・ドリンク代¥500別途要)
*未就学児入場無料(保護者同伴に限る)