ムーティが5回目の指揮、元日の夜は『ウィーン・フィル ニューイヤーコンサート2018』で、優雅なワルツを

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クラシック
2017.12.30
 ウィーン・フィルの演奏はもとより、ORF(オーストリア放送協会)の工夫を凝らしたカメラワークやウィーン名所などの映像も楽しみ (c) Terry Link

ウィーン・フィルの演奏はもとより、ORF(オーストリア放送協会)の工夫を凝らしたカメラワークやウィーン名所などの映像も楽しみ (c) Terry Link

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元日恒例、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の新春祝賀演奏会『ウィーン・フィル ニューイヤーコンサート2018』が、夜7時からEテレで衛星生中継される。「ワルツ王」ヨハン・シュトラウス(1825~99)一家のワルツをはじめ、ポルカ、ギャロップ、行進曲などが、ウィーン楽友協会大ホールで演奏される。また、ウィーン・フィル日系団員のヘーデンボルク直樹やウィーン国立バレエ団のトップダンサー・橋本清香による舞台裏リポートも必見。

今年の指揮者はイタリア・ナポリ出身のマエストロ、リッカルド・ムーティ。ニューイヤーコンサートは1993年、1997年、2000年、2004年に指揮しており、今回で5回目である。ウィーン・フィルとは、1971年「ザルツブルク音楽祭」で共演以来、質の高い演奏を半世紀近く続けており、コンサート数はほぼ500回という。2011年の70歳の誕生日には、楽団から名誉団員の称号が授与されている。楽団独特の優雅で豊かなサウンドを熟知するムーティが、14年ぶりのニューイヤーでどんな音色を聴かせてくれるのか楽しみだ。

円熟のタクトが注目される、指揮者のムーティ (c) Todd Rosenberg

円熟のタクトが注目される、指揮者のムーティ (c) Todd Rosenberg

プログラムには、シュトラウスのワルツ『ウィーンの森の物語』『南国のばら』、ポルカ・マズルカ『都会と田舎』、弟ヨーゼフ(1827~70)のポルカ・シュネル『短い言づて』など、おなじみの曲目や、シュトラウスと同時代に同国で活躍したフランツ・フォン・スッペ(1819~95)の喜歌劇『ボッカッチョ』の序曲、アルフォンス・チブルカ(1842~94)の『ステファニー・ガヴォット』といった珍しい曲も予定されている。

『ステファニー・ガヴォット』は、オーストリア=ハンガリー帝国のルドルフ皇太子(1858~89)とベルギーのステファニー王女(1864~1945)の婚礼に、チブルカが献呈した曲。2018年は、オーストリアが共和国宣言して100年になる記念年である。選曲意図を知るのもお楽しみのひとつだ。

さて、開演前や休憩中の現地リポートを務めるのは、同楽団チェロ奏者のヘーデンボルク直樹とウィーン国立バレエ団第1ソリストの橋本清香。ともにニューイヤーコンサートの出演経験者で、団員やバレエダンサーたちの舞台裏などを紹介する。また、ウィーンの年越しや正月の過ごし方など、ウィーン生活者ならではの話も聞けそうだ。

ヘーデンボルクは、ウィーンに住んで20年近くになる。家族は全員音楽家で、父はスウェーデン人ヴァイオリニスト、母は日本人ピアニスト、兄のヘーデンボルク和樹はウィーン・フィルのヴァイオリニスト、弟のヘーデンボルク洋はピアニストである。

一方、橋本はウィーンに来て10年。夫の木本全優(まさゆう)もウィーン国立バレエ団第1ソリストで、夫婦でトップダンサーである。

今や、世界中90カ国以上で放送され、視聴者数は5千万人以上といわれる「ニューイヤーコンサート」、2018年は演出やパフォーマンスにどんなサプライズが隠されているだろうか。

ホールを彩る生花も豪華。イタリアの花の街・サンレモから運ばれてくるそうだ (c) Terry Linke

ホールを彩る生花も豪華。イタリアの花の街・サンレモから運ばれてくるそうだ (c) Terry Linke

ちなみに、生中継に先だって、午後6時からはEテレ『ウィーン ニューイヤーコンサートに乾杯!~音楽の祝祭を100倍楽しむ方法~』も放送される。音楽番組『ららら♪クラシック』で司会を務める俳優の高橋克典がウィーンを訪問し、ニューイヤーコンサートやウィーン・フィルの歴史を探る。

高橋が、伝統あるダンス学校に一日入学してワルツのレッスンを受け、その極意やワルツ文化を体感したり、ウィーン・フィルの楽友会館を訪ねて、普段は入れない楽器庫に潜入したり、「黄金のホール」と呼ばれる大ホールの音響の秘密を解明したり……。初心者もクラシックファンも「ニューイヤーコンサート」をより楽しく鑑賞できる、55分の音楽紀行ドキュメンタリーだ。

文=原納 暢子

番組情報
Eテレ『ウィーン・フィル ニューイヤーコンサート2018』
■日時:2018年1月1日(月・祝) 午後7時~10時 (FMラジオは午後7時15分~10時)
※再放送 Eテレで1月6日(土) 午後2時00分~5時00分(予定)
■会場:オーストリアのウィーン楽友協会大ホールから生中継
■出演:リッカルド・ムーティ(指揮)、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ご案内 鎌倉千秋(NHKアナウンサー)
【ゲスト】ヘーデンボルク直樹 (ウィーン・フィル チェロ奏者)
橋本清香 (ウィーン国立バレエ団 第1ソリスト)
■曲目:
ヨハン・シュトラウス作曲 : 喜歌劇「ジプシー男爵」から「入場行進曲」
ヨーゼフ・シュトラウス作曲 : ワルツ「ウィーンのフレスコ画」
ヨハン・シュトラウス作曲 : フランス風ポルカ「花嫁探し」
ヨハン・シュトラウス作曲 : ポルカ・シュネル「浮き立つ心」
ヨハン・シュトラウス(父)作曲 : マリアのワルツ
ヨハン・シュトラウス(父)作曲 : ウィリアム・テル・ギャロップ
フランツ・フォン・スッペ作曲 : 喜歌劇「ボッカッチョ」序曲
ヨハン・シュトラウス作曲 : ワルツ「ミルテの花」
アルフォンス・チブルカ作曲 : ステファニー・ガヴォット
ヨハン・シュトラウス作曲 : ポルカ・シュネル 「百発百中」
ヨハン・シュトラウス作曲 : ワルツ「ウィーンの森の物語」
ヨハン・シュトラウス作曲 : 祝典行進曲
ヨハン・シュトラウス作曲 : ポルカ・マズルカ「都会と田舎」
ヨハン・シュトラウス作曲 : 「仮面舞踏会」のカドリーユ
ヨハン・シュトラウス作曲 : ワルツ「南国のばら」
ヨーゼフ・シュトラウス作曲 : ポルカ・シュネル「短い言づて」
アンコール 当日のお楽しみ
■公式サイト:http://www4.nhk.or.jp/P2992/

『ウィーン ニューイヤーコンサートに乾杯!~音楽の祝祭を100倍楽しむ方法~』
■日時:2018年1月1日(月・祝) 午後6時00分~6時55分
※再放送は  1月6日(土)  午後1時05分~2時00分
■出演:【ご案内】高橋克典(俳優)
■公式サイト:http://www4.nhk.or.jp/P4693/
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