「QUINTET.1」大会リポート 桜庭和志プロデュースのグラップリングイベントは”理想の世界”に成り得たか?
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●大本命「POLARIS DREAM TEAM」が見せた圧倒的な技術
1回戦の2組目は、グラップリングのスペシャリストが揃い、宇野薫が所属する「POLARIS DREAM TEAM」と「SAMBO DREAM TEAM」による一戦が実現した。
「自分にかかっていると思います。僕以外は非常に戦闘能力の高い選手なので、僕がどうにか頑張っていい形で他の選手に繋げられれば、かなり優勝に近付くんじゃないかなと」(宇野)
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先鋒のクレイグ・ジョーンズ(POLARIS )vsミンダウガス・ベルツビガス(SAMBO)の一戦からスタートだ。
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自ら下になって膝十字に入るジョーンズだが、膝が伸びてるはずなのに耐えるミンダウガス。しかし、最後は膝十字固めでジョーンズが一本。
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フィニッシュ時には「ボキッ!」と、鈍い音が響いたほどの極まり具合だった。
SAMBO DREAM TEAMからは次鋒のセルゲイ・グレチコが登場し、クレイグ・ジョーンズと対戦だ。SAMBO側の最軽量であるグレチコの足関節を魔術のように取っていくジョーンズだが、グレチコも奮闘して時間切れ。ジョーンズを食い止めた。
続いては、POLARIS次鋒のマーチン・ヘルドとSAMBO中堅のビクトル・トマセビッチによる一戦。
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音もなく静かに手足の取り合いをしていた両者だが、下から攻め続けるヘルドがトマセビッチの足を膝十字に取って一本!
SAMBOからは副将のテオドラス・オークストリスが登場!
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RIZINではストライカーとしての側面が目立つテオドラスだが、QUINTETではグラップリングで荒々しくヘルドを攻め立てる。……と思いきや、ヘルドはハーフガードの体勢から自らの両脚でテオドラスの左脚を挟み、いつの間にか手ではなく脚を使っての膝固めで一本! 驚きのムーヴで45秒勝利だ。
いよいよSAMBOは5人目のマリウス・ザロムスキーの登場。
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果敢にタックルに行くザロムスキーだが、ヘルドはフロントチョークでしっかり対処。その流れの中でツイスター、いわゆるグラウンドコブラツイストを見せるヘルド。場内は驚きの歓声だ。結果、この試合は時間切れ引き分け。
POLARIS DREAM TEAMはクレイグ・ジョーンズとマーチン・ヘルドの2人のみで勝利し、3人がフレッシュな状態のまま決勝へ進出した。
●みんなが桜庭と対戦したがっていた
決勝はHALEO DREAM TEAM とPOLARIS DREAM TEAMの対決に。HALEOの方は「U.W.F.プロレス・メインテーマ」に乗って入場。先頭は、まだこの日未試合のジョシュ・バーネットだ。
そして、初戦。なんと、いきなりジョシュ・バーネット(HALEO)とグレゴー・グレイシー(POLARIS)の顔合わせが実現する。
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とにかく、ジョシュがでかい! 巨像にグレゴーが立ち向かってるよう。なかなか展開は進まず首の取り合いが続き、消極的な動きを取るグレゴーに指導が与えられた。
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パーテルポジションから再開され、試合は一気に動く。目まぐるしい流れの中でジョシュがアキレス腱固めを取るも、逃れるグレゴー。最後はジョシュが片足タックルに行ったところをグレゴーが耐え、そのままタイムアップ。ゴングの瞬間、思わずグレゴーはガッツポーズ! ジョシュにとっては悔しい、グレゴーにとっては歓喜の引き分けとなった。“大砲”であるジョシュをここで失うとは、TEAM HALEOにとっては痛い!
続いては、中村大介(HALEO)vsダン・ストラウス(POLARIS)による次鋒同士の一戦。自ら引き込んでグラウンドに持ち込んだストラウスに対し、足関節で対抗していく中村。しかし、流れの中でリアネイキッドチョークがガッチリ決まって一本! ストラウスの勝利となった。
中村に続いて、HALEOからは中堅・所英男が登場。
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向かい合うや右足でマットを足踏みし、フェイントを仕掛ける所。館内は大「所コール」! 自ら座り込み引き込もうとするストラウスの誘いにも乗らない。気合が入っている。
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そして、ドンピシャのタイミングで胴タックルに入った所。しかし、ガッチリと受け止められてしまう。両者には20kg以上の体重差があるのだ。そのままバックチョーク、三角絞めを狙われるも、動いてかわす所。
必死に奮闘した所であったが最後はギロチンチョークで落とされ、ストラウスの勝利。だが、所もしっかり持ち味を見せたと言って良いだろう。
TEAM HALEOから、続いては副将・桜庭和志が登場! 対するストラウスだが、ゴング前から桜庭へのリスペクトがアリアリ。今回、外国人選手はみんながみんな「桜庭と闘いたい」という意識を持っているそうだ。48歳の桜庭、27歳のストラウス、両者には21の年齢差があり、ストラウスにとって桜庭はアイドルなのだ。
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試合中、不意に両者が会話を交わすなど、桜庭流のIQレスリングにストラウスも乗りたくて仕方がない様子。期待に応えるように、ストラウスのガードポジションを桜庭がジャンプして飛び越える場面も出現した。
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次第に体重で勝るストラスが上のポジションを取るが、いつしか桜庭が上のポジションになったりもする。お互いがグラップリングを通じ、会話しているかのよう。そして、このまま時間はタイムアップ! ストラウスは2人抜きした上で桜庭の道連れに成功した。思わず、桜庭は悔しげな表情を浮かべている。
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続いて、TEAM HALEOからはマルコス・ソウザ、TEAM POLARISからは宇野薫が登場。ゴング前、マットで大の字になる宇野。彼のルーティンとも言える動きだ。
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試合開始早々、宇野の指が誤ってマルコスの目に入るというアクシデントが起こったが、大事には至らずに試合再開。どうやら、これでマルコスに火が点いたよう。宇野の片足を取ったままものすごい勢いでグランドへ持ち込み、そのまま腕十字!
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しかし、ここで終わらないのが宇野か? 通称「宇野逃げ」で体勢を外しかけたかに見えたが、結局はタップ。大将の意地で、マルコスが40秒一本勝ちを手にした。
大将・マルコスが、POLARISからクレイグ・ジョーンズを引っ張り出した。ゴングが鳴り、シッティングガードから仕掛けるのが、ジョーンズの常套手段。マルコスの左脚を挟み込みながら上半身の攻防を続けるジョーンズ。
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そして回転しながらマルコスの足を伸ばし、そのまま膝十字固めに入ったジョーンズが一本勝ち! 試合時間は1分02秒だ。
というわけで、今回のトーナメントで優勝に輝いたのは「POLARIS DREAM TEAM」だった。下馬評通りの強さだ!
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そして、準優勝は桜庭率いる「HALEO DREAM TEAM」である。
優勝したPOLARIS DREAM TEAMには、プロデューサーの桜庭和志から優勝メダルが贈呈されている。
「僕らが勝って自分にやろうとしたんですけど(苦笑)。僕の後輩が紙のメダルを作ってくれたんで、授与したいと思います! ♪チャーン、チャーン、チャチャーン、チャーン、チャラララチャンチャンチャーン」(桜庭)
自ら優勝のBGMをセルフで口ずさみながらPOLARISのメンバー5人にメダルを掛ける桜庭プロデューサーであった。