仏像大使のみうらじゅん&いとうせいこう「“仏欲”より“物欲”担当」 『京都・醍醐寺−真言密教の宇宙–』展取材レポート
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みうらじゅん(右)といとうせいこう(左)
六本木・サントリー美術館で開催中の展覧会『京都・醍醐寺−真言密教の宇宙–』(会期:2018年11月11日まで)にて、仏像大使に就任したみうらじゅんといとうせいこうが、9月18日に行われた内覧会に登場。展覧会の見どころや、オリジナルグッズの魅力について語った。
テープカット
この日行われたテープカットに、自前のハサミを持って登場したふたり。「テープカッターズ」を自称するほどテープカット愛好家である彼らは、担当者からハサミを手渡される際、「持ってきているので大丈夫です」とスマートに断るシーンも。囲み取材中には、別のフロアで法要がはじまり、法螺貝を吹く音が会場に響き渡った。厳かな雰囲気の中、ゆるりとしたトークで場を和ませたふたりのコメントをお届けしよう。
総本山醍醐寺 座主の仲田順和氏(左)と、マイハサミを持参してテープカットにのぞむみうらじゅん
胸元には「テープカッターズ」の文字
いとうせいこう「《五大明王像》の牛がめっちゃかわいい!」
みうらじゅん「弘法にも筆の誤りを発見」
ーー本展の見どころを教えてください。
みうら:醍醐寺には、すごく仏像があるんですよ。なので、その中の一部が展示されているという認識で会場に来られたほうが良いですね。かなり厳選されています。
いとう:醍醐寺に行けば、もっとぎっしり仏像があるというイメージですよね。それと、密教ですので、いろんな形の仏があります。本展では、その中の代表選手たちが来ています。
ーー特にお好きな作品はありますか?
みうら:《五大明王像》の、独自性っていうんですかね。
いとう:醍醐寺オリジナルって感じがすごいです。ライオンみたいな目玉をしていて、ふつうの五大明王とだいぶ違います。
みうら:京都の東寺にある五大明王と比較して見てみると面白いと思うんですけど、(五大明王の)基本の部分を知ってると、醍醐寺のそれがもっと面白く見えるかもしれないです。
いとう:僕らが気に入ってる牛ちゃん(《五大明王像》のうち、大威徳明王が乗っている牛)がめっちゃかわいいんです……普通あんなにかわいくないんですよ。
お気に入りの作品は《五大明王像》の牛
みうら:あとは、空海の書とか、密教界のお宝が相当あります。
いとう:だいたい空海のものって「伝」って書いてあって、偽物が多いんですけど、今回は本物ですからね。みうらさんが「弘法も筆の誤り」をすぐ見つけてたね。
みうら:失敗した部分を黒く消してました。
いとう:それから、「360(さんろくまる)」って僕らが呼んでいる、360度どこからでも見られる展示がありましたね。展示の冒頭で見られる《如意輪観音坐像》がすごく綺麗。
みうら:バランスがいいね、あれも目玉展示です。
オリジナルグッズは見仏野帳とプロジェクターライト
みうらじゅんといとうせいこうが監修したオリジナルグッズ2点
ーーおふたりが監修したオリジナルグッズについて教えてください。
みうら:僧侶の方々が“仏欲(ぶつよく)”なのに対して、僕らは“物欲”担当です。
いとう:お不動さん(快慶作の《不動明王坐像》)が投影されるプロジェクターライトは、そういった物欲を打ち払うためのアイテムです。
みうら:突然の停電が起きたときには、お不動さんが先導してくれますよ。
いとう:綺麗なお不動さんが光になっています。これで、魔も祓ってくれる。
みうら:僕は、部屋の中で怖い音がすると、壁にこの光を当ててます。このライトのグッズはこれまで何度か作っていますが、光源がグレードアップしてきて、お不動さんが天井にかなり綺麗にうつります。快慶作の仏像とライトの相性は特にいいみたいで、バチっとうつりますね。
快慶作の《不動明王坐像》の姿が映る
みうらじゅん「一心に仏像を見て、清らかな気持ちになっていただければ」
ーーお寺の展示ということで、最近のホットな煩悩はありますか?
いとう:みうらさんと僕は、最近シックスパッド(腹筋を鍛えるトレーニング装置)にハマっちゃって、無意味に筋肉つけてるんですよ。何の意味もなく筋肉つけてるけど、やめられない。
みうら:あれは中毒ですね。
いとう:プロテインも飲んでるから。
みうら:何のために飲んでるかわからないよね。
いとう:この歳から意味もなく筋肉をつけてみようっていうのは、完全に煩悩ですよね。
みうら:おかしいことがしたいっていう煩悩があるんだよね。
さらに、会場に来ていた漫画家・コラムニストの辛酸なめ子から、「今回の展示で御利益はありますか?」という質問を投げかけられると、いとうは「魔を祓うでしょ、絶対」と即答。みうらが「六本木辺りは、都会だから悪いものが集まりやすいだろうし」と付け加えると、「そんな場所に展覧会を建立することで、浄化されると思います」と回答した。
みうらは、「煩悩がいろんなところに落ちているから、あんまり拾わない方がいいですね。一心に仏像を見ていただいて、清らかな気持ちになってから、出勤してもらえれば良いと思います。お帰りの際は、グッズ売り場にもぜひお立ち寄りいただければ……」と、最後まで物欲を捨てきれない様子だった。
オリジナルグッズのプロジェクターライトをいとうの胸元にあてるみうら
9月26日には、仏像大使トークショーも開催予定とのこと。ふたりの熱い仏像トークに、ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。
イベント情報
会期:2019年1月29日(火)~3月24日(日)※作品保護のため、会期中展示替えを行います。
会場:九州国立博物館(福岡県太宰府市石坂4-7-2)