ガンダム・マクロスからミリタリーまで!最新プラモは組み立ても簡単で緻密な仕上がりが実現『全日本模型ホビーショー』詳細レポート
毎年5月に静岡市で開催される『静岡ホビーショー』と並び、日本の模型・ホビー業界の最新トレンドが勢ぞろいする『2018 第58回 全日本模型ホビーショー』が、9月28日(木)~30日(日)に東京ビッグサイトで開催された。このレポートでは、ビジネスデーの速報では伝えられなかった各メーカーの注目アイテムなどを紹介しながら、そこから見えてきた今後のホビー業界の展望などをレポートしていこう。
かつては完成品トイがメインだったアクションフィギュアのプラモデル化など、設計・製造の技術発展によって一昔前までのプラモデルのイメージからは想像できないような拡がりを見せている近年のプラモトレンド。その技術が製品自体のクオリティアップだけでなく、ビギナーを遠ざけていた「組み立てるのが難しそう」というネガティブイメージの解消にも繋がっているのが今回のイベントでは感じられた。
バンダイではガンプラを筆頭にパーツの多色成形化がさらに進み、『ガンダム』はもちろん『ドラゴンボール』などのフィギュアプラモも塗装無しでイメージ通りのものが仕上がるレベルに進化。今年で生誕50周年を迎えた「ミリタリーミニチュアシリーズ」でおなじみのタミヤは、第二次大戦時のイギリス空軍機「スピットファイアMk.Ⅰ」を新製品として発表。飛行機モデルのかっこよさを左右する難関・翼の角度揃えを、パーツをはめ込むだけでバッチリ決められるようにするなど、精密さを保ちながら組み立てを簡単にするという工夫を盛り込んだ。
翼の角度揃えを、パーツをはめ込むだけで決められるようになったタミヤの「スピットファイアMk.Ⅰ」
ガンプラをはじめとするキャラクターモデルはもちろん、『ガールズ&パンツァー』『艦これ』などをきっかけとしたミリタリーファン層の拡大や、大人も巻き込んで新たな盛り上がりを見せる「ミニ四駆」に注目の新ガジェット・ドローンなど、ここ近年はホビー人口の拡大へと繋がる様々なムーブメントが立ち上がっている。そういった好機を活かそうとする各メーカーの取り組みが、いよいよ具体的な製品として結実・定着してきているのを実感できたのが今回のイベントだった。
ホビーファン拡大のための間口を広げる一方で、90年代に人気を博したロボットアニメ『熱血最強ゴウザウラー』や勇者シリーズのプラモデル化や、通販限定でのマニアックなアイテムの受注生産、ミリタリーや鉄道模型などでも通好みの新作が控えるなど、コアなファン層を狙った試みも活発だ。ビギナーからマニアまで楽しめる最近の模型ホビー界隈。まだ未経験の人は、何か気になるキャラクターなどを糸口にして、この楽しさを体験してみてはどうだろうか?
それでは以下、メーカーブースごとに注目展示を紹介していこう。
■バンダイ
ハイレゾリューションモデル
ガンプラではハードなディテールとギミックに徹底的にこだわったハイレゾリューションモデルや、量産型モビルスーツ好きにはたまらない「グスタフ・カール」にGMスナイパーのバリエーション展開など、マニアックな層にも訴求するアイテムが多数登場。受注生産だからこそ製品化可能なアイテムが魅力のプレミアムバンダイでも、マニア必見のラインナップが揃えられていた。
HG グスタフ・カール
12月公開の新作映画『ドラゴンボール超 ブロリー』に合わせた、映画仕様の悟空&ベジータ、そしてライバルとなるブロリーが登場。ブロリーは筋肉の質感やディテールをパーツ分割で再現するなどの凝った造りとなっている。
映画仕様の悟空&ベジータ
12月公開の新作映画『ドラゴンボール超 ブロリー』からライバルのブロリー
90年代のアニメファンにはなじみ深い『熱血最強ゴウザウラー』がプラモデル化。三体の恐竜メカによる合体変形や、アニメ版プロポーションの再現パーツも同梱などこだわりの仕上がりとなっている。
『熱血最強ゴウザウラー』
■コトブキヤ
人気の可動フィギュアを並列展示
可動フィギュアのプラモデル化というトレンドの最先端を走るコトブキヤからは、「メガミデバイス」「フレームアーム・ガールズ」の新作が多数登場。人気ソーシャルゲーム『アリス・ギア・アイギス』や『武装神姫』『勇者王ガオガイガー』『初音ミク』とのコラボレーションなども登場し、バラエティに富んだラインナップとなった。
ポージングも自在でこの精度
ミクさんもいます
90年代ロボットアニメの代表作とも言える「勇者シリーズ」のプラモデル展開が決定。一般公開日にはリリース第一弾となる予定の『勇者エクスカイザー』グレートエクスカイザーの原型も展示された。
さらにセガのPS4用オンラインアクションシューティングゲーム『BORDER BREAK』に登場する人型兵器「輝星・空式」を1/1プラモデルとして製作。会場内でも圧倒的な存在感を見せていた。
『BORDER BREAK』に登場する人型兵器「輝星・空式」1/1プラモ
■プラッツ
アニメ『ひそねとまそたん』デフォルメモデル
海外の新作プラモデルと並んでアニメ『ガールズ&パンツァー』『ひそまそ』とコラボレーションしたミリタリーモデルやアイテムなどを多数展示。さらに来年1月より放送開始の水島努監督作品『荒野のコトブキ飛行隊』のプラモデルシリーズも、放映と同時リリースされることが告知されていた。
『ガルパン』コーナーには新作モデルも展示
『荒野のコトブキ飛行隊』のプラモデルシリーズも放映と同時にリリース
■タミヤ
「ミリタリーミニチュアシリーズ」が今年で生誕50周年パッケージ
「1/35」というミリタリープラモの統一スケールを生み出した「ミリタリーミニチュアシリーズ」が今年で生誕50周年。それを記念して人気のドイツ戦車二種に多彩なディテールアップパーツなどを追加した50周年記念パッケージが登場。さらに新作アイテムも、精密な再現度と組み立てやすい設計を両立させたミリタリーファン注目のセレクトとなっている。
この緻密さはたまらない
根強いファンの多いイギリス軍ファン待望のスピットファイアMk.Ⅰを、組み立てやすい完全新規設計でモデル化。パーツのセレクトで様々な仕様が再現できるのも嬉しいポイントだ。
スピットファイアMk.Ⅰ
子供の頃にはまった大人達が再び熱中して人気再燃中の「ミニ四駆」では、新作コミック『ハイパーダッシュ! 四駆郎』仕様や、今年の「ルマン24時間耐久レース」で1-2フィニッシュを飾ったTOYOTA GAZOO RACING TS050 HYBRID型などの新作がラインナップ。
「ミニ四駆」の新作コミック『ハイパーダッシュ! 四駆郎』仕様
■ハセガワ
歴代バルキリーが勢揃い
航空機モデルの雄・ハセガワでは、新作劇場版の製作も決定した『マクロスΔ』のドラケンⅢを筆頭に、歴代のバルキリーなどを多数展示。実在航空機モデルで培った精密さで立体化されたマクロス戦闘機が醸し出すリアリティは、アニメとはひと味違うプラモデルならではの魅力にあふれている。
このかっこよさは色褪せない
■マックスファクトリー&グッドスマイルカンパニー
『ロードス島戦記』のヒロイン・ディードリット
ファンタジー物におけるエルフのイメージを塗り替えた、『ロードス島戦記』のヒロイン・ディードリットがプラモデルフィギュア化決定。ヒロイックファンタジー好きならせひ手に入れたい注目のアイテムだ。
テレビアニメが放送スタートしたばかりの『SSS.GRIDDMAN』の完成品トイが登場。三種類のアシストメカとの合体ギミックなども再現されており、リアリティと遊び甲斐の両方が楽しめる期待のセットだ。
『SSS.GRIDDMAN』の完成品トイ。小さくても精巧だ
■アオシマ
『新世紀GPXサイバーフォーミュラ』から「アスラーダ・ラリーモード」
『未来少年コナン』から「ロボノイド」(参考出品)
車や艦船など幅広いラインナップの新作が揃ったアオシマ。キャラクター関係では『新世紀GPXサイバーフォーミュラ』から「アスラーダ・ラリーモード」、『未来少年コナン』から「ロボノイド」などのマニアックなアイテムが登場。さらに『ゴジラVSメカゴジラ』から「3式機龍」がプラモデル化。会場では作例と共に実際の撮影で使われた着ぐるみも並べて展示されていた。
『ゴジラVSメカゴジラ』から「3式機龍」。こちらは着ぐるみ
こちらがプラモ
■「プラモデルで見る60年」展示
日本最初のプラモデル
国産プラモデル誕生から60周年を記念した展示ブースも登場。日本最初のプラモデルとなる「原子力潜水艦ノーチラス号」の金型展示から始まり、時代の節目を飾った懐かしいヒット商品の数々や、昔懐かしい模型店を再現したコーナーなどは、ついつい童心に戻ってしまう展示だった。
昔のプラモ屋を再現
写真で見ても分かってもらえたと思うが、最近のプラモデルは組立簡単、塗装なしでも出来上がりはかなり精密で緻密になっている。
試しにひとつ作ってみると、改めて最新のプラモデルの凄さが分かってもらえるはず。お子さんのいる人なら、一緒に組み上げるのもいいだろう。
取材・文・撮影:斉藤直樹
イベント情報
2018 第58回 全日本模型ホビーショー(終了)
開催日時
業者招待日:2018年9月28日(金) 9:00~17:00
一般公開日:2018年9月29日(土) 9:30~18:00
2018年9月30日(日) 9:30~16:30
開催場所:東京ビッグサイト東7・8ホール
主催:日本プラモデル工業協同組合
公式サイト https://hobbyshow.co.jp/