「あなたのために」全力で笑いを届ける! ふぉ~ゆ~主演舞台『放課後の厨房男子』開幕
(1列目左から)越岡裕貴、福田悠太、辰巳雄大、松崎祐介(2列目左から)小林顕作、前野朋哉、三倉茉奈、野澤祐樹
ジャニーズ事務所のユニット・ふぉ~ゆ~(福田悠太、越岡裕貴、辰巳雄大、松崎祐介)主演の舞台『放課後の厨房男子』が、10月18日(木)、東京・銀座・博品館劇場にて初日を迎えた。初日直前に同劇場にて公開ゲネプロ(通し稽古)と囲み取材が行われた。
本作は、創立120周年を迎えた県立末那(まな)高校が舞台。料理を行う通称・包丁部は、男子校かつ運動部が盛んな高校において、包丁部入部を熱望するような生徒はほとんどおらず、常に部存続の危機に面していた。対して、校内でも人気があり、全国的にも有名な舞踏部は、包丁部とは天と地ほどの差があるはずなのに、部員勧誘、そして文化祭の模擬店など何かと目の前にライバルとして立ちはだかるのだが……。
「居酒屋ぼったくり」シリーズで話題の作家・秋川滝美による“学園×料理”小説シリーズを原作に、脚本は乃木坂46舞台『じょしらく』、舞台『青春鉄道』などを手掛けたSUGARBOYの川尻恵太、演出は舞台『帝一の國』『パタリロ!』の小林顕作が務めた。
楢木和也(梅棒)
田中穂先(柿喰う客)
ゲネプロでは、小林演出の魅力でもある、スピード感溢れる展開とキャストの身体能力を十二分に活かしたダンスと歌、さらにはジャニーズ事務所の“あの”先輩のライフワークを彷彿とさせる台詞にとどまらず、先輩の幻影と思しき人物(!)も登場し、包丁部メンバーの奮闘をさらに盛り上げていた。
勝山大地役の辰巳は、華のある明るさと高校生の熱さで作品にエネルギーをもたらし、日向翔平役の福田は、包丁部部長としての安心感と時々見せるマイペース感を見せ、月島颯太役の越岡は、ストーリーを進めていく潤滑油の役割を果たし、そして不知火零士役の松崎は至る所で驚きと笑いを生み出していた。
包丁部にいつしか巻き込まれる水野優也役の前野朋哉の押しに弱いキャラも実に魅力的。前野が持つ器用さと順応性の高さによって、ふぉ~ゆ~の4人と混ざっても違和感なく高校生に見えてくるから演劇とは面白い。そして前野と同い年であり、小柄&童顔で生徒側でもいけそうな三倉茉奈が「ミコちゃん先生」として本作唯一の大人を演じているのもまた見どころだろう。包丁部の活動を軸に登場人物たちが、常に身体を張り、汗を流す、そして隙あらば笑いのネタを投下する、良質な青春群像劇だった。
会見で、初日を目前にした心境を聴かれると、辰巳は、初めて主演を務めたのがこの博品館劇場ということで「戻って来られて嬉しいです」と素直に思いを口にする。福田は「ここで主演を務めるのはまだ3回目。それにも関わらずホーム感がありますね」と笑顔を見せた。
今回本役だけでなく様々なキャラクターにも扮する松崎は「すべて出し切りました!」と胸を張る……が、「あとは本番で噛まずに100%を出すこと!」とゲネプロで相当噛みまくっていた事に自ら触れる。すると辰巳から「最終稽古でこんなに噛むのは松崎祐介くらい」といじられ、さらには演出の小林さんからも「ゲネプロで80回噛んだね。数えていましたから」と突っ込まれ苦笑い。
ふぉ~ゆ~は全員が今年32歳となる。そして前野は学年が一つ上。制服姿で会見に臨んではいるものの、越岡は「大丈夫ですかねえ? 高校生に見えますか?」と口にすると、辰巳が「僕は今年に入って3回(『雲のむこう、約束の場所』『タイヨウのうた~Midnight Sun~』『放課後の厨房男子』)高校生役をやっています。高校生の役で迷っている方はぜひ辰巳雄大に。高校生役なら任せてください」とアピールし笑いを誘う。
一方前野には「高校生役ですよね?」という声に「何を笑っているんですか? タクシー運転手じゃないんですよ!」と返し笑いの渦に。暑さのあまり、前野がジャケットを脱ぐと汗だくで、ますますタクシー運転手風となり笑いが倍増。前野がものすごく汗をかくので、「唯一舞台上にタオル持ちこみをOKにしているんです」と小林がフォローしていた。
前野は役どころの関係で今回ダンスパートにも多数参加している。普段踊るという事をしないため「振付の先生がお手本を見せた後、ふぉ~ゆ~さんがすぐ同じ様に踊り出すのを見て驚きました。そして僕が踊りを覚えるのが遅いんじゃなくて、普通なんだと知りました」と言うと「いや、普通じゃない! 普通より遅かったから」と辰巳に突っ込まれモジモジ。「皆さん踊りが上手で……」と前野が言うと「一応ジャニーズなので」と福田が改めて自己紹介し、笑いを誘っていた。
本作では料理を扱うということで、もともと料理には自信のある辰巳以上に目覚めてしまったのが松崎。「ステーキを焼き、鶏を蒸し、山菜を煮たり……」と語り出すと、小林が「料理より台詞を覚えて」とまた突っ込んで全員が笑い出す一幕も。
舞踏部部長・如月達也役の野澤祐樹は、先輩4人との共演を「楽しんでいます。松崎くんはよくわからないけど」とすでに先輩の“正しい”いじり方も把握している様子。劇中で母親役をやる場面があるため、会見中も口紅の色素が唇にうっすら残っていて色っぽい状態に。小林は「普通に塗ったらかわいくなっちゃって。だから厚めに塗って、とお願いしたら色が取れなくなっちゃって」と苦笑いしていた。
紅一点の三倉は、教師役という立場も踏まえつつ「本当に男っていくつになってもガキだなあって。普段から中学生みたいにわちゃわちゃしたり下ネタを言って笑っていたり……本当に生徒のようですね」と呆れたように笑っていた。
「博品館だけにおもちゃ箱のような舞台」と辰巳が表現すれば、福田も「楽しい事ばかりで大変さを感じない」と語り、演者としても魅力あふれる作品である事を常にアピールするふぉ~ゆ~。劇中、「あなたのために」という意味の言葉が何度となく放たれるが、その言葉には20年ものキャリアを積んできた彼らが、自分たちのユニット名に込めた「意味」を感謝を込めてファンに届けているようでもあった。
「思いっきり弾けて!」と声をかけられた時の皆さん。いい笑顔ですね!
【おまけ】劇中に登場するこのパペットがキュート!
博品館劇場に観に来てね!
取材・文・撮影=こむらさき
公演情報
日時:2018年10月18日(木)~11月4日(日)
会場:銀座・博品館劇場
脚本:川尻恵太(SUGARBOY)
演出:小林顕作
出演:ふぉ~ゆ~(福田悠太、越岡裕貴、辰巳雄大、松崎祐介)/前野朋哉、野澤祐樹(ジャニーズJr.)、楢木和也(梅棒)、田中穂先(柿喰う客)/三倉茉奈
岩橋大、掛川僚太