ザ・ウィークエンドが2018年最後のツアーに選んだアジア、そして東京 ーー今、ザ・ウィークエンドを観る理由
今年の4月18日、ザ・ウィークエンドがSNSに「I Want to Tour Japan!」と投稿。早く日本でライブをして欲しいのはこっちの方だと思っていた。日本が大好きでプライベートでは何度も日本に来ているのに(今年は7月末に復縁が囁かれていたベラハディットと来日。フジロックに来てくれたらよかったのに……)、来日公演は2013年のサマーソニック、そして2016年の東京公演がキャンセルとなっている。そして、遂に初来日公演『The Weeknd ASIA TOUR LIVE IN JAPAN』が決定した。今のところキャンセル発表は出ていない。今度こそ日本に来てくれそうだ! 本当に念願のライブである。
そしてザ・ウィークエンドは数週間前のトロントでのライブで「現在アルバム製作に取り組んでいる。そして、もうすぐみんなに聴いてもらえる」とアナウンスしている。良いタイミングでの来日だ。もしかして新曲がアジアツアーで初披露になる可能性があるんじゃないかと1人でニヤニヤしている。そして、このタイミングで見たい理由はそれだけではない。
●2018年のアメリカ3大ロックフェスのうち、2つでヘッドライナーを務めた●
The Weeknd at Lollapalooza
4月にカリフォルニア州で開催された『コーチェラ・フェスティバル』。8月にシカゴで開催された『ロラパルーザ』。ザ・ウィークエンドは今年この2つのフェスティバルでヘッドライナーを務めた。ちなみに『コーチェラ』で同じくヘッドライナーを務めたのがエミネムとビヨンセ、『ロラパルーザ』でヘッドライナーをつとめたのがアークティック・モンキーズ、ジャック・ホワイト、ブルーノ・マーズ、というところからもその凄さが伺えるかと思う。ちなみに『コーチェラ・フェスティバル』と『ロラパルーザ』に、『ボナルー・フェスティバル』を加えてアメリカ3大ロックフェスと呼ぶことも多い。ということは2018年のアメリカ3大ロックフェスのうち、2つでヘッドライナーをつとめたのがザ・ウィークエンドなのだ。
アルバムセールス、ストリーミング再生回数、アメリカでの大型フェスへのヘッドライナーとしての出演。どれをとってもザ・ウィークエンドはキャリアのひとつの到達点を迎えている。もちろん今後勢いが加速して、更なる高みにのぼる可能性も大いにあるが、このタイミングで日本で見られるというのは非常に大きい。アーティストをひとつの絶頂期に見られるというのは中々あることではないと思う。
I Feel It Coming ft. Daft Punk / The Weeknd
ザ・ウィークエンドは本名エイベル・テスファイ。エチオピア系のカナダ人だ。2010年の末頃からインターネット上に作品を公開し始め、2011年に無料配信のミックステープ『ハウス・オブ・バルーン』をリリースし、世界にその名を知らしめる。翌2012年にはミックステープ3部作をまとめた『トリロジー』をリリースし、2013年にはデビューアルバム『キッスランド』をリリースする。『トリロジー』はアメリカビルボードチャート4位、『キッスランド』は2位を記録。しかし耳の肥えた音楽ファンには熱狂的に受け入れられたものの、セールス的には大成功とはいえないものだった。そんな彼の転機はアリアナ・グランデとの「ラブ・ミー・ハーダー」だ。
●ザ・ウィークエンドの快進撃の口火を切る出来事とは●
Love Me Harder / Ariana Grande,The Weeknd
アリアナ・グランデのアルバム『マイエブリシング』に収録されたこの曲のソングライティングとボーカルを担当。300万枚を超えるセールスを記録してザ・ウィークエンドの快進撃の口火を切ることになる。
2015年には「キャント・フィール・マイ・フェイス」、「ザ・ヒルズ」が全米1位。そして2枚目のアルバムとなる『ビューティ・ビハインド・ザ・マッドネス』がアルバムチャート1位。2016年のグラミー賞ではテイラー・スウィフトと並び7部門にノミネート。そして快進撃は更に加速し、その年の秋にはファレル・ウィリアムスとの共作曲の後の動きが注目されていたダフト・パンクとの「スターボーイ」をリリースしまたもや全米1位。そしてアルバム『スターボーイ』も全米1位に輝いた。今年は3月にEP「マイ・ディアー・メランコリー」をリリース。アメリカでは当然の様にチャート1位を獲得した。そして先に挙げたニューアルバムを現在制作中という段階である。
Starboy ft. Daft Punk / The Weeknd
Call Out My Name / The Weeknd
2010年からこの8年間のザ・ウィークエンドの快進撃はアメリカの変化を象徴している。ザ・ウィークエンド自身が「グラミー賞でこんなにも多くノミネートされたことに驚いた」と認めている様に、黒人系のアーティストがグラミー主要部門を取ることは難しいと言わていた。最近でもその傾向が崩れたとは言えないが、ブラックミュージックアーティストのノミネートは多くなり、2017年にはチャンス・ザ・ラッパーが最優秀新人賞を受賞している。2010年にはザ・ウィークエンドとテイラー・スウィフトのグラミー賞のノミネート数が並ぶなんてことは予想できなかったが、現在アメリカのポップミュージックシーンは大きく変化し、8年前と比べて、アンビエントR&Bやヒップホップの割合が大幅に増加している。ザ・ウィークエンドの貢献は大きい。
●ザ・ウィークエンドは2010年代の世界を象徴するアーティスト●
ザ・ウィークエンドは間違いなく2010年代の世界を象徴するアーティストだ。2010年代を象徴する音楽の変化といえばSpotifyやApple Musicなどの音楽ストリーミングサービスの台頭があげられるが、Spotifyで歴代もっとも再生されたアーティストとしてもドレイク、エドシーラン、エミネムに次いで4位につけている。そして2018年のアメリカ3大フェスのうちの2つでヘッドライナーをつとめるというところからも分かる通り、キャリアのひとつの絶頂を迎えている。時代を象徴するアーティストの、キャリアのひとつの到達点でそのアーティストを見られるというのは大きな意味がある。1990年代中盤のオアシス、1970年代にクィーンを見る、ということに等しいと私は思う。
そしてザ・ウィークエンドが2018年最後のツアーに選んだアジア。この8年でアジアも大きく変わった様に思う。アジアの各都市はスケールアップし、独自のカルチャーも発展し、アメリカやイギリスのチャートに食い込むアーティストも続々と登場してきた。ヒップホップシーンも盛り上がりを見せている。そんな中、アジアツアーのラストに東京を選んでくれたのも非常に嬉しいことだ。12月18日、幕張メッセでザ・ウィークエンドを迎えよう。
文=竹内琢也
ライブ情報
2018年12月18日(火)幕張メッセ(国際展示場ホール9~11)
◎主催・招聘・企画制作:H.I.P. / LIVE NATION JAPAN
◎来日公演特設サイト
https://www.hipjpn.co.jp/live/theweeknd/
[日時・場所]
2018年12月18日(火)時間未定
THE WEEKND ASIA LIVE IN JAPAN来日公演会場(幕張メッセ・ホール9~11)にて実施予定
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11月21日に発売される2枚組CD、『ザ・ウィークエンド・イン・ジャパン(シングルス・コレクション)』封入のチラシに印刷されている応募用特設サイトにアクセスし、応募用シリアル・コードを入力。詳しくは封入チラシをご確認下さい。
※諸般の事情により、やむをえず直前に本イベントが中止となる場合がございますので、予めご了承ください。
※その他、詳細は封入チラシ及び封入チラシに記載の応募用特設サイトをご参照ください。