ウルフルズが3人編成で名だたるバンドを迎え撃ったツアー、氣志團との東京公演でみせた姿は

レポート
音楽
2019.3.12
ウルフルズ  撮影=渡邉一生

ウルフルズ 撮影=渡邉一生

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ウルフルズ ツアー2019 ~対バンさんいらっしゃい!~  2019.2.26  Zepp Tokyo

去年(2018年)、ファンクラブツアーを回っている途中に、スタッフが「次は対バンツアーをやったらどうか」と言い出した。ふざけんな! 対バンなんかイジメやないか! と思った。でも、やって本当によかった──。

大阪で10-FEETとサンボマスター、東京で氣志團とSHISHAMO、名古屋でクリープハイプを迎えて行われたその対バンツアー『ウルフルズ ツアー2019 ~対バンさんいらっしゃい!~』の3本目・東京2デイズの1日目、2月26日(火)Zepp Tokyo。氣志團に続いて登場し、「ハッスル」「リズムをとめるな」「バンザイ~好きでよかった~」「ツギハギブギウギ」「相愛」「サムライソウル」「愛撫ガッチュー」の7曲を全力でやりきったところで、サムライ姿のトータス松本は、そんなMCをした。

「リズムをとめるな」を終えたところのMCでは「うわあ、力入るぅ」と漏らしていたし、「いやあ、年甲斐もなく、対バンに気持ち持ってかれるわあ」とも言ったし、7曲やったあとには、「あかんわ! もうものすごい今日、おれ、舞い上がってんねんけど」とも口にしていた。
ウルフルズは、去年のファンクラブツアーとこのツアーは、あえてサポートを入れずに3人だけでライブをやっている(年末の『COUNTDOWN JAPAN』出演時もそうだった)。メロコアとかならともかく、ソウルやブルースに根ざしたウルフルズの音楽性を考えると「ボーカリストがギターも弾いてトリオで演奏する」というのは無理があるわけで……というか、ウルフルケイスケのバンド活動休止という痛手を乗り越えるためのさまざまな方法のひとつとして、あきらかに無理があるこの形式をやってみることを選んだのは本人たちではあるものの、やはりどうしたって「大変だわ、これは」という具合になることは、ライブを観ればよくわかる。
それだけでも大変なのに、強力な対バンを呼んできて先にライブをやってもらって、そのあとに自分たちが出る、という負荷をもうひとつかけている。それは最初はスタッフからの発案だったにしろ、最終的には自分たちで選んだわけだ。

ウルフルズ 撮影=渡邉一生

ウルフルズ 撮影=渡邉一生

で。そんなふうに「あきらかに無理がある」ことに挑んだからこその、最高のライブだった。30年近いキャリアを持つ大ベテランで、ヒット曲もいっぱい持っていて紅白にも出ました、休止した時期もあったけど基本ずっと第一線で活動を続けてきました、という50歳前後の大物バンドが、こんなにテンパっているところ、そうそう観られるもんじゃない。で、ウルフルズなんだから、テンパればテンパるほど、シャープでアグレッシブでヒリヒリしていて、ひたすらにかっこよくなっていくのだった、ライブは。ファースト・アルバムとセカンド・アルバムの間、所属レーベルから契約を切られそうな時期に下北沢シェルターや渋谷ラ・ママや渋谷エッグマンでやっていた頃の、彼らのステージを思い出した。
1曲目がファースト・アルバムの1曲目である「ハッスル」だった。びっくりしたが、納得もした。その次の曲が新曲の「リズムをとめるな」だった、つまりいちばん古い曲といちばん新しい曲を続けてやった、ということにも、何かとても腑に落ちるものがあった。

言うまでもなく、そこまでウルフルズを追い込んだ氣志團もさすがだ、という話でもある。まず開演前、デビュー前の氣志團が出演したウルフルズ「事件だッ!」(2001年)のMVを流して、大笑いでフロアを満たす。
そして、ライブの人気曲を連打して5曲目に「One Night Carnival」をやる。

曲終わりで「大して盛り上がってなかった!」「もう時代遅れなのはわかってるんだ!」などとお客の反応に落ち込み、メンバーにも冷たくされて「ヒット曲が出ねえんだよ!」と逆ギレする。

その末に「新曲をやります! 『One Night Carnival 2019』」!と、ウルフルズの「バンザイ~好きでよかった~」と「One Night Carnival」をマッシュアップした曲をぶちかます。

さらに「One Night Carnival」とDA PUMP「U.S.A.」とのマッシュアップ曲「O.N.C.」を追加。メンバーも前へ出て一列で歌い踊る。

そしてラストに「ゆかいな仲間たち」も追加。

という、ここ最近のフェスやイベント出演時の彼らの鉄板コースで、超満員のZepp Tokyo、笑いまくりでヒートしまくり。ただ、この流れをやるには、「One Night Carnival」があんまりウケない方が望ましいわけだが、そこは團長の思惑どおりにはいっていなかった。曲後半のブレイクでお客さんに歌わせるところ、ものすごいボリュームの大合唱になったので。

氣志團 撮影=渡邉一生

氣志團 撮影=渡邉一生

あ、書き忘れていたが、4曲目でウルフルズの「暴れだす」のカバーも披露した。團長が大好きな曲で、当時自分たちのラジオ番組でかけたりもしたそうです。
それから、最初のMCで「事件だッ!」のMVの話もしていた。ウルフルズ先輩に会える!と思って現場に行ったが、ひたすら行進させられたりして朝から晩まで撮影した挙句、ウルフルズが来ずに終わったそうです。
あと、團長による「わいもくんの物真似」という一発芸、私は爆笑しましたが、お客さん、もっとウケていいのでは?と思いました。

なお、アンコールはウルフルズ氣志團の総勢9名で「ガッツだぜ!!」をセッション。ツイン・ドラムでツイン・ベース、ギターはランマとトミーにまかせてトータスはハンドマイクで、團長と交互に歌ったり、一緒に歌ったり。早乙女 光は「ガッツだぜ!!」MVのトータスの殿様衣裳で現れて拍手喝采を浴びた。トータス、「知らんかったんよこれ、さっきソデで見て『おお!』ってなったわ」。

ウルフルズ / 氣志團 撮影=渡邉一生

ウルフルズ / 氣志團 撮影=渡邉一生

なお、この対バンツアーのあとのウルフルズは、5月から6月にかけて8本のツアー『ウルフルズ ツアー2019 センチ センチ センチメンタルフィーバー“飛翔篇”』を行う。このツアーにはサポート・ミュージシャンとして、キーボードにおなじみ浦清英と、ギターに『ヤッサ2018』にも参加した桜井秀俊(真心ブラザーズ)が加わることが、すでにアナウンスされている。おふたりとも来られていました、この日。2F席で並んで座って、大笑いしながら観ておられました。


取材・文=兵庫慎司  撮影=渡邉一生


ツアー他公演のアンコール・セッション写真も到着! 下記よりご覧ください。

ウルフルズ / 10-FEET 撮影=渡邉一生

ウルフルズ / 10-FEET 撮影=渡邉一生

ウルフルズ / サンボマスター 撮影=渡邉一生

ウルフルズ / サンボマスター 撮影=渡邉一生

ウルフルズ / SHISHAMO 撮影=渡邉一生

ウルフルズ / SHISHAMO 撮影=渡邉一生

ウルフルズ / クリープハイプ 撮影=渡邉一生

ウルフルズ / クリープハイプ 撮影=渡邉一生

ツアー情報

ウルフルズ ツアー2019 センチ センチ センチメンタルフィーバー“飛翔篇”
2019年5月18日(土)宮城県 SENDAI GIGS
2019年5月22日(水)愛知県 Zepp Nagoya
2019年5月24日(金)福岡県 Zepp Fukuoka
2019年6月1日(土)北海道 Zepp Sapporo
2019年6月11日(火)東京都 Zepp Tokyo
2019年6月14日(金)東京都 Zepp DiverCity Tokyo
2019年6月19日(水)大阪府 Zepp Osaka Bayside
2019年6月20日(木)大阪府 Zepp Osaka Bayside
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