市川海老蔵が二度目のシンガポール公演『EBIZO ICHIKAWA Ⅺ’s JAPAN THEATER 2015』製作発表レポート

歌舞伎をもっと身近に感じてほしい。そんな思いから、市川海老蔵が「古典への誘い」と銘打ち、国内の各都市で自主公演を始めたのが2012年。回を重ね、国内にとどまらず世界へ発信していくために、2014年には「JAPAN THEATER」と命名し、多様な文化が存在するシンガポールで公演を成功させた。今年は、同じシンガポールのマリーナベイサンズ グランドシアターで『EBIZO ICHIKAWA Ⅺ’s JAPAN THEATER 2015』として10月17日、18日の2日間の公演が決定した。

期待の演目だが、まずは歌舞伎らしい古風な趣きのご挨拶「口上」。また、市川家のお家芸である歌舞伎十八番の一つ「嫐(うわなり)」。これは、離縁された前妻が知人とともに後妻のもとへ行き乱暴を働くという、かつて日本に存在した「後妻打ち(うわなりうち)」という風習を取り入れた愛憎劇。初代團十郎が初演し、詳細は伝わっていないが、今回は着想新たに舞踊劇仕立てでの復活上演となる。最後は、江戸で評判の傘売りが吉原で賑やかに商売を始めるが、実はこの傘売りは…という華やかな新作舞踊「三升曲輪傘売(みますくるわのかさうり)」の三つである。

この製作発表が、6月11日に都内で行われた。市川海老蔵が出席し、挨拶と質疑応答が行われた。

【挨拶と質疑応答】

市川海老蔵 お忙しいなかお集まりいただいて、ありがとうございました。今日はシンガポール公演のことで。どうぞよろしくお願いいたします。

──昨年、初めてシンガポールの公演でワークショップをされましたが、印象は

日本の学校の子どもとか、向こうの学校の方々とか、若い方に比較的見ていただいたんですけど、やはり日本の文化とか、向こうに住んでる日本人の方も多く見てくださって、理解があるなかで進められたので、とても楽でした。

──予定されていなかった隈取もやられて。

お化粧したり、立廻りしたり、隈取は…予定なかったんだ。あんまり細かく決めずにやったんですよね。

──今回、歌舞伎十八番を海外で復活という。

「嫐」を。歌舞伎十八番は近年、さまざまなものを復活させていただいていて、「景清」とか「鎌髭」とか「解脱」とか「蛇柳」とか「七つ面」とか、父(十二代目團十郎)は「象引」とか。日本で復活するというのはどうなのかというのがあり、海外で歌舞伎十八番復活というのは、今の僕としてはしたいことの一つ。日本では「嫐」はやるつもりないので、海外の方々に対しての新しい目線での歌舞伎というものを作る上でも、自分でも大きな挑戦として、もっと負荷をかけてやるという意味で、復活を海外でやろうと。



──「嫐」を選ばれた理由は?

やってないから。今まで、歌舞伎の上演のなかではあんまり「嫐」はやってないですね。やってないものを復活してるわけですから、やってるものは復活にならないので(笑)。

──「三升曲輪傘売」は新作舞踊ですが。

明言はできないんですけど、海外の方々に対して、日本の文化というものの凄まじさを押し込んでいく内容にしていこうと。これはゆくゆく、凱旋というか自分の公演なのか松竹さんの公演なのかわかりませんが、日本でも必ず上演したいなと思ってます。

──意気込みをお聞かせください。

昨年もシンガポール公演をさせていただき、比較的多くの方に見ていただいたということで、さらに大きな劇場はどうだと勧めていただいたということは、ある意味、向こうの方々の評価を得たということだとブレーンは理解したようで、私としては謙虚な気持ちで「本当にそれでいいのかな」と思いますが、大きな劇場で、さらに今年前に一歩進んだということは、私にとりましても、我々仲間にとりましても非常に大きな一歩。なかなか続かないものが海外公演ですが、同じ土地で2年続けて行って、向こうがさらに大きな劇場を用意してくれたということは、自信をもってやってかなくちゃいけないなと再度思わされているので、絶対に楽しい、素晴らしい公演になれるように、今からまた改めて勉強しようと思います。

──他の国で、ここでやってみたいなというのは?

比較的いろんな国でやらせていただいていますが、行ったことのないところ。ヨーロッパですと、イタリアとかフランスとか結構いろいろ行ってるんですが、たとえばアメリカの行ってない都市とか、中東のほうとか、アジアの他の諸国とか。そういう行ったことがないところも積極的に行こうかなと思っています。


【取材・文/内河 文】

公演情報
『EBIZO ICHIKAWA Ⅺ’s JAPAN THEATER 2015』

一、 口上
二、 「嫐(うわなり)」
三、 新作舞踊「三升曲輪傘売(みますくるわのかさうり)」

期間:10/17~18
会場:マリーナベイサンズ グランドシアター
料金:S席350$(35,000円)※お土産付 A席185$(18,000円) B席145$(14,000円)C席115$(11,000円) D席89$(9,000円)
問合わせ:Zen-A(ゼンエイ) 03-3538-2300
http://www.zen-a.co.jp/
 
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