小澤廉、小波津亜廉、菊池修司、劇団シャイニングfrom うたの☆プリンスさまっ♪『Pirates of the Frontier』インタビュー
撮影:八木虎造
『うたの☆プリンスさまっ♪』が、“劇団”をテーマに展開する舞台公演プロジェクト「劇団シャイニング」。新作公演『Pirates of the Frontier』が2019年3月15日(金)~3月24日(日)品川プリンス ステラボール、4月5日(金)~4月7日(日)京都劇場にて上演される。本作は「シアターシャイニング」シリーズ4作の舞台化第2弾。上演にあたって、イッキ役を演じる小澤廉、マルロー役を演じる小波津亜廉、白い悪魔役を演じる菊池修司の3人に作品にかける思いを訊いてきた。
――「SHINING REVUE」を挟みつつも「天下無敵の忍び道」以来の公演となる小澤廉さん、そして「JOKER TRAP」以来の公演となる小波津亜廉さんと菊池修司さんですが、まずは前回の公演の思い出からお聞きしたいです。
小澤: 「天下無敵の忍び道」は劇団シャイニング第一弾の公演でしたから、プレッシャーもありつつ。「JOKER TRAP」さんとはそこが違うなぁ、と思いますけども。
小波津:あはははは(笑)。どうした急に!
小澤:……というのは冗談で(笑)。
小波津:今の発言の瞬間、そこはかとない大御所オーラがあった(笑)。
菊池:あった、あった(笑)。
小澤:でもそれくらいに最初というのはプレッシャーがあったんです。今回の「Pirates of the Frontier」と同じで、演出家が伊勢(直弘)さんだったんですが、作り上げていく上で「これはイケるな」という手応えを感じていたんです。だから稽古初日にはまだ不安も多かったんですけど、稽古終盤では自信も出て来て、本番が楽しみだ、という気持ちになりましたし、本番を迎えたときにはやりがいをすごく感じました。精神的にも身体的にも、めっちゃ疲れるんですけど、そこで追い込まれる自分というのが結構好きで。毎公演、毎公演、限界を超えてやっていた感じでした。毎日が千秋楽くらいの勢いで終わったあとには抱き合って「よくやったな」と労っていました。本当に尋常じゃないくらいの汗が出たんです。僕は普段、それほど汗はかかないのに「忍び道」のときはめちゃめちゃ汗をかいていましたね。でもそういう作品に出会えることはなかなかないことですし、達成感のある作品でした。
――それを受けての「JOKER TRAP」です。
小波津:そうですね。僕らは劇団シャイニング三部作の一番最後で、「天下無敵の忍び道」「マスカレイドミラージュ」を経てからの「JOKER TRAP」だったので、そういう意味でのプレッシャーはすごくあったんです。それでも年も近いメンバーで、僕らにしかできないことをやろう、とチーム感だけはどこにも負けない、という気概で頑張りました。稽古初日からお互いに色々と打ち明けて話をして、めちゃくちゃ仲が良かったですし、公演が終わった今でもみんなでごはんに行くくらいの仲です。
菊池:一作目と二作目を経ての三作目ということで、お客様が期待されて足を運んでくださっていることは重々承知していたので、そこで僕らはいかにその責任を務め切れるか、というのを最初に考えました。僕らが本当に良かったな、と思うのは、すごく早い段階で仲良くなれたこと。その分、お芝居でもめりはりをつけながらやれた。それを序盤から出来たことが、今、思うと「JOKER TRAP」が成立できた要因なんじゃないかと思っています。今回の舞台でもそんな風になれたらいいなと思っています。
――その公演を受けての「SHINING REVUE」でした。こちらはいかがでしたか?
小波津:れんれんもですが、「天下無敵の忍び道」のみなさんであったり、三部作を終えた後に集まれることはなかなかないのですごく充実していました。ひとつのシリーズで別のテイストの作品をそれぞれやってきたメンバーが集まる様をれんれんが「高校の部活みたいだ」って言ってたんですよ。同じ高校にいて、それぞれが違う部活で活躍していたのが、一斉に集まる文化祭みたいだっていうのがまさしくそうだなと思って。いいとこ取り。
小澤:サッカー部のエース、野球部のエース、バスケ部のエースが集まって一緒に出し物をする、みたいなね(笑)。
――「SHINING REVUE」ではElements Gardenさんが手掛ける楽曲の魅力も詰まっていましたね。
菊池:それぞれの舞台ではレビューコーナーをやったんですけど、「SHINING REVUE」ではその楽曲をフルバージョンで歌ったんですね。お客様の前で2番を歌うことが初めてだったんです。そもそも僕はサプライズがすごく好きなので、僕がみなさんにサプライズするような感覚になったんですよ。予告もなしにいきなり「歌います」と曲を歌う。一番が終わったらそこで次の曲に行くと思いきや二番が始まって、新たな振り付けを見せることも出来たので、僕としては「どうだ!」という気持ちでいっぱいでした。
小澤:見せつけたんだね。
菊池:はい!
小波津:レビューコーナーは、お客さんとの一体感が大きかったですね。「JOKER TRAP」のときには既に2回の公演を経ていることもあってお客さんが(レビューに)慣れていらっしゃったんですね。特に煽りが多かったので、すごく盛り上がりましたし、レスポンスの声も大きかったのが、「SHINING REVUE」では3度の公演を経たことでより大きな反応になっていたのが印象的でした。
小澤:「SHINING REVUE」では、雅(和田雅成)が初日しか出演できなかったので、2日目以降はいなかったんですね。雅の代わりに僕と翔二(横井翔二郎)が「火花絢爛~咲キ乱レ~」の真影パートを踊らせてもらったんですけど、そのときに「天下無敵の忍び道」のチーム力が出たなと思いました。翔二が振付と歌を完璧に覚えてきているのを見て、僕もしっかりやらなきゃいけないと思って頑張りました。お客様も真影がいない状態での「火花絢爛~咲キ乱レ~」はどうするんだろうって思っていたでしょうけど、僕と翔二が歌っている姿を見て、涙を浮かべてくださる方もいましたし、「SHINING REVUE」でしか出来ない演出を出来たこともすごく嬉しかったです。あとは雅の代わりを務めさせてもらえたことも、ちゃんと務めることが出来たこともすごく嬉しかったですし、思い出深いです。
――そんなみなさんで作る「Pirates of the Frontier」ですが、こちらは元は“映画”をテーマにした作品です。この作品を舞台にすることの面白さはどんなところにあると思いますか?
小波津:舞台上での海賊たちの動きや息づかいを間近に感じられることや彼らの生活が垣間見える部分を感じられることだと思います。人と人のぶつかり合う熱を感じられるのは舞台ならではだと思います。
小澤:波も僕らの身体で表現するところもあるので、お客さんが想像力を働かせて楽しむことも出来る。同じ空間でのお芝居なのに、そこが船の上になったり海になったりする。そういう場面の展開が自分の想像で変化していくのは舞台ならではの面白さだと思います。
菊池:原案の「Pirates of the Frontier」をお客様は何年も前から楽しんでいらしたと思うんですが、そこでイメージされていたものを、目の前にいる役者の演技を通して堪能してもらえることがこの作品が舞台になる面白さだと思います。
――そんなみなさんがそれぞれ演じる役の役どころと、今回の舞台で個人的にチャレンジしていることを教えてください。
小澤:イッキはすごく優しくて、人を信じられる人物です。普段からまっすぐなイッキだからこそ出来ることだと思っていますし、そこを大切に表現していきたいと思っています。今回はイッキが生き別れの父さんで伝説の海賊「赤い天使」を探すということがキーになるストーリーなんですが、母さんを亡くしたことを乗り越えられていないのもイッキだな、と台本を読んだときから感じていて。まっすぐで優しいけれど重いものを背負っている部分もある、その差をどれだけ出せるかということに挑戦したいと思っています。
小波津:マルローはすごく荒々しくてイッキの船の用心棒でもあるんですが、コックも担当しているんです。アクションもすごく多いですが、中身は繊細な部分も持ち合わせている人物でもあるんですね。イッキと出会う以前の人生が壮絶だったこともあり、他人を信じられない面もある。でもイッキと出会って交流していく中で心を委ねることが出来るようになるんです。すごく強い男だけれど、弱さが出てきたときに、どれだけ違いを出せるか。イッキと似てはいるんですが、今回は三者三様に成長をしていく物語でもあるので、そのマルローの成長の大きさと過程を意識していきたいです。
菊池:僕の演じる白い悪魔は、イッキとマルローとは別に、船長として旅をしている中でイッキたちと出会います。白い悪魔を演じるにあたっては、役柄に縛られすぎないことを意識して稽古に臨んでいます。白い悪魔は確固たる信念があって気高い人。彼の人物像を尊敬するあまりに、白い悪魔はこうであるという固定概念を作ってそれを意識しすぎてしまい、本来やりたいと思っていたお芝居が出来なくなってしまう自分を稽古を通して発見することができた。だからこそ生まれた意識を稽古の中で活かすことが出来たなら、今後の僕の役者人生にも大きな影響をもたらすような、そんな出会いにもなると思うので、今は険しい道を歩いている感覚ですが、向き合って乗り越えたいです。
――続いてそれぞれの役の「ここがいい!」という部分を教えてください。
小波津:イッキのいいところは「これでもか」というくらいにまっすぐなところ。マルローのような荒くれ者を仲間にするのって結構リスキーだと思うんです。それでも自分の直感を信じて仲間にする。己の芯がすごく強いんだろうなって思うんです。そこはイッキの魅力だなと思います。
菊池:イッキはまっすぐだし、強い意志を持っているし、どんな苦難を前にしても明るくいる強さもある。廉くんの演じるイッキに信頼を強く感じるし、イッキを見ていると「こんなにまっすぐにひたむきな人は素敵だな」と思うので、それがお客様にも伝わって欲しいなと思っています。
小澤:ありがとう。亜廉が演じるマルローはすごく男らしいんです。腕っぷしも強いんですが、本当の強さを知っている男だな、というのもあって。仲間を想い、イッキを守る、という姿勢をイッキを演じていて頼りになるなと感じていますし、男としてもカッコいいなって思うんです。それに面倒見もいい。そういうところも頼り甲斐があるので、男としてこうありたいと感じる理想像です。漢と書いて「おとこ」と読む!みたいな。男としてこういう漢になりたい、と思える男です。
菊池:何を見ていても純粋にカッコいい男がマルローです。立ち振る舞いもですし、殺陣でもそうですし、全てに於いて「THE男」という印象で。その中でイッキに対する想いであったり、白い悪魔に対する反発する様子とかも人間味があって素敵だなと思っていて。イッキに対して寄り添う姿も悩んでいるところも素敵で。亜廉くんの演じるマルローがすごくいいなと思うのは、亜廉くんが普段から周りをよく見ていてみんなのことを思いやれる人だからこそ、亜廉くんの発する一言一言がマルローの言葉の重みにもなっていて、亜廉くんにしかできない深みになっていると思っています。そこが好きです。
小波津:嬉しいです。白い悪魔については、ちゃんと己の信念を持っている人なんだなってことを修ちゃんが演じる姿を見ていて感じるんですね。言葉ひとつひとつに対しての重みを持っている人物だし、そうなるまでに過去に色々なことがあったんだろうということも言葉からうかがい知ることが出来るように演じているのが魅力だなと思います。
小澤:白い悪魔は結構、不器用な部分があるなと思っていて。自分の信じている道を信じ抜いているからこそ出て来る不器用さというのもあるんですが、そこはひとつ魅力だなとも思います。それから普段は高貴な雰囲気を醸し出しているんですけど、僕的には修ちゃんが演じているときに出て来るアドリブ力に惹かれるんです。アドリブのシーンでは修ちゃんの白い悪魔だからこそ出て来る要素が大きいんです。それはお客様目線でみていてもすごく面白いところだと思うので、本番ではどうなるのか楽しみですね。
――では最後に今回の公演を楽しみにしているみなさんへメッセージをお願いします。
菊池:今回、劇団シャイニングシリーズ5作品目ということで、毎度期待値も上がっていっているのを感じますし、お客様からの熱量も僕らはひしひしと感じていますので、その期待に応えられるように稽古をしながら模索しながらみんなで力を合わせてやっています。全ての力を出して初日を迎えたいと思っていますので、楽しみにしていてください。ご来場をお待ちしております!
小波津:今回はテーマが海賊。みなさんがイメージする海賊像はいっぱいあると思うんですが、僕らにしか出来ない海賊像をおみせすべく稽古に取り組んでいます。舞台や衣裳もすごく華やかなのでそこも見どころだと思います。それからセリフのひとつひとつにその人の信念に通じるもの、お客様にも響くセンテンスが散りばめられていて、舞台とお客様との間に信頼関係を生むものになっています。僕らとみなさんとに繋がる信頼関係をこの舞台で感じてもらいたいと思います。
小澤: 「Pirates of the Frontier」は楽曲がすごくカッコいいんです。その曲によって空気感を作り込むことが出来ますし、音楽で変化していく空気感が重要になっていく作品でもある。その音が鳴れば、そこの空間が異世界になっていくような空気感は見どころというか“感じどころ”だと思うので、そこを楽しみに待っていてもらいたいです。その瞬間を見逃さず、感じ逃さず、見ていただきたいです。
(取材・文:えびさわなち、撮影:八木虎造)
公演情報
劇団シャイニング from うたの☆プリンスさまっ♪『Pirates of the Frontier』
2019年3月15日(金)~3月24日(日)
品川プリンス ステラボール
(東京都港区高輪4-10-30)
■京都公演
2019年4月5日(金)~4月7日(日)
京都劇場
(京都市下京区烏丸通塩小路下ル 京都駅ビル内)