近藤利樹 『フジロック』史上最年少で出演する噂のウクレレ少年に訊く、ウクレレとの付き合い方と未来の夢

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2019.7.25
近藤利樹 撮影=大塚秀美

近藤利樹 撮影=大塚秀美

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噂のウクレレ中学生が、令和最初の日本の夏を思いっきり盛り上げる。“ナニワの光速ウクレレ少年”こと近藤利樹、2か月連続配信シングルはスタンダードナンバー「VOLARE」のカバーと、マリンバ奏者SINSKEとコラボしたオリジナル曲「SUNNY SIDE」。誰もが驚く超絶技巧に加え、ウクレレが好きで好きでたまらない気持ちがあふれ出す、これは聴いているだけで幸せになれる天然ハッピー・ミュージック。ウクレレを抱えて目の前に座った少年は、音符のようにしゃべり、言葉のように弦をはじく、夢と希望に溢れた中学1年生だった。

――ウクレレは今、何本持ってるの?

8本ぐらいです。1本は人に貸してて、もう1本は修理中です。

――僕もウクレレ好きで、コアロハっていうメーカーのを1本持っているんです。

あ~、三角のマークの。

――そうそう。ちょっと触ってもいい? (と言って本人の愛器を借りて試奏しながら)あー、すごい。いい音。

弦をさわってもらったらわかると思うんですけど、このへん(ホールの上)あたりがサラサラになっていて。弾きすぎると1週間ぐらいでそうなるんですよ。普通はならないんですけど。

――利樹くん弾き方激しいから(笑)。これは名前とかついてる?

これは「100年くん」です。カマカというメーカーの、100周年モデルなんで「100年くん」。

――へえー。名前は全部ついてるの?

今ついてるのは3本だけです。もう1本は「メインくん」といって、同じカマカのやつがあるんですけど、それをメインで使ってるから「メインくん」。

――あはは。そのままやん。

その「メインくん」が最近、音がビビるようになって。修理出したんですけど、すぐ元に戻っちゃって、また修理に出してます。

――楽器は大変でしょう。湿気も良くないし。特に今の梅雨時は。

しなしなになります(笑)。

近藤利樹 撮影=大塚秀美

近藤利樹 撮影=大塚秀美

――そんな利樹くんとウクレレの出会い。聞くところによると、6歳の時にコストコで出会ったという。

そうです。光ってるように見えたんです。神様に「弾け」と言われたような気がして、お母さんに「買って」と言ったんですけど、買ってもらえなくて。それの半年後にお父さんの友達が買ってくれました。

――その後、他にもそんなことってあった? ウクレレだけ?

ウクレレだけです。

――そりゃ運命だ。その後は挫折とかなしに?

挫折するようなことを避けてきたというか。嫌なことをやらないで、自分の弾きたいことだけをずっとやってました。

――あー。勉強じゃなくて遊び、とか言うと語弊があるかな。

いや、遊びです。遊びで弾いてました。

――それだと好きになれるね。教則本とにらめっこしてると、勉強っぽくなるし。

そうやってやるのが好きな時もあったんですけど。タブ譜が書いてあるやつを買ったんですけど、なんとなくやめて、こんな(ジャカジャカジャカ)感じで弾いてました。何か曲をやる時は、耳で聴いて覚えたり。今はちょっと聴いて弾いたりするんですけど、最初はどのフレットを押さえてるか、パソコンとかケータイで映像を止めて、確かめて弾いてました。

――目と耳で覚えるんだ。僕も勉強し直そう(笑)。ウクレレを弾く人って歌う人もいるけど、利樹くんは弾くほうが好きだった?

弾くのが好きでした。でも歌うのも好きです。

――歌ってるもんね。「みんなのうた」で流れた「デッカイばあちゃん」とか、「学園天国」とか。

そうです。ただ、今は声変わり中で、歌ってないです。もうちょっとしたら歌えると思います。

――聴く方は何でも聴く? ウクレレの曲だけじゃなくて、J-POPとか。

聴きます。普段は、ボカロを歌ってみたやつとか。あとJ-POPとか、洋楽とか聴いてます。

――そういえば、「ずっと真夜中でいいのに。」とかもカバーしてたね。

しました。


――と思えば「ソーラン節」とかも。

あれは、僕が小学校3、4年生の時に運動会で踊ってて。「ソーラン節」はジェイク・シマブクロさんにプロデュースしてもらった曲です。

――そうそう。ジェイクさんといえば、ウクレレ界のスーパースター。どんな人だった?

ジェイクさんは、むちゃくちゃいい人で、めっちゃいろんなことを教えてくれました。たとえば「ソーラン節」の間奏でこういうところ(弾いてみせる)があるんですけど、ここはクレッシェンド、デクレッシェンド、クレッシェンド、みたいに「強弱を波みたいにつけたらいいよ」って教えてくれました。

――日本では、誰か先生とか、尊敬している人はいる?

日本だったら、名渡山(遼)さんとか、KYASさんとか、めっちゃ好きです。名渡山さんは音もむっちゃキレイやし、たとえばG#を弾くんやったら、普通はこう弾くんだけど、名渡山さんやったらこんな感じ(流れるように弾く)。むっちゃキレイやから、むちゃくちゃ好きです。

――ポジションは一緒でも、弾く人によって音色が全然違う。

全然違うと思います。僕は思いっきり弾く感じの人なんで。言ったら、ただ単におっきい音でバン!と弾いてるだけ。

――そんなことないでしょ。でも確かに、ウクレレ弾きとしてはニューウェーブかもしれない。

あと、最近やろうとしてることがあって。ベースのスラップ? それをウクレレでやりたくて。こんな感じ(弾いてみせる)の音やから、こうやったら、それっぽく聴こえるかなって。指を弦に当てて、わざと変な音を出して。

――おー。かっこいい。めっちゃファンキー。

あと、めっちゃわかりにくいんですけど、エレキギターの音っぽいのもやったりします(弾いてみせる)。

――あー。ミュートして。カッティングで。かっこいい。利樹くんのプレイって、ギターっぽく聴こえることが多いけど、そういうふうに弾いてるのか。

普通に弾く時も、なぜかクセで、一回のストロークで指を何本も使っちゃうから。

――あと、ボディを叩いたりもするでしょ。

やってます。爪をボディに当てて、スネアみたいに。

――すごいなあ。というか、そうやってウクレレをずっと持ってるの? 1日24時間。

ほぼずっと持ってます(笑)。最近、打ち込みとかにもハマってるんですけど、その時も大体後ろにあります。打ち込みの曲を作る時にも、目の前にキーボードがあったとしたら、後ろに机があって、そこにスタンドがあって、さっと取れる感じになってます。

――今は打ち込みで曲を作ってるんだ。

いや、最近始めるようになって、まだ自分が打ち込みで作った曲は発売はしてないです。今年の4月か5月ぐらいからやってます。

近藤利樹 撮影=大塚秀美

近藤利樹 撮影=大塚秀美

――楽しみだなあ。新曲の話をしようか。2か月連続リリースで、6月に「VOLARE」、7月に「SUNNY SIDE」。「VOLARE」は有名な曲だけど、知ってた?

「VOLARE」は知らなくて、弾いた理由が、『ムジカ・ピッコリーノ』っていう番組(NHK Eテレ)にジャンゴという役で出させてもらってるんですけど、そこで「VOLARE」を弾いたんですよ。それで“めっちゃノリのいい曲やな、弾きたいな”と思って、弾くことになりました。

――難しい曲なのかな。

イントロが難しいです(弾いてみせる)。1本の、4弦しか使ってないんですけど、なるべく多くの音を出すっていう。

――これ、音は打ち込みっぽいでしょう。ダンスミュージックっぽい。

あ、そう! この曲は、イントロのスネア、“ン、タ、タ、タ”のところとか、リズムパターンもアレンジャーさんに「こういう感じのがいい」って。「ここにクラップを入れてほしい」とか、頼んだりもしてました。

――ライブで楽しそう。みんなでクラップできるし。

あ、そっか。あんまり想定してなかったんですけど(笑)。今、いいこと聞いた(笑顔)。


――もう1曲の「SUNNY SIDE」は、マリンバ奏者のSINSKEさんとコラボで、関西のMBSお天気部夏のテーマ曲。

「SUNNY SIDE」は、一番聴いてほしいところが、僕のソロです。同じメロを3回繰り返しているところがあるんですけど、コードが変わっていくという。そういうのを工夫したから、注目して聴いてほしいです。あとは、マリンバのSINSKEさんのソロがあって、そこをアルペジオで弾いたところも聴いてほしいです。

――ウクレレとマリンバの組み合わせってすごく面白いけど。SINSKEさんはどんな人?

むっっっちゃ優しい人でした。いろんな優しさがある人でした。たとえば、ジェイクさんみたいにたくさん案をくれたりとか、でかいシュークリームを箱いっぱいに持ってきてくれたりとか。クリームががっつり入ってるやつ(笑)。

――それは掴まれる(笑)。いい人だ。この曲って作曲が二人の共作になってるけど、どうやったの?

まずSINSKEさんが2曲作ってくれて、「どっちがいい?」って聞いてくれたんですよ。「こっちがいいです」と言って、自分が弾いた音を入れました。そのとき、ちょっと変更して送って。そしたら、「ここは元からあったメロディにして、ここは近藤くんが考えてきたメロディにしよう」という感じで決まりました。

――夏っぽくて、涼しげな気持ちいい曲。やっぱりテンポが速いほうが得意なのかな。スローよりも。

スローはあんまり弾かないけど、「少年時代」とかは……(弾いてみる)……あー弾けた。よかった(笑)。全然弾いてなかったんで。

――速いほうが弾きやすいのかな。

でもゆっくりなのも好きなんで。「Lemon」はゆっくり……じゃないか……(弾いてみる)一緒ぐらいか。

――すごいなあ。何でも弾けちゃう。今まで出したミュージックビデオでは何が一番好き?

好きというか、楽しかったのは「学園天国」。一番楽しかった。最後のほうにたこ焼きを作ってるシーンがあるんですけど、ほんまにめちゃくちゃ作って、100個ぐらい? それ食べたから“やったー!”と思いました。たこ焼きめっちゃ好きやから嬉しかったです。

――食べ物に弱い利樹くん(笑)。今、ライブはどんな場所でやることが多い?

フェスというか、イベントが多いです。

――緊張する?

緊張は特にしないです。ちょっと得してます。……けっこう得してるかも。

――今までで一番多いお客さんは……。

5000人ぐらいです。福岡の『音恵』っていうイベントで。緊張は特にしませんでした。そのときはバンドの方と一緒に演奏できて、そのときに弾いた「ダンシング・ヒーロー」はいつもからオケを流して弾くんですけど、生で弾いたらめっちゃすごかったです。

――初めて見る人が多いような時は燃える? このお客さん全部もらって帰ろうみたいな。

なるべく……覚えてもらって帰れるように(笑)。こっちの側に。知ってくれたら嬉しいな、みたいな感じです。

――いいね、そうでないと。だって今年は『フジロック』に出るんでしょう? すごいじゃん。びっくりしたでしょう、最初に聞いた時。てか知ってた? 『フジロック』って。

『フジロック』は名前を知ってて、すごいアーティストさんが出るというのも知ってて、でも、いまいちようわからんなって。

――いいとこだよ。山の中で。

めっちゃ雨降るって聞きました。

――あー、それは覚悟しておいた方いい(笑)。でも楽しみでしょう。何が聴けるかな?

「VOLARE」は絶対やります。盛り上がる曲、やりたいです。

――ウクレレ聴いてくれるのってどのへんの年代が多いんだろう? お母さん世代なのかな。

そうです。親子の人とかも多いです。

――同世代ではいる?

ギターとかベースをやってる人ならいます。でも、同世代でウクレレをやってる人は周りにはいないけど、台湾のフェンEさんとか、ほかにもいると思うけど。

――あと、アメリカのグレース・ヴァンダーウォールさんとか。何か一緒にやってる動画を見た。

そうですね。三つ上かな。

―― 一番若い世代代表として、ウクレレをもっと広めたいという気持ちはある?

あります。

――それにはどうしたらいいだろう?

うーん。とにかくウクレレを知ってもらう。下が四角になってて、立てられるウクレレとかいろいろあって、プラスチックで1500円とかのもあるし。たとえばキャンプとかバーベキューに行った時に、簡単に弾けるかなあと思います。あと、木のやつだったら、部屋の棚とかに横に置いててもあんまりおかしくないかなって。

――あー、ちょっといいインテリアみたいな。おしゃれ。

最近、CMにウクレレが入ってることも多いんで。カレーとか、いちごジャムの宣伝とか。言ってくれれば弾きたいです(笑)。

――もしかして流行ってきてる?

かもしれない。

――みなさんぜひ、安いやつでいいからウクレレを一家に1本。

ハワイとか行ったら、ちっちゃいコンビニにも普通にウクレレが置いてあって。日本もそうなったらいいのになと思ってます。

――ウクレレの未来は利樹くんにかかってるから。将来の理想像はどんな感じ?

理想は、ブルーノ・マーズさんと共演できる、世界的なプレイヤーになりたいです。

――いいねえ。「アップタウン・ファンク」もカバーしてるし。そう遠くない未来に叶いそう。大きい会場でやりたいとかは?

大阪城ホールとか、東京ドームでライブしてみたいです。大阪城ホールはエド・シーランさんを見に行ったんですけど、むっちゃすごかった。あと宇多田ヒカルさんのライブも見せてもらって、あんなに盛り上がったらいいなと思ってます。

――じゃあ最後に。近藤利樹くんにとってウクレレとは?

ウクレレは……何やろ? むっちゃ大切なもの。心臓ぐらい大切なものです。

取材・文=宮本英夫 撮影=大塚秀美

近藤利樹 撮影=大塚秀美

近藤利樹 撮影=大塚秀美

 

リリース情報

配信限定シングル「VOLARE」
2019年5月15日配信
配信限定シングル「VOLARE」

配信限定シングル「VOLARE」


近藤利樹 feat.SINSKE
配信シングル「SUNNY SIDE」

2019年7月17日配信
配信シングル「SUNNY SIDE」

配信シングル「SUNNY SIDE」

放送情報

2019年7月2日~9月末まで
『ちちんぷいぷい』(月~金 午後1時55分)「きょうのそらいろ」
『ミント!』(月~金 午後3時49分) 「空みてミント!」「あしたのそらいろ」など

ライブ情報

FUJI ROCK FESTIVAL '19
期間:2019年7月26日(金)27日(土)28日(日)
会場:新潟県 湯沢町 苗場スキー場
時間:9:00 開場 / 11:00 開演 / 23:00 終演予定
※近藤利樹は7月28日(日)に出演!!
 
◆FUJI ROCK FESTIVAL 19 公式サイト

近藤利樹 WINTER LIVE “いつだってウクレレが好き 2019”
■12月21日(土)[大阪府] Soap opera classics-Umeda-
開場 11:30/開演 12:00
■12月22日(日)[東京都] Future SEVEN
開場 14:30/開演 15:00
 
発売中
イープラス(e+)https://eplus.jp/kondotoshiki/
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