「命の続く限り役者人生を」松本白鸚のミュージカル『ラ・マンチャの男』1300回達成!記念特別カーテンコールレポート

レポート
舞台
2019.10.23
松本白鸚主演ミュージカル『ラ・マンチャの男』1300回達成

松本白鸚主演ミュージカル『ラ・マンチャの男』1300回達成

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松本白鸚主演のミュージカル『ラ・マンチャの男』が、2019年10月21日(月)に、上演回数通算1300回を達成した。会場は、1969年4月の初演と同じく東京・帝国劇場。初演当時は染五郎として、その後、幸四郎を名乗り、今回は白鸚の名で主人公セルバンテスを演じている。

1300回目の公演が万雷の拍手で終演すると、通常のカーテンコールの後に一度暗転。そしてスペシャル・カーテンコールが始まった。サンチョ役の駒田一が進行し、アルドンザ役の瀬奈じゅんが、白鸚に花束を手渡すと、白鸚はドン・キホーテがドルシネアに捧げるような恭しさで花束を受け取った。

記念すべきこの日は、元女優で、1965年の本作世界初演でアントニア役を演じたミミ・ターク(Mimi Turque)さんも帝国劇場の客席に。

「この素晴らしい公演を拝見でき感動しています。“見果てぬ夢”を引き継いで下さったことに感謝します」と述べ、感極まった様子で白鸚に向け何度も「ありがとう」と言った。

白鸚はその言葉に涙をおさえながら、1970年に、ブロードウェイで全台詞英語の舞台の主演をつとめた時をふり返り、演出補でありミミさんの夫であったミックに助けられたことが、忘れられないと感慨深げに語った。

ただ一生懸命に無我夢中に50年

白鸚は花束を腕に抱え、感謝を述べた。

「初演以来50年、私も喜寿を迎えます。皆さまと一緒に、ただ一生懸命に無我夢中に続けておりましたが、それも劇場に足をお運びくださった皆さまのおかげです」

「(劇中で)現実真実と申しますが、私どもが生きるのは現実の世界。皆さんもご存じのとおり、楽しいこと嬉しいことばかりではありません。でも『ラ・マンチャ』をやるときは、苦しみを苦しみのままで終わらせず、勇気に変えて。悲しみや辛さをなんとか希望に……、という思いで続けてまいりました」

「共演者の皆さん、私の家族、友人、お世話になった方々。出演者の中にも東宝にも、この世にはもういらっしゃらない方がいます。皆さま方の思いを胸に、私は毎日毎日『見果てぬ夢』を歌い続けております。50年目を初演と同じ劇場で迎えられましたのも、ご来場いただいた皆さまのおかげです。これからも命の続く限り、役者人生を生きてまいりたいと思います」

客席から涙をこらえる息づかいが聞こえ、あちこちに目頭を押さえる人の姿がみえた。

共演者とともに本作を代表する曲『見果てぬ夢』を披露。曲のはじめをソロでうたう瀬奈は涙をこらえながら力づよく、並ぶキャストも感無量といった表情で歌い上げた。歌唱後は観客総立ちの、拍手喝さい。ミミさんも何度も「ブラボー!」と声をかけ拍手をおくり、客席の一部からは「高麗屋!」の大向こうもかかっていた。

松本白鸚のThe Impossible Dream

鳴りやまないスタンディングオベーションを受け、一度舞台をおりた白鸚は、花束をドン・キホーテの杖に持ち替えて再登場した。

「ニューヨークよりお越しいただいたいミミさんに。だいぶサビついてはおりますが、50年前のマーチンベック劇場を思い出して」と、英語バージョンの『見果てぬ夢(The Impossible Dream)』も披露した。その歌声は深く力強く、しかし押しつけがましさはない。大切な言葉を、しっかりと手渡すように歌い届ける。

この特別なパフォーマンスに、場内は総立ちのまま歌に耳を傾けた。最後は共演者たちが白鸚を囲み、帝国劇場に大きな拍手が響き渡った。白鸚は1階、2階、上手、下手、出演者やオーケストラピットのメンバーに何度も頭をさげ、拍手をし、最後は一人、観客に向かって手を振り、深々とお辞儀をして舞台を後にした。

白鸚は現在77歳。2時間を超える作品の中で、『ドン・キホーテ』の作者セルバンテス、劇中劇のドン・キホーテ、自分をドン・キホーテと信じるキハーナ老人の実質3人を演じ分ける。そのエネルギーはもちろん、円熟極まる人物描写は、観る者の心を掴む。歌舞伎俳優でありながら、日本のミュージカル史にも名を残すことになる松本白鸚の『ラ・マンチャの男』。帝国劇場で、今月27日(日)までの上演。

取材・文・撮影=塚田史香

公演情報

日本初演50周年記念公演
ミュージカル『ラ・マンチャの男』

 
〈キャスト〉
松本白鸚(セルバンテス/ドン・キホーテ)
瀬奈じゅん(アルドンザ)
駒田一(サンチョ)/松原凜子(アントニア)/石鍋多加史(神父)/
荒井洸子(家政婦)/ 祖父江進(床屋)/ 大塚雅夫(ペドロ)/白木美貴子(マリア)
宮川浩(カラスコ)/ 上條恒彦(牢名主)ほか
 
〈スタッフ〉
演出:松本白鸚
脚本:デール・ワッサーマン
作詞:ジョオ・ダリオン
音楽:ミッチ・リー
訳:森岩雄、高田蓉子 訳詞:福井崚 振付・演出:エディ・ロール(日本初演)
演出スーパーバイザー:宮崎紀夫
プロデューサー:齋藤安彦、塚田淳一 ほか
 
【東京公演】2019年10月4日(金)~27日(日)帝国劇場
【大阪公演】2019年9月7日(土)~12日(木)フェスティバルホール
【宮城公演】2019年9月21日(土)~23日(月)東京エレクトロンホール宮城
【愛知公演】2019年9月27日(金)~29日(日)愛知県芸術劇場大ホール
 
<<25歳以下の方限定>>
当日引換受付中!!
■対象公演:10月19日(土)12:00・17:00/23日(水)18:00/25日(金)13:00/26日(土)17:00/27日(日)13:00

会場:帝国劇場
受付期間:10月7日(月)18:00~各公演日前日18:00
チケットの申込み:【こちら】から!
 
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