17人の登場人物を俳優二人で演じる、少年たちの冒険物語 イマシバシノアヤウサ『モジョ ミキボー』が上演
『モジョ ミキボー』チラシ画像 表
2019年12月14日(土)~12月21日(土)シアタートラムにて、イマシバシノアヤウサ『モジョ ミキボー』が上演される。
本公演は、北アイルランドを代表する劇作家、オーウェン・マカファーティの作品。日本で初めて上演されたのが2009年、その後、2010年にはマカファーティ作品のひとつ、『モジョ ミキボー』が鵜山仁演出のもと、文学座の浅野雅博と石橋徹郎の自主プロデュース公演という形で上演された。『モジョ ミキボー』は「ミキボーと僕」(テリーローアン監督)というタイトルで映画化もされているが、舞台の戯曲において最も特徴的なのは、17人の登場人物を俳優二人で演じるという点。それが本作の一番の見どころとなっている。
イマシバシノアヤウサは、鵜山、浅野、石橋の名前を合わせたユニット名。彼らは『モジョ ミキボー』初演時、ニューヨークのオフオフブロードウェイのように、いつふらりと行っても気軽に芝居を観ることのできる文化に憧れ、演劇の街・下北沢にあるOFF・OFFシアターでの一ヶ月ロングラン公演35ステージを敢行した。序盤での作品の評判と比較的安価で提供することで、このオフオフブロードウェイ方式が功を奏してか、後半は日々当日券の列が伸び、連日の満員御礼、大好評のうちに幕を閉じた。
その後、小田島雄志翻訳戯曲賞を受賞すると、再演希望の声があがり、2013年の再演が実現。さらに多くの方に観劇をと、東京のみならず大阪、福島、札幌でも上演が行われた。以降、劇団公演や外部公演の合間を縫って、3人のユニットによる作品作りは不定期ながら精力的に継続され、2015年にはトム・ストッパード作『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』、2019年8月にはアソル・フガード作『アイランド』をいずれもOFF・OFFシアターでの小劇場ロングラン公演にこだわり、男優二人の芝居作りに取り組んでいる。
『アイランド』は下北沢の後、相模原、札幌でも上演。また、この公演よりユニット名を「イマシバシノアヤウサ」として、今後の活動への意気込みを示した。
『モジョ ミキボー』チラシ画像 裏
そんなユニットの原点でもあり、代表作とも言える作品『モジョ ミキボー』がついに小劇場を飛び出し、上演される。遊び心いっぱいの大人たちで作る少年二人の物語がシアタートラムを舞台に、どのように生まれ変わるのか。初演、再演時とは一味違う新しい本公演に期待しよう。
『明日に向って撃て!』が公開された1970年のベルファスト。映画の中のブッチとサンダンスに憧れるふたりの少年、モジョとミキボー。
異なる宗教の家庭に育った二人は出会い、越えてはならないと告げられていた橋を渡る。
ギャングの契りを交わし、大人たちの身勝手なルールなんかには従わず、異国オーストラリアの大地を夢見てひた走るが、その先にあったものは・・・・・・。
当時のベルファストの状況と、そこで育った宗教が異なる少年二人の成長を映し出した冒険物語。
浅野雅博 コメント
浅野雅博
このユニットが始まった原点ともいえるこのお芝居を、初演から9年の時を経て、今度はシアタートラムという劇場で再再演できるなんて、本当につくづく運のいい作品なんだなあと思ってます。
17役を二人で演ずるこの芝居(実際はもうちょっと多い役ですが)、劇場も大きくなった分(そして加齢の分)負荷は大きくなると思いますが……役者に負荷がかかるだけ作品は煌めくもの。逆にもっと新鮮に濃密な舞台になるよう、かつ熟成されたものになるよう鍛練したいと思います。もうご覧になった方も、初めての方も、さらに楽しんで頂けますように。
石橋徹郎 コメント
石橋徹郎
久しぶりにこの作品を上演出来ることにとてもわくわくしています。6年ぶりです。あらためて台本を読んでみて、その独特の面白さに思わず頬が緩みました。初めての稽古の時は、その苦味や酸味や珍味といった特徴を、どんな面白味に調理したらよいのか、ずいぶん苦労しました。でもそれが幕を開けてステージを重ねていくうちに、癖になる味わいをも持つようになっていきました。初演から9年。色んなものをお腹に入れてきて、嗜好もずいぶん変わったかもしれません。でも、今だからわかる隠れた味の新発見もあるかもしれません。とにかくとても楽しみです。『モジョ ミキボー』という最高の品を、シアタートラムという最高の場で、存分に楽しんでいただけたらと思います。
公演情報
会場:シアタートラム
戯曲:オーウェン・マカファーティー
翻訳:平川大作
出演:浅野雅博、石橋徹郎
プレビュー 一般 前売 3,500円/当日 4,000円
一般 前売 5,000円/当日 5,500円
後援:世田谷区