白井晃、栗山民也、森新太郎演出作品のほか、長田育恵と瀬戸山美咲のタッグが実現 世田谷パブリックシアター2020年度ラインアップ発表

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2020.2.25
 撮影:細野晋司

撮影:細野晋司

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芸術監督・野村萬斎が、“多様な”カラーが鮮明になったと語る、世田谷パブリックシアターの2020年度のラインアップが発表された。

国内の新作は、白井晃、栗山民也、森新太郎演出作品に加え、「現代能楽集」の第10弾で長田育恵と瀬戸山美咲のタッグが実現。そして、第59回毎日芸術賞 千田是也賞を受賞した野村萬斎演出・出演による傑作叙事詩劇『子午線の祀り』の再演も行われる。
また、海外招聘作品はアメリカを代表する手話演劇カンパニー、デフ・ウェスト・シアターからスタートし、台湾発の現代サーカスカンパニーのフォルモサ・サーカス・アート(FOCA)、フランスの現代サーカスカンパニー、カンパニー・オクトーブルによるミステリアスな舞台、スロバキアを代表する劇団GUnaGU、アメリカダンス界の超新星Ate9など、国際色豊かな顔ぶれがそろった。2020年~21年の世田谷パブリックシアター公演に期待が高まるばかりだ。

世田谷パブリックシアター2020年度ラインアップ

True Colors Festival/True Colors SIGN
デフ・ウェスト・シアター『オルフェ』

『オルフェ』 (c)Josh Renaud

『オルフェ』 (c)Josh Renaud

■ブロードウェイでも話題沸騰、アメリカ・LAの手話カンパニー。16年ぶりの来日公演が、シアタートラム初登場 

日程:4月24日(金)~4月26日(日)
会場:シアタートラム
原作:ジャン・コクトー
演出:ディーナ・セレノウ

アメリカを代表する手話演劇カンパニー、デフ・ウェスト・シアターは、03年に『ビッグ・リバー』(04年来日)、15年に『春のめざめ』の新演出版が、トニー賞ミュージカル・リバイバル作品賞にノミネートされるなど、ブロードウェイでも高い評価を得ている。今回は、ジャン・コクトーの戯曲をもとにした最新作を、アメリカン・シアター・マガジンの選ぶ「2015年の知るべき20人の舞台関係者」にも名前が挙がった気鋭・ディーナ・セレノウの演出で上演。

『フリーステージ 2020』

■世田谷区民と劇場がともにつくりあげる夢のステージ

日程:4月29日(水・祝)~5月6日(水・休)
会場:ダンス部門 世田谷パブリックシアター、音楽部門 シアタートラム
出演:世田谷区民団体 約60組

世田谷区で舞台芸術活動を行う区民団体に、表現の場として劇場を提供し公募で集まった約60組の団体がダンス・音楽の2部門で発表を行う。開場以来続く本企画は24回目となり、出演者だけではなく、来場者にも地域の劇場として親しんでもらえるような機会の提供。

『ある馬の物語』

『ある馬の物語』(左から)白井晃、成河、別所哲也、小西遼生

『ある馬の物語』(左から)白井晃、成河、別所哲也、小西遼生

■「生きることとは何か」を問うトルストイの小説をもとにした戯曲を白井晃の新演出と豪華実力派キャストで上演

日程:6月~7月
会場:世田谷パブリックシアター
原作:レフ・トルストイ 
脚色:マルク・ロゾフスキー
翻訳:堀江新二
演出:白井晃
出演:成河 別所哲也 小西遼生 ほか

ロシアの文豪トルストイ原作の戯曲を、白井晃の新演出と成河、別所哲也、小西遼生ら豪華実力派の顔合わせで上演。1975年にロシアで初演された『ある馬の物語』は、まだら模様に生まれついたばかりに不遇な運命をたどる馬と周囲の人間を通して、「生きることとは何か?」という普遍的なテーマを詩情豊かに問いかける名作。今回はもともとあるロシアの楽曲にアレンジや新曲を加え、身体表現の要素も取り入れながら、白井ならではの新たな視点で描く。

『殺意 ストリップショウ』

『殺意』(左から)栗山民也、鈴木杏

『殺意』(左から)栗山民也、鈴木杏

■日本を代表する演出家・栗山民也と実力派女優・鈴木杏が三好十郎の一人芝居に挑む

日程:7月
会場:シアタートラム
作:三好十郎
演出:栗山民也
出演:鈴木杏

『浮標』や『胎内』などで知られる劇作家・三好十郎の一人芝居を、栗山民也と鈴木杏の強力タッグでお届け。物語の舞台は戦後の高級ナイトクラブ。引退を決め、最後のステージを終えたダンサー・緑川美沙は、観客を前に語りはじめ……。1950年に発表された本作は、戦中・戦後を生きた女性の半生をモノローグで描く中に、人間の業や力強い生命力をあぶり出す。


「せたがやこどもプロジェクト 2020」
世田谷パブリックシアターでは開場以来、子どもたちにとって身近な劇場、遊べる劇場、楽しい劇場となることを目的に、毎年子どものための事業を開催。2020年度も未来を担う子どもたちと、創造性あふれる舞台芸術との出会いの場として絵本の読み聞かせ、ジャズコンサート、海外招聘サーカス公演と幅広いラインアップの《ステージ編》と、実際に作品創造体験をする《ワークショップ編》、そして寄席の新企画をお届けする《特別編》の構成でせたがやこどもプロジェクトをお届け。 


《ステージ編》

子どもとおとなのための◎読み聞かせ
 『お話の森』

『お話の森』(左から)ROLLY、片桐仁

『お話の森』(左から)ROLLY、片桐仁

■毎夏恒例企画。アーティストの個性あふれる絵本の読み聞かせ

日程:8月1日(土)・8月2日(日)
会場:シアタートラム
出演:ROLLY(8月1日)、片桐仁(8月2日)

毎夏恒例企画の『お話の森』。映像・音楽・照明など劇場ならではの趣向をこらし、アーティストが個性あふれる読み聞かせを開催。例年出演し『お話の森』ではおなじみのミュージシャン・ROLLY と今回で3度目となる俳優・片桐仁が登場し、それぞれの感性を生かした、子どもからおとなまで楽しめる充実の内容でお送りする。

フォルモサ・サーカス・アート(FOCA)
『悟空~冒険の幕開け~』

フォルモサ・サーカス・アート『悟空』

フォルモサ・サーカス・アート『悟空』

■孫悟空×サーカス。破天荒なヒーローが、飛んで回って宙を舞い現実世界で大あばれ。台湾発・アジアを代表する現代サーカスカンパニーが初登場

日程:8月
会場:世田谷パブリックシアター

アジア随一の現代サーカスカンパニーとして世界各国で公演を行う台湾のフォルモサ・サーカス・アート(FOCA)が、世田谷パブリックシアターに初登場。カンパニーの人気作『悟空』を上演する。日本でもおなじみの「西遊記」のはじまりの物語を、サーカスとストリートカルチャー、ダンス、演劇などをミックスさせた迫力のパフォーマンスでお送りする。

『日野皓正 presents “Jazz for Kids”』

Jazz for Kids

Jazz for Kids

■日野皓正と世田谷区の中学生のジャズビッグバンドによる大迫力のコンサート

日程:8月
会場:世田谷パブリックシアター
出演:日野皓正 Dream Jazz Band ほか

世田谷区の中学生が日野皓正をはじめとするプロのミュージシャンと共に、ジャズや音楽の魅力を体験する「Dream Jazz Band Workshop」。その参加者で結成された「Dream Jazz Band」の成果発表として、コンサートを開催。本企画は16年目を迎え、「Dream Jazz Band」の演奏のほか、バンドの卒業生や講師陣によるコンサートも行い、大迫力のビッグバンド・ジャズが劇場に響き渡る。

《ワークショップ編》
小学生/中学生/高校生のための演劇・ダンスワークショップを各種開催

《特別編》

『せたがや 夏いちらくご』

『せたがや 夏いちらくご』春風亭一之輔

『せたがや 夏いちらくご』春風亭一之輔

■人気落語家・春風亭一之輔プロデュース。子どもから大人まで楽しめる寄席の新企画

日程:8月8日(土)
会場:世田谷パブリックシアター
プロデュース・出演:春風亭一之輔 ほか

開場以来、多彩な寄席企画をお届けしてきた世田谷パブリックシアターに、せたがやこどもプロジェクトの《特別編》として、子どもから大人まで楽しめる寄席の新企画が登場。古典落語を現代風にアレンジした作風と、親しみやすい語り口で人気の落語家・春風亭一之輔がプロデュースし、落語のワークショップと本格的な寄席をお届けする予定。


『MANSAI◉解体新書 その参拾壱』

MANSAI 解体新書 その参拾 特別版『5W1H』 (c)Suguru Saito

MANSAI 解体新書 その参拾 特別版『5W1H』 (c)Suguru Saito

■毎回多彩なゲストを招き、“表現の本質”に迫る芸術監督企画

日程:9月30日(水)
会場:世田谷パブリックシアター
出演:野村萬斎 ほか

芸術監督・野村萬斎と各芸術分野のトップランナーたちが多様なテーマでトーク&パフォーマンスを繰り広げ、“表現の本質”を探ってきた『MANSAI◉解体新書』。シリーズの集大成としてお届けした前年度の「特別版」を経て、31回目の新たなスタート。人気企画のさらなる進化となる。

世田谷アートタウン 2020 『三茶 de 大道芸』

三茶 de 大道芸 (C)Waits

三茶 de 大道芸 (C)Waits

■国内外のパフォーマーが三軒茶屋に集結。街がちょっと風変わりな“アートタウン”に

日程:10月17日(土)・10月18日(日)
会場:キャロットタワー周辺
出演:国内外のパフォーマー約40組

地元商店街とボランティアスタッフ、世田谷文化生活情報センターが一体となって開催する大道芸フェスティバル。今回は24回目の開催。街中のいたるところが舞台となり、国内外から結集した一流のアーティストたちによるパフォーマンスが繰り広げられるほか、屋台や“アート楽市” “フェイスペイント”などが出現し、例年2日間で約20 万人の来場者を超えるほどのにぎわいをみせている。

世田谷アートタウン 2020 関連企画
カンパニー・オクトーブル
『Midnight Sun/真夜中の太陽』

Midnight Sun (c)FrancisRodor

Midnight Sun (c)FrancisRodor

■恐怖の館へようこそ。フランス⼈気カンパニーによるミステリアスなトラジコメディーサーカス

日程:10月
会場:世田谷パブリックシアター

世田谷アートタウン 2020 の関連企画として、フランス・トゥールーズを拠点に活動し、ヨーロッパで人気を誇る現代サーカスのカンパニー、オクトーブルを招聘し、最新作を上演。7人のアーティストによって繰り広げられる、ダンス、音楽、アクロバット、コントーション、ジャグリング、エアリアルなどの個性的なパフォーマンスと、マジックのような舞台セットの転換など、見どころ満載の舞台に注目。

『森新太郎演出作品』

森新太郎

森新太郎

■森新太郎×世田谷パブリックシアターの強力タッグ最新作が登場

日程:10~11月
会場:世田谷パブリックシアター

読売演劇大賞の大賞や最優秀演出家賞、芸術選奨新人賞をはじめ数々の賞に輝き、いまや日本を代表する
演出家の一人である森新太郎。世田谷パブリックシアターでは『ハーベスト』(12年)、『THE BIG FELLAH ビッグ・フェラー』(14年)、『管理人』(17年)、『The Silver Tassie 銀杯』(18年)、そして今年1月に開幕した『メアリ・スチュアート』を上演し、高い評価を得てきた。本公演は森との強力タッグ最新作となる。

シアタートラム ネクスト・ジェネレーション vol.13
第6回世田谷区芸術アワード“飛翔”舞台芸術部門受賞記念公演
Pancetta(パンチェッタ)『un』

Pancetta

Pancetta

■シアタートラム発。劇場が期待を寄せる新しい才能を紹介

日程:11月
会場:シアタートラム

2009年度からスタートし1 回目を迎える舞台芸術(パフォーミングアーツ)の若い才能の発掘と育成のための企画「シアタートラム ネクスト・ジェネレーション」。公募により選ばれた団体にシアタートラムでの上演機会を提供し、劇場が期待を寄せる新たな才能を紹介。今回は、個性ある空間性と言葉の世界を持ち、注目を集める一宮周平が脚本・演出を手掛ける Pancetta(パンチェッタ)が登場し、新作を上演する。

現代能楽集Ⅹ
『幸福論』 ~能「道成寺」「隅田川」より(仮題)

現代能楽集Ⅹ『幸福論』(左から)長田育恵、瀬戸山美咲

現代能楽集Ⅹ『幸福論』(左から)長田育恵、瀬戸山美咲

■能・狂言を土台に現代演劇を創作する芸術監督企画の最新作。旬の女性演劇人のタッグで現代に生きる人々の幸福について描く

日程:11~12月
会場:シアタートラム
作:長田育恵
作・演出:瀬戸山美咲
監修:野村萬斎

芸術監督・野村萬斎が、シリーズとして企画・監修し、能・狂言を土台にした現代演劇を創作するシリーズ「現代能楽集」。第10弾となる今回は、たぐいまれな筆力で注目を集める劇作家の長田育恵と、現代社会に正面から向き合う劇作家・演出家の瀬戸山美咲といういま最も旬な二人を招き、能「道成寺」「隅田川」を題材にした『幸福論』を立ち上げる。

日本・スロバキア交流 100 周年記念事業
劇団GUnaGU『ウォッカとクロム』(仮題)

ウォッカとクロム (C)Ctibor Bachraty

ウォッカとクロム (C)Ctibor Bachraty

■スロバキアを代表する劇団GUnaGUを招聘し、1989年のビロード革命前夜の人々の葛藤をユーモアを交えて描いた作品を上演

日程:12月
会場:シアタートラム

日本とスロバキアの交流100周年記念事業の一環として、スロバキアを代表する劇団GUnaGUを招聘し、2018年初演の『ウォッカとクロム』(仮題)を上演。時は、チェコスロバキアの解体につながった1989年の「ビロード革命」前夜。首都ブラティスラバの病院に居合わせたさまざまな立場の登場人物の葛藤を、ユーモアを交えて描く。

Ate9 『calling glenn』 『EXHIBIT b』

Ate9 (C)Cheryl Mann

Ate9 (C)Cheryl Mann

■アメリカダンス界の超新星、Ate9初来日公演。躍動感あふれるダンスを生演奏とともに

日程:2021年2月
会場:世田谷パブリックシアター
振付:ダニエル・アガミ

ロサンゼルスを拠点に活動するダンスカンパニー・Ate9の初来日公演が実現。同カンパニーは、イスラエルのバットシェバ舞踊団でリハーサル・ディレクターとダンサーを務めたダニエル・アガミが、2012年に設立し、生演奏の音楽とコラボレーションした躍動感あふれる作品で大きな注目を集めている。今回は、オルタナティブ・ロック・バンド、ウィルコのグレン・コッチと、ヒップホップ・プロデューサーのオミッド・ワリザデが音楽を担当する。

『子午線の祀り』

『子午線の祀り』(2017) (C)細野晋司

『子午線の祀り』(2017) (C)細野晋司

■「平家物語」に材をとり、日本演劇史上に燦然と輝く名作を野村萬斎が2017年に新演出で上演。数々の演劇賞を受賞したその舞台が満を持して3年半ぶりによみがえる

日程:2021年3月
会場:世田谷パブリックシアター
作:木下順二
演出:野村萬斎
音楽:武満徹
出演:野村萬斎 成河 河原崎國太郎 吉見一豊
村田雄浩 若村麻由美 ほか

「平家物語」を題材に、“天”の視点から人間たちの葛藤を描いた木下順二の不朽の名作『子午線の祀り』。2017年に芸術監督・野村萬斎の新演出・出演で上演し、その年の読売演劇大賞最優秀作品賞を受賞するなど好評を博した本作を再演。萬斎、成河、河原崎國太郎、村田雄浩、若村麻由美に吉見一豊が新たに
加わったキャスト陣と、萬斎のさらに研ぎ澄まされた演出でお送りする叙事詩劇。KAAT 神奈川芸術劇場ほか各地で公演予定。

『地域の物語 2021』

「地域の物語」 (C)上田晋也

「地域の物語」 (C)上田晋也

■地域の多世代にわたる参加者が集い演劇を創作。観客とともに考える“地域の物語”

日程:2021年3月
会場:シアタートラム

劇場開場時より続く一般市民によるプロジェクト。公募で集まった地域の人々が、進行役と共に数カ月にわたるワークショップを通して対話を重ね、身体を動かし、自分自身と周囲の人のさまざまな物語をもとに演劇をつくり上げ、発表する。

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