エイチエムピー・シアターカンパニーが舞台『死者ノ書』を俳優が劇場とオンラインに分かれて上演
2020 年7 月17 日(金)~ 19 日(日)大阪市にある表現者工房において、エイチエムピー・シアターカンパニーが『死者ノ書』を上演する。原作は折口信夫の『死者の書』で、演出をエイチエムピー・シアターカンパニーに所属する笠井友仁が手掛ける。
エイチエムピー・シアターカンパニーは、5 月に行った公演で、必要に迫られリモート・クリエイション(遠隔稽古)に取り組んだが、今回はその経験をもとに、「リアル」と「オンライン」のベストミックスを追求した上演となる。
劇場にいる「リアル」な俳優と「オンライン」で演技する俳優が共演し、また観客は、「リアル」な劇場と、「オンライン」の仮想劇場を選択できる。この試みは様々なシチュエーションでの可能性を示せるのではないかと考えている。
エイチエムピー・シアターカンパニーは、2001年に「h.m.p」で活動を始め、ハイナー・ミュラーの作品を中心に発表。2008年に現在名に変更し、現在は『「再」発見』を劇団のミッションとして、忘れられていたことを掘り起こす、見過ごされてきたことに焦点を当てることを軸に、常に実験的精神の元、創作活動を行っている。
演出・笠井友仁コメント
【『死者ノ書』の上演にむけて】
街に人が増える一方で、様々な理由から他人と会えない人もいます。
他人に会えない表現者や観客が参加できる演劇をつくりたいと思い、出演者がオンラインとオフラインに分かれて出演する『死者ノ書』を創作して上演します。
関西にゆかりのある「中将姫伝説」をもとに民俗学者の折口信夫が記した小説『死者の書』は奈良時代を舞台に異なる価値観の対立と共存を描いた物語です。
男性だけでなく、女性たちにも仏教が広まり、人の価値観が変わっていく様子は感染症の流行を契機に変化する現代社会に通じます。
上演を通じて異なる価値観が共存する方法を模索したいと思います。