欧州で話題のコンテンポラリー・ジュエリーとは?『プレイジュエリー』プログラムディレクターにインタビュー

インタビュー
2015.12.19
オットー・クンツリ  《2人のためのリング》1980年 OTTO KÜNZLI Ring für Zwei Personen 1980 © VG BildKunst 2013

オットー・クンツリ 《2人のためのリング》1980年 OTTO KÜNZLI Ring für Zwei Personen 1980 © VG BildKunst 2013

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「コンテンポラリー・ジュエリー」をご存知ですか?

宝石や貴金属といった高価な素材を用いる「ファイン・ジュエリー」や貴石やその他の安価な素材を用いる「コスチューム・ジュエリー」とは異なり、素材は問わず、作家のコンセプトを基に制作されるジュエリーのことを「コンテンポラリー・ジュエリー」と呼ぶ。 日本ではあまり馴染みはないが、ミュンヘンでは56年前から国際コンペティションが開かれるほど注目されている。

現在、その分野のパイオニアと称されるオットー・クンツリ氏の展示が東京都庭園美術館で開催中。 それに伴い、ジュエリー関連のトークや展示会、参加型イベントなどを都内複数の会場で行う『プレイジュエリー』というサテライトプログラムも開催されている。
今回はそのプログラムディレクターを務め、また自身もジュエリー・アーティストであるスーザン・ピーチ氏に話を伺った。

スーザン・ピーチ Susan Pietzsch image: Shintaro IMAI

スーザン・ピーチ Susan Pietzsch image: Shintaro IMAI



――まず、『プレイジュエリー』が企画されたきっかけを教えていただけますか?

「以前から繋がりのあった関さん(東京都庭園美術館学芸員)から企画の提案がありました。ただ、提案されたのがオットー・クンツリ展開催の3ヶ月前と急なお話だったんです(笑)。」

――企画展示などは1年前から動き始めると聞きますので、3ヶ月だと相当短い期間ですね。 開催会場も複数ありますが、どのように依頼されたのでしょうか。

「知り合いがいる会場にストレートにお願いしたんです。私にコネクションがない場合は、美術館から依頼してもらったケースもありましたね。」

――複数の会場で開催されているのは、スーザンさんの繋がりがあってこそなんですね!
どの会場でもアートのジュエリーを扱っていますが、日本でもコンテンポラリー・ジュエリーが普及し始めているという認識でいいんでしょうか?


「正直、芳しくない...ですね。 私が知っている限りでも、東京という大都市にも関わらず、ジュエリー専門ギャラリーがとにかく少ないんです。作品が流通するプラットフォームがないので、普及しづらい面もあると思っています。」

――スーザンさんはドイツと日本を拠点に活動されていますが、海外でのコンテンポラリ・ジュエリーの需要はどうなんでしょう?

「ドイツ・ミュンヘンではシュムックという国際コンペティションが開かれています。コンテンポラリー・ジュエリー専門としては、恐らく世界一の規模。海外にはジュエリー専門のギャラリーがたくさんあるので、日本とは比べ物にならない規模のマーケットがあります。」

――日本では奇抜なファッションが個性として認められるようになってきました。様々な形状で素材にとらわれないという観点からみると、そういった個性あるファッションとの組み合わせは抜群だと思いますがどうでしょうか。

「とてもポジティブで大事な感覚です(笑)。クンツリ氏の展示を観に来られて身につけたくなった方も大勢いらっしゃると思います。しかし、コンテンポラリ・ジュエリーというのは形状や素材が様々な分、凝った作品になるので値が張ってしまう。そういった部分がファッション感覚として取り入れにくいところなんですね。普及という面でみると、今回のオットー・クンツリ展は、日本でのコンテンポラリー・ジュエリーの発展にかなり貢献すると思いますよ。」

――コンテンポラリー・ジュエリーというジャンルを知ってもらうことが大事なんですね。では最後に、スーザンさんが思うジュエリーの魅力とは?

「クンツリ氏もインタビューで仰っていますが、ジュエリーの大きな魅力は、装飾だけにとどまらず、ひとつのコミュニケーションツールになるということ。コミュニケーションというのは人間社会に必要なものですから、その発端になれるところがジュエリーの最大の魅力だと思っています。」


このサテライトプログラムは、会場ごとにアーティストが違うことから、コンセプトや魅せ方といった特色も大きく異なる。様々なジュエリーからお気に入りを見つけることも楽しみの一つ。会場間を移動している間「次はどんな作品があるのか」と考えながら、一緒にいる人と話したり、SNSで共有したり、そんなところからも新たなコミュニケーションが生まれるのではないだろうか。

プレイジュエリーの開催期間は12月27日(日)までと残りわずか。クリスマスの日に記念ジュエリーとして購入したり、ジュエリー散策をしたり、ジュエリーアートの世界を堪能してみては。

オットー・クンツリ 《おお!》1991年 OTTO KÜNZLI Oh, say! 1991 © VG BildKunst 2013

オットー・クンツリ 《おお!》1991年 OTTO KÜNZLI Oh, say! 1991 © VG BildKunst 2013

 

イベント情報
オットー・クンツリ展
サテライトプログラム 『プレイジュエリー』


チラシURL: http://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/TTM-map-wk_final.pdf
開催期間:2015年10月10日(土)~12月27日(日)
会場情報:
(PLACE)by method 
NADiff a/p/a/r/t 
専門学校ヒコ・みづのジュエリーカレッジ 
HOLE IN THE WALL 
center for COSMIC WONDER 
OUR FAVOURITE SHOP 
gallery deux poissons 
伊勢丹 新宿店 
3331 Arts Chiyoda 
NIESSING TOKYO

プログラム・ディレクター:スーザン・ピーチ(アーティスト、SCHMUCK2 代表)
企画制作:SCHMUCK2(schmuck2.de)、秋山真樹子
協力:method inc.

 

Susan Pietzsch (スーザン・ピーチ)
スーザン・ピーチ氏はドイツと日本を拠点にするジュエリー・アーティスト。
自身のアート作品制作に加えて、Schmuck2(シュムック・ツヴァイ)の名のもとで1997年に設立した、ジュエリーの現代的なコンセプトを反映するプロジェクトでの網羅的な活動という、幅広い視点をピーチの芸術実践は包含する。

 

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