cinema staff『RUSH BALL 2020』ライブレポート ーー轟音を貫く歌声と加速するエモーションで圧倒、静と動を行き来する強烈な30分間
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『RUSH BALL 2020』cinema staff
まずはFM802 DJ大抜卓人と『RUSH BALL』のプロデューサーであるGREENS力竹総明がステージにて注意事項を伝えつつも、そこに集った多くのオーディエンスの姿を見て感動の面持ち。そんな力竹氏が「トップバッターはこのバンドに任せたい」と熱いバトンを渡したのがcinema staffだ。
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轟音せめぎ合う中、それを貫く歌声でいきなりオーディエンスを掴んだのは「シャドウ」。大舞台にもまるでたじろぐことのない圧巻のパフォーマンスは、バンドがこのステージに立つまでに見てきた景色と、かけてきた時間の凄みを物語る。メロウで重たいビートにぶん殴られるような心地よさのまま疾走するcinema節を、ド頭からこれでもかと浴びせかけていく。そして、間髪入れずのキラーチューン「great escape」と、エッジィなギターリフと壮絶なドラミング、うねりまくるベースラインが混然一体となって生み出すグルーヴに一気に飲み込まれる。
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「誰もが開催は厳しいと思ったこの状況で、『RUSH BALL』に関わるたくさんのスタッフの様々な想いや結論の上で、今日僕らはこのステージに立たせてもらってます」(Vo.Gt/飯田瑞規、以下同)と、かけがえのないこの日を作り上げた人々とその覚悟に感謝し、何より「この数カ月いろんなことを考えたんですけど、待ってくれてたあなたに誰よりも感謝を伝えたいです。また近いうちに会えることを願って歌います」と壮大なバラード「Name of Love」を披露。飯田が鍵盤にスイッチし奏でた美しいメロディに、オーディエンスもじっと聴き入る。情感をドラマチックに表現するcinema staffの静と動の真髄を見せつけ、「僕らのことを知らなくてもいい。ここから始めよう」と導いた、魂のシンガロングが聴こえてくるような「HYPER CHANT」では、声は出せなくとも、その手で、その表情で応えるオーディエンス。彼らのライブを見ていると、立つべくしてここに立ったのは明らかで、タフなライブバンドのマインドがしっかりと伝わってくる。
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重なり合うフレーズが誘った初期曲「GATE」では、みるみるうちに加速していく凄まじいパフォーマンスで見る者を圧倒! 『RUSH BALL』のヒストリーにcinema staffの存在を改めて刻み付けた強烈なライブだった。
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取材・文=奥“ボウイ”昌史 撮影=田浦ボン
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