佐渡裕&反田恭平「ウィーンでの共演の興奮を日本の皆様に」 ジャパン・ナショナル・オーケストラ特別編成で全国10都市ツアーが決定
『佐渡裕/反田恭平 with ジャパン・ナショナル・オーケストラ 特別編成』
2021年2月27日(土)~3月14日(日)にかけて全国10都市で指揮者・佐渡裕とピアニスト・反田恭平によるコンサートツアー『佐渡裕/反田恭平 with ジャパン・ナショナル・オーケストラ 特別編成』が行われることが決定した。
本来、2021年2月には佐渡率いるトーンキュンストラー管弦楽団が来日し日本ツアーが行われる予定だったが、コロナ禍で中止に。代わって管弦楽に反田恭平率いるジャパン・ナショナル・オーケストラ (現・MLM ナショナル管弦楽団/2021年1月以降に改称)を迎え、佐渡裕、反田恭平コンビによるツアーが決定した。
佐渡裕、反田恭平
ジャパン・ナショナル・オーケストラ(JNO)は2019年に始動。2018年に反田恭平が同世代のソリストとしても活躍する実力派アーティストに声をかけて立ち上げたアンサンブルに、管楽器を加えて結成されたものだ。反田は結成当初より大編成のオーケストラを目指しており、その最初の指揮者にどうしても迎えたいと願っていたのが佐渡裕だという。今回予定より早く佐渡とJNOの共演が実現することとなる。
2020年10月25日、佐渡裕指揮トーンキュンストラー管との共演でウィーンデビューを果たしたピアニスト反田恭平。今回のツアーでは、ラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲 Op.43」、ハイドンの交響曲 第44番 ホ短調「悲しみ」、そして、ラフマニノフ「ピアノ協奏曲 第3番 ニ短調 Op.30」(Aプロ)またはプロコフィエフ「ピアノ協奏曲 第3番 ハ長調 Op.26」(Bプロ)と、コンチェルト2曲のプログラム。ウィーンの人々を魅了した二人の演奏を堪能できるプログラムが用意されている。
ウィーン楽友協会でのリハーサルの様子
ウィーン楽友協会にて
なお、今回ツアーにもプログラムされているプロコフィエフ「ピアノ協奏曲 第3番 ハ長調 Op.26」は、10月末のウィーン滞在中に佐渡指揮トーンキュンストラー管と反田によるレコーディングが行われており、反田が代表を務める「NOVAレコード」より2021年2月に発売予定だ。著述家・プロデューサーの湯山玲子からの特別コメント、ならびに佐渡・反田より公演に向けてのコメントが到着した。
湯山玲子(著述家・プロデューサー)
湯山玲子
<音楽界の「比翼の鳥」が、コロナ禍で実現させる新しい試み>
クラシック音楽はグローバル文化の代表格。演奏家たちは世界を飛び回り、ファンもまた世界を巡り貪欲に経験を積む。そんな状況がが断ち切られたのがこのコロナ禍だが、悪いことばかりではない。業界の常識からはあり得ないような、画期的な座組が実現。佐渡裕と反田恭平は、求める音楽が共振しうる、まさに「比翼の鳥」といった間柄だが、佐渡は今回、お膝元のトーンキュンストラー管弦楽団の代わりに、反田のオケを振る。ブランドの凄さを確認しに行くのではなく、新しい試みを受け止め、育てていく行為こそが成熟したリスナーのあリ方だとすると、今回のツアーはまさにその試金石。プログラムはふたりの十八番。独奏とオケ、そして、指揮者がつくりあげる、力と調和の独特世界を目撃したい。
佐渡裕(指揮)
佐渡裕 (c)Takashi Iijima
2020年10月、反田恭平くんと私はトーンキュンストラー管弦楽団とともにウィーンの楽友協会ホール等で公演を行い、会場は熱狂的な歓声に包まれました。本当はこのウィーンでの成功を皆さまに日本でもお聴きいただきたかったのですが、3回目の日本ツアーは断念することになりました。音楽監督に就任して5年、マーラーチクルスなどのプロジェクトも中盤に差し掛かる中でトンク管との成果を皆様にお聴きいただけないのは大変悔しい気持ちです。ちょうど反田くんが思いをもって作ったMLMナショナル管をぜひ指揮してほしいと以前から提案がありましたので、この機会に若く新しいオーケストラと共演し、せめてこのウィーンでの共演の興奮を日本の皆様に持ち帰りたく、新しい企画を考えました。ラフマニノフ3番の協奏曲は前回別のツアーで共演し、僕自身がどうしても、もう1度このツアーでと懇願したものです。プロコフィエフ3番は11月にウィーンで録音を終えたばかりの曲です。今回、反田恭平&佐渡裕のコンビを聴いてもらうには申し分のないプログラムになったと思います。どうぞ期待していてください。
反田恭平(ピアノ)
反田恭平 (C)S.Ohsugi
2018年にダブルカルテットでスタートし、翌年は16名の室内アンサンブルになり、いよいよ2021年にジャパン・ナショナル・オーケストラと名称を変更して新たな1歩を踏み出すことになっていたMLMナショナル管。この企画で佐渡さんとご一緒してスタートが切れること、とても光栄です。このコンサートは見逃せない、聴き逃せない企画になるはずです。