コウペンちゃん、誕生4周年を記念した展覧会『コウペンちゃん にじいろミュージアム』開幕レポート
コウペンちゃん にじいろミュージアム
すごい! えらい! そう言われて、嬉しくない人はあまりいないのではないだろうか。目の前の“きみ”を全肯定してくれるキャラクター、「コウペンちゃん」の誕生4周年を記念した展覧会『コウペンちゃん にじいろミュージアム』が、2021年4月2日(金)から4月25日(日)まで、PARCO FACTORY(池袋PARCO本館7階)にて開催中だ。この記事では、開幕を目前に控えた内覧会の様子をレポートする。
がんばり気味のココロにじわり
なんでも肯定してくれるコウテイペンギンの赤ちゃん「コウペンちゃん」は、イラストレーターの“るるてあ”によって生み出された人気キャラクターだ。
私たちを包み込むその名言は数知れず、「朝起きられたの? すごーい!」「出勤したの? えらーい!」といった難易度★1程度(当然とされていることだが、まぁ確かにえらい)のものから、「ご飯たべたの? えらーい!」と難易度ゼロ(もはや必然的営み)の事柄までをも明るく褒め称えてくれる。
会場風景
ちなみに「コウペンちゃん」に登場するキャラクターには、シマエナガの「邪エナガ(よこしまエナガ)」や、ミズクラゲの「向こう見ズクラゲ」、なんらかの草である「めんど草」などがいる。基本的にゆるいダジャレなのだが、その脱力具合がなんとも愛らしく、疲れた心にしみる。
Twitter、LINEスタンプ、書籍、グッズなど幅広く活躍するコウペンちゃんは、みんなを肯定し続けて今年で4周年なのだそう。今回は、るるてあによる150点以上の生原画を鑑賞できるチャンスであり、約500点のコウペンちゃんグッズに囲まれるチャンスだ。
テーマはにじいろ
会場エントランス
『にじいろミュージアム』の名の通り、入口では色とりどりのフラワーゲートがお出迎え。こんもりした花の上に、七色の小さいコウペンちゃんマスコットがあしらわれている。
フラワーゲートの隣にこんなモノが
こちらは、写真撮影用アイテムとして隣に用意されている水晶玉。
使って撮影してみた
自分の写真センスの無さに泣きたくなったが、きっとコウペンちゃんはすごいと言ってくれるはずだ。来場の際にはぜひ、水晶玉を活用してフォトジェニックな一枚を狙ってみてほしい。
原画のやさしい世界へダイブ
青空をイメージしたブルーの展示室、足元には七色の花が咲く
この展覧会で鑑賞できるのは、るるてあが今回のために描き下ろした原画や、2019年から描きためてきたという原画たちだ。一枚絵のこともあるし、一枚の画用紙にいくつものイラストが相乗りして描かれていることもある。想像以上にイラストのサイズが小さく、細かく描かれているのに驚いた。
新発売の原画集の表紙用に描き下ろされた2パターンの一枚絵(左は会場限定版、右は通常版)
繊細な色づかいを堪能できるのは、生の原画展ならではの魅力である。
続く展示室は壁全体がにじいろ。野原に立っているような和やかな雰囲気だ
壁の原画を眺めていると、各所に設置されたスピーカーからコウペンちゃんの声が聞こえてくる。おっとりした声で「すご〜い」と繰り返されると、自然と(すごいのかも?)と暗示にかかってしまいそうだ。言葉の魔力って、すごい。
会場ならではの楽しみドコロ
壁にコウペンちゃん発見
場内には、るるてあによる手描きイラストがあちこちに散りばめられている。推しのキャラがいるなら、じっくり探してみるのも楽しいだろう。
ひょっこり顔を出す邪エナガさんがすごく可愛い
るるてあが描くのは、日々の何気ない営みや、季節の移ろいの一コマだ。中でも動植物と食べ物は特別丁寧に描かれており、愛でながら・感謝しながらイラストにしていることがよく分かる。細かい描きこみにも注目しながら眺めていると、あっという間に時間が過ぎてしまう。
コウペンちゃん歳時記のコーナーにあった、恵方巻きをつくるコウペンちゃん&料理上手のアデリーさん(よく見ると、左下の恵方巻きはペンギン柄になっている)
一枚絵では、可愛いだけでなくグッと大人っぽい雰囲気のものも多い。作品を例に挙げてみよう。
画集第一弾『コウペンちゃんアルバム』のカバーにも採用されている作品だ
どこかの田舎駅のホームに佇む旅装のコウペンちゃん。麦わら帽子にはヒマワリの花を飾り、手には黄色くなった猫じゃらしを持っている。夏の終わり頃だろうか? 帽子や駅名標の影から、時刻は正午に近いと思われる。そして、この駅の名前は「あのころ」。隣駅は「Mukashi(むかし)」と「Sorekara(それから)」と記されている。
夏と秋の間で、午前と午後の間で、昔とそれからの間で、こちらを見つめる主人公。駅名が「今」ではないことから、ここはすでにいちど通過した駅であり、コウペンちゃんは旅をしに戻ってきたのだと分かるだろう。この一枚は見る人それぞれにとっての、“永遠に続くような気さえしていた、あのころ”を思い起こさせるのだ。
色とりどりの企画スペース
名言「布団の中から出てえらい……!」のイラストにほっこり
さらに場内を進むと、原画コーナーの奥に暗幕で区切られた展示スペースがある。
おおっ、ミルキーウェイ
両サイドのパネルはここまでで見てきた作品のリフレインだが、注目すべきは正面に投影されるアニメーションだ。コウペンちゃんが「とってもかいふくまほう」「健やかのおまじない」「大変なものバリアー」を発動してくれる。このエリアを通り抜ければ、少し肩の力が抜けている……かもしれない!
カラフルな風鈴たち。音は鳴らないので静かだ
暗幕を抜けると、色とりどりのコウペンちゃん風鈴を飾ったフォトスポットに出る。一つひとつの短冊に記されているのは、「かっこいい〜」「はなまる!」といったポジティブなひと言だ。ここまでずっと肯定されながら進んできたので、もうこの辺りでは(……まあね!)とまんざらでもない気分である。
メッセージボード
さらに奥には、4周年を迎えたコウペンちゃんへのメッセージボードが。備え付けのペンで風船型の付箋にお祝いメッセージを書いて、自由に貼ることができるスポットだ。
お待たせしました!
そして最後に待っているのは、魅惑のコウペンちゃんショップ。展覧会記念商品と一般商品、あわせて約500点のアイテムが勢揃いしている。
壁沿いが一般商品、中央がにじいろミュージアムの記念商品だ
なんと、コウペンちゃんをかたどったケーキも登場。これは食べちゃいたい可愛さだ。
左:4thバースデーケーキ1,296円(税込)、右:ケーキ972円(税込) ともに販売日が限られているので、ホームページにてチェックをお忘れなく
また、原画集第二弾『コウペンちゃんの世界』も、一般販売に先駆けて手に入れることができる。カバーはにじいろミュージアム限定版だ。
『コウペンちゃんの世界』1,485円(税込) 数量限定で、るるてあのサイン入りのものも!
ポジティブチャージ完了!
左下:料理上手のアデリーさんは、今夜は梅干しサワーを飲むそうだ。カラッとした大人の励ましがまた、胸にしみる
『コウペンちゃん にじいろミュージアム』はPARCO FACTORY(池袋PARCO本館7階)にて、2021年4月2日(金)から4月25日(日)まで開催中。その後、全国のパルコへと巡回予定だ。
雨上がりに虹が架かるように、訪れた人の(疲れた)心をカラフルに輝かせる……そんな作家の願いが伝わってくるイラストたちだった。最後に、たくさん肯定してくれたコウペンちゃんにひとこと。
「4周年なの? すごーい!」
文・写真=小杉美香
展覧会情報
※入場は閉場の30分前まで ※最終日18時閉場
※営業日時は感染症拡大防止の観点から入場数の制限、 営業時間の変更及び休業となる場合がございます。
詳しくは池袋PARCOの営業日時をご確認ください。
会場:PARCO FACTORY(東京都豊島区南池袋1-28-2 池袋PARCO本館7F)
入場料:前売券 一般500円 / 学生400円、当日券 一般500円 / 学生400円 ノベルティ付き
※小学生以下無料 ※新型コロナウイルス対策の為、 日時指定の前売券入場制になります。
※前売券は入場前日18:00までご購入いただけます。
※当日入場枠に空きがある場合は、会場にて当日券を販売します。
主催:パルコ
企画制作:パルコ/Juice
協力:スパイラルキュート
展覧会HP:PARCO ART