アップリンク渋谷が2021年5月に閉館へ 浅井隆氏がコメントを発表
東京・渋谷の映画館・アップリンク渋谷が5月20日に閉館することがわかった。
運営元の有限会社アップリンクによれば、同館は2021年5月20日(木)をもって閉館するとのこと。代表の浅井氏は、「四半世紀以上、渋⾕のアップリンクが続けてこられたのは、観客の皆さんはもちろんのこと、そこで、表現してくれたアーティスト、企画者、映画監督、配給会社、そしてこれまで、運営を⽀えてくれた全てのアップリンクのスタッフのおかげです。本当に、本当にありがとうございました」などと感謝の言葉をつづっている。また、閉館理由について、「昨年は助成⾦、補助⾦もあり、ぎりぎり⽣き延びることができましたが、今年はさすがに限界を超える状態で、再投資をしても先が⾒えない状況となり、閉館という決断を余儀なくされました」としている。
浅井氏は昨年2020年6月、元従業員から「パワーハラスメントを受けた」として提訴されていた。その後、原告側と協議の上「和解の合意」に至ったが、原告側は「私たち原告は、『円満』にも、そして『全ての問題が解決した』とも考えておりません」と声明を発表していた。今回の閉館についての発表では、この問題にも触れられており、浅井氏は「弊社のハラスメントの問題では皆様にご迷惑とご心配をおかけし、信頼を裏切るような形になってしまったこと、申し訳ありませんでした。引き続き、ハラスメントのない会社づくりに向け、社長及び従業員一同取り組んでいきます」とコメントしている。
なお、アップリンクは2020年10月末、ハラスメントについての具体的な対応策として、「外部の専門家による相談体制」「通報制度・窓口の設置」「第三者委員会の設置」「社内体制の改革・スタッフとの定期的な協議」「取締役会の設置」「アンガーマネージメントについてのセミナー、カウンセリングへの参加」を行うことを発表している。2021年4月22日現在の段階では、その後の進捗についてのプレスリリースなど、アップリンクからの発表は行われていない。
アップリンク渋谷閉館についての浅井氏のコメント全文は以下のとおり。
アップリンク渋⾕閉館のお知らせ
「アップリンク渋⾕」を 2021年5⽉20⽇をもって閉館します。
四半世紀以上、渋⾕のアップリンクが続けてこられたのは、観客の皆さんはもちろんのこと、そこで、表現してくれたアーティスト、企画者、映画監督、配給会社、そしてこれまで、運営を⽀えてくれた全てのアップリンクのスタッフのおかげです。本当に、本当にありがとうございました。
1995年、神南に「アップリンク・ファクトリー」という名で、イベントスペースをオープンしました。当時アップリンクで出版していたインディペンデント・カルチャー雑誌『骰⼦』の⽴体版というコンセプトで、数多くのライブやイベントを⾏い、そして上映は当初 16ミリとDVcam で⾏っていました。現在の宇⽥川町に 2004年に移転し、「アップリンク X」と名付けた⽇本⼀⼩さな映画館としてスタートしました。その後、カフェやギャラリー、スクリーンへと拡⼤し、インディペンデント・カルチャーのホットスポットとなるべく「アップリンク渋⾕」として「ファクトリー」から数えると26年間渋⾕を拠点として活動してきました。
設備や機材の⽼朽化による再投資を考えなければならない時に、コロナ禍に襲われました。
収⼊が途絶えた時、最初に⼀番の⽀援となったのは、「アップリンク・クラウド」の⾒放題パックや「アップリンク・ソフトドリンク付き回数券」を購⼊してくださった⽅達のご厚意でした。また「ミニシアターエイド未来券」では多くの⽅が「アップリンク渋⾕」を指定して⽀援してくださいました。⼼より感謝いたします。昨年は助成⾦、補助⾦もあり、ぎりぎり⽣き延びることができましたが、今年はさすがに限界を超える状態で、再投資をしても先が⾒えない状況となり、閉館という決断を余儀なくされました。
また、弊社のハラスメントの問題では皆様にご迷惑とご⼼配をおかけし、信頼を裏切るような形になってしまったこと、申し訳ありませんでした。引き続き、ハラスメントのない会社づくりに向け、社⻑及び従業員⼀同取り組んでいきます。
今後は、現在の拠点である「アップリンク吉祥寺」「アップリンク京都」そして「アップリンク・クラウド」を引き続きよろしくお願いします。
浅井隆
アップリンク代表
なお、閉館発表にともない、アップリンク会員の会費払い戻しや、未来、ソフトドリンク付き回数券・招待券についてのアナウンスも発表されている。詳細は、アップリンク渋谷の劇場公式サイトを確認しよう。